ダイススロー 1回目
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いつかに一度、誰かに聞かれた事がある。
お前にとって悪魔とはなんぞや?と。
その時私は何も疑うことなく、すぐに答えた。
私にとって悪魔とは、悪魔にもよるけれどその大抵が
神出鬼没で
人を傷つけ
人の命を弄ぶ
闇の生き物
そして
悪魔の贄という体質を持った私にとってはなによりの『天敵』。
…と。
けれどその回答はあまりに浅慮で不十分なものだったと今ならはっきり声を大にして言える。
悪魔とは
人間には理解し難いほど悪趣味で
人間の慌てふためく様を至上の喜びとする生き物だということ。
そのきっかけを作ってくれたのは
ネロが持ち帰った、ボードゲームだった。
------------------------
「なに?…これ。」
「依頼先で拾った。」
「拾ったって、勝手に持ってきちゃっていいの?」
「それがさ…。
うちにあったもんじゃないし、何よりそんな形してるだろ?
気味が悪いから持って帰ってくれって頼まれたんだ。」
そんな形。気味が悪い。
実は言われる前から思っていた。
テーブルに置かれた『それ』はアンティーク調ながら少しおどろおどろしいドクロがあしらわれた長方形で平べったい箱。
そしてなにより、その箱には
「悪魔の悪魔による悪魔のための…悪魔的なボードゲーム?」
これを作った人(?)は歴史に少し明るかったよう。
何処かの独立宣言をパクった銘が刻まれた、曰くボードゲームは私の前、丁度テーブルの上に無造作に置かれていた。
「それで…これ、どうする気なの?」
「決まってるだろ?
悪魔関連の面白そうな代物なんだ、レディに売りつける。」
「そっか。」
誰が、どのようにして何のために作ったかもわからない。
悪魔の退治先でひょんと現れ、『悪魔』とご丁寧に刻印されているそれ。
疑いようもなく、…悪魔に関するものなのだろう。
だけど…
「本当に悪魔に関するものなのかな。」
ついと好奇心は言葉を変えつつ顔をだす。
「変な名前を付けられたただのボードゲームってこともあり得るでしょう?」
「誰かの悪戯かも!
だって、悪魔が『悪魔の悪魔による悪魔の為の』って書く?」
「シャティも魔力を感じないって言うし。」
自分でも驚くほどの回数、好奇心が顔を覗かせたところでようやく、黙って聞いていたネロが私の言いたい実のところを言ってくれた。
「そのボードゲーム、やりたいって?」
「うん!」
「だめだ。」
しかし即答。
「どうして?」
「危ないかもしれないだろ。」
「そんな感じ、しないよ。」
「…逢夏。」
「………はい。」
名前と共に厳しい青の双眸を向けられては何も言い返せず、大人しくボードゲームから手を離す。
するとそこで寂しくなった手にココアで満たされたマグカップを握らされた。
そして、何故かボードゲームと向き合い、私の隣に座るネロの手には同じくココア入りのマグカップとスナック菓子の袋…。
「ネロ?
…もしかして!」
「仕方ないから、ちょっとだけ…な?」
「うん!
ネロ、大好き!」
「現金な奴。」
額にキスを贈った私の頬に微笑みながらキスを返したネロは慎重に箱を開ける。
箱の中身はなんだろな?と覗き込んでみると
"せつめぃしよ"とミミズが這った様な大文字小文字混じりの字で書かれた黒い紙と
妖しさを持ちながらも見事な細工が施された頭がドクロの駒が一つと六面ダイスが一つが出てきた。
お前にとって悪魔とはなんぞや?と。
その時私は何も疑うことなく、すぐに答えた。
私にとって悪魔とは、悪魔にもよるけれどその大抵が
神出鬼没で
人を傷つけ
人の命を弄ぶ
闇の生き物
そして
悪魔の贄という体質を持った私にとってはなによりの『天敵』。
…と。
けれどその回答はあまりに浅慮で不十分なものだったと今ならはっきり声を大にして言える。
悪魔とは
人間には理解し難いほど悪趣味で
人間の慌てふためく様を至上の喜びとする生き物だということ。
そのきっかけを作ってくれたのは
ネロが持ち帰った、ボードゲームだった。
------------------------
「なに?…これ。」
「依頼先で拾った。」
「拾ったって、勝手に持ってきちゃっていいの?」
「それがさ…。
うちにあったもんじゃないし、何よりそんな形してるだろ?
気味が悪いから持って帰ってくれって頼まれたんだ。」
そんな形。気味が悪い。
実は言われる前から思っていた。
テーブルに置かれた『それ』はアンティーク調ながら少しおどろおどろしいドクロがあしらわれた長方形で平べったい箱。
そしてなにより、その箱には
「悪魔の悪魔による悪魔のための…悪魔的なボードゲーム?」
これを作った人(?)は歴史に少し明るかったよう。
何処かの独立宣言をパクった銘が刻まれた、曰くボードゲームは私の前、丁度テーブルの上に無造作に置かれていた。
「それで…これ、どうする気なの?」
「決まってるだろ?
悪魔関連の面白そうな代物なんだ、レディに売りつける。」
「そっか。」
誰が、どのようにして何のために作ったかもわからない。
悪魔の退治先でひょんと現れ、『悪魔』とご丁寧に刻印されているそれ。
疑いようもなく、…悪魔に関するものなのだろう。
だけど…
「本当に悪魔に関するものなのかな。」
ついと好奇心は言葉を変えつつ顔をだす。
「変な名前を付けられたただのボードゲームってこともあり得るでしょう?」
「誰かの悪戯かも!
だって、悪魔が『悪魔の悪魔による悪魔の為の』って書く?」
「シャティも魔力を感じないって言うし。」
自分でも驚くほどの回数、好奇心が顔を覗かせたところでようやく、黙って聞いていたネロが私の言いたい実のところを言ってくれた。
「そのボードゲーム、やりたいって?」
「うん!」
「だめだ。」
しかし即答。
「どうして?」
「危ないかもしれないだろ。」
「そんな感じ、しないよ。」
「…逢夏。」
「………はい。」
名前と共に厳しい青の双眸を向けられては何も言い返せず、大人しくボードゲームから手を離す。
するとそこで寂しくなった手にココアで満たされたマグカップを握らされた。
そして、何故かボードゲームと向き合い、私の隣に座るネロの手には同じくココア入りのマグカップとスナック菓子の袋…。
「ネロ?
…もしかして!」
「仕方ないから、ちょっとだけ…な?」
「うん!
ネロ、大好き!」
「現金な奴。」
額にキスを贈った私の頬に微笑みながらキスを返したネロは慎重に箱を開ける。
箱の中身はなんだろな?と覗き込んでみると
"せつめぃしよ"とミミズが這った様な大文字小文字混じりの字で書かれた黒い紙と
妖しさを持ちながらも見事な細工が施された頭がドクロの駒が一つと六面ダイスが一つが出てきた。
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