とうらぶの短いお話
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あ、歌仙。ごちそうさま。
これでしっかりと仕事に取り組めそうよ」
縁側の角から消えゆく背中に、声をかける。嬉しそうに目を細める歌仙から、またも桜の花びらひとひら。
「まだ仕事が残っているんだったね。
せっかく買ってきてもらったんだし、あの棒ほうじ茶を淹れてくるよ。残りの仕事をしながら口にするといい」
「ふふ、お茶だとしてもこれ以上入れるとお腹いっぱいで眠くなっちゃいそうだから、持ってくるのはゆっくりでお願いします」
「わかったよ。最後まで土産物で固めたくなったから、夕餉には『宝の麩』も使わせてもらうよ」
「楽しみにしてる」
宝の麩は、お土産の中で歌仙が一番楽しみにしていたものだ。
なんと言っても、歌仙自ら買ってきてほしいと言ってきたほど。
先日も腕に入れたそれに熱湯を注いで飲んだが、歌仙はずっと腕の中に広がる花麩や香りの世界を嬉しそうに見つめていた。
お麩が湯でとろけて、ふわりと広がる中の具材、そして加賀味噌の香り。歌仙でなくても雅だ、と呟きたくなる吸い物だった。
海外からの観光客に絶大な人気らしいけど、うん……納得できる。
「じゃあ加州、あとはくれぐれも頼むよ」
「りょーかーい」
格子戸の外。縁側の向こうから歌仙に引っ張られる鶴丸の悲鳴が聞こえてくる。
私に助けを乞う声が。
「鶴丸は普段のこと含め、しっかりお説教受けてきなさい」
「お達者でね〜」
これ以上本丸を穴だらけにされても困る。
落とし穴とかそういうものを、彼は作り過ぎたのだ……。
かわいそうだが、たまには初期刀様に怒られないと鶴丸は反省しない。
骨と刀は拾うから、しっかりと怒られてきてほしい。
ぴしゃり、私は戸をしっかり閉めて仕事に向き直った。
仕事を進めていれば本日の近侍・加州清光が、私に触れるのを感じる。
「ーーーどうしたの?」
「あるじ、少しだけ崩れてるから弄らせてね」
……髪の毛のことか。
振り向かないまま許可を出し、清光が髪に触れゆく。
歌仙がせっかく差した髪留めが、取り払われた。
「ちょ、!?」
「大丈夫、ちゃんと同じの留め直すってば。だからあるじはそのまま仕事してていいよ」
そう言われて仕舞えばそれまで。さらりと髪を梳いていく手に身を任せる。
あ……歌仙とは違う香だ。清光の作ったあの香水の匂いだ。
でも、纏っているのが清光本人だからかな。私が付けた時とは少し違う香りに感じた。
それはまるで、清光に背後から抱きしめられているような感覚を覚えさせる。
「ねぇあるじ、今夜お酒に付き合ってくれない?」
「えっ、そ……それは……」
手の動きといい、清光の香りといい、その言葉といい。何かのお誘いにも感じて、体がピクリと震えた。
だけど振り向こうとした頭は固定され、仕事を進めるように仕向けられた。
「やだなー、二人っきりでじゃないよ。新撰組刀が集まってする飲み会だよ」
ほっとしたのも束の間。
「ーーーそれとも期待しちゃった?」
清光の掠れた声が微かに耳をくすぐる。
ああ、どの清光が本当の清光なんだろう。旅行の時からそうだけど、もうずっとドキドキさせられっぱなし。
でもきっと、私が思い浮かべたどれもが私の加州清光。
赤くなる私の手元は僅かに震えている。
清光はそれに気がつかないふりをして、やれ何が美味しかっただの、何が面白かっただのを聞かせてきた。
「地酒もだけど、金沢のコシヒカリエールがすっきりしてまろやかで美味しかった。女性でも飲みやすいと思う。
ツマミ代わりに買い込んだサクサク揚げあられののどぐろビーバーだっけ?あれも、のどぐろの風味と酢橘の味がよく合うよ」
仕事に熱中しているふりをしているのはバレているだろう。だって、先ほどから筆が止まってしまっている。
髪の毛が終わったのだろう、歌仙のくれた髪留めをそっと差し込まれたのを感じる。
衣擦れの音に離れていくのかと思ったけど、清光は私の耳たぶにリップ音を残していった。
「今回は二人でじゃないけど、そのうち二人っきりで飲む機会も作ろっか。
あるじがそれを望むなら、ね」
許可さえ貰えば唇を奪うとまで断言した清光だ。
審神者が少しでも隙を見せれば、そこを沖田の三段突で狙うように攻めてくることだろう……歌仙が『くれぐれも頼むよ』と言い残したから、清光が聞き分けの良い番犬のように留まっているだけで。
けど、清光は新撰組刀。壬生浪。犬ではなく、言うことなんて大人しく聞くはずもない狼だ。
頭でっかちなもので、色々想像すると恥ずかしいような、期待してしまうような、それでいて少し怖い思いが溢れてやまない。
二人で飲んだらどうなってしまうのだろう。
ああ、顔が熱い。
ちなみに、清光がいじるといったのは髪だけではなく肌の事も含まれていたようで、彼は自分用に買ったはずの金箔マスクを一枚、私の顔に使ってくれた。
効力はあるんだろうけれど、二人並んで黄金マスク……絵面が眩しすぎて目に痛かったわ。
***
どのお土産も美味しかったので、お土産食べた時の感想やら先に書いた石川めぐりの、伏線回収的な小ネタをぶっ込んだ続きを書いてみました(*´ω`*)
ちなみに起上最中が一番美味い。また行ったらそればっかり買い込みそうなくらい美味い。つぶあん苦手な人は食べられないかもだけど、めちゃ美味いって思った!あんこというよりも、あれは小豆の粒がそのままごろごろ!って感じ。
あ。つぶあんが無理なら、あんころ餅を買うのがお勧め。あれはこし餡。ねっとり蜂蜜入ってるような甘さ。
見た目も味も、お伊勢さんなどで有名なあかふくである。
ちなみに、氷だしの白桃煎茶はLUPICIA夏の定番茶です。人気No. 1だというのは結構最近知りました。
美味しいもんな…。管理人が好きなのは、ユニオンジャックと、ファルファローネです。
ユニオンジャックは、シンプルな紅茶でミルクティーに合うど定番って感じ。
ファルファローネは売ってる時期が決まってますが、加州清光に合いそうな味と説明書きがあります。
『カシスが魅惑的な男性の香り』みたいなこと書いてあったような…(うろ覚え)
カシスの香りでフルーティーなのに、これもミルクティーが合うんですよ。
管理人は、清光も歌仙も鶴丸も大好きです。嫌いな刀剣男士は誰一人いない(当たり前か)
あと、これの長編の方を更新続けるならのネタバレをすると、鶴丸→荒御魂に堕ちる
清光→荒御魂に堕ちると見せかけて堕ちない
歌仙→絶対に堕ちることのない安定の初期刀様、になる予定だったり。
荒御魂に堕ちて審神者を神隠ししようとする刀剣男士は、想像するとどきどきする。
これでしっかりと仕事に取り組めそうよ」
縁側の角から消えゆく背中に、声をかける。嬉しそうに目を細める歌仙から、またも桜の花びらひとひら。
「まだ仕事が残っているんだったね。
せっかく買ってきてもらったんだし、あの棒ほうじ茶を淹れてくるよ。残りの仕事をしながら口にするといい」
「ふふ、お茶だとしてもこれ以上入れるとお腹いっぱいで眠くなっちゃいそうだから、持ってくるのはゆっくりでお願いします」
「わかったよ。最後まで土産物で固めたくなったから、夕餉には『宝の麩』も使わせてもらうよ」
「楽しみにしてる」
宝の麩は、お土産の中で歌仙が一番楽しみにしていたものだ。
なんと言っても、歌仙自ら買ってきてほしいと言ってきたほど。
先日も腕に入れたそれに熱湯を注いで飲んだが、歌仙はずっと腕の中に広がる花麩や香りの世界を嬉しそうに見つめていた。
お麩が湯でとろけて、ふわりと広がる中の具材、そして加賀味噌の香り。歌仙でなくても雅だ、と呟きたくなる吸い物だった。
海外からの観光客に絶大な人気らしいけど、うん……納得できる。
「じゃあ加州、あとはくれぐれも頼むよ」
「りょーかーい」
格子戸の外。縁側の向こうから歌仙に引っ張られる鶴丸の悲鳴が聞こえてくる。
私に助けを乞う声が。
「鶴丸は普段のこと含め、しっかりお説教受けてきなさい」
「お達者でね〜」
これ以上本丸を穴だらけにされても困る。
落とし穴とかそういうものを、彼は作り過ぎたのだ……。
かわいそうだが、たまには初期刀様に怒られないと鶴丸は反省しない。
骨と刀は拾うから、しっかりと怒られてきてほしい。
ぴしゃり、私は戸をしっかり閉めて仕事に向き直った。
仕事を進めていれば本日の近侍・加州清光が、私に触れるのを感じる。
「ーーーどうしたの?」
「あるじ、少しだけ崩れてるから弄らせてね」
……髪の毛のことか。
振り向かないまま許可を出し、清光が髪に触れゆく。
歌仙がせっかく差した髪留めが、取り払われた。
「ちょ、!?」
「大丈夫、ちゃんと同じの留め直すってば。だからあるじはそのまま仕事してていいよ」
そう言われて仕舞えばそれまで。さらりと髪を梳いていく手に身を任せる。
あ……歌仙とは違う香だ。清光の作ったあの香水の匂いだ。
でも、纏っているのが清光本人だからかな。私が付けた時とは少し違う香りに感じた。
それはまるで、清光に背後から抱きしめられているような感覚を覚えさせる。
「ねぇあるじ、今夜お酒に付き合ってくれない?」
「えっ、そ……それは……」
手の動きといい、清光の香りといい、その言葉といい。何かのお誘いにも感じて、体がピクリと震えた。
だけど振り向こうとした頭は固定され、仕事を進めるように仕向けられた。
「やだなー、二人っきりでじゃないよ。新撰組刀が集まってする飲み会だよ」
ほっとしたのも束の間。
「ーーーそれとも期待しちゃった?」
清光の掠れた声が微かに耳をくすぐる。
ああ、どの清光が本当の清光なんだろう。旅行の時からそうだけど、もうずっとドキドキさせられっぱなし。
でもきっと、私が思い浮かべたどれもが私の加州清光。
赤くなる私の手元は僅かに震えている。
清光はそれに気がつかないふりをして、やれ何が美味しかっただの、何が面白かっただのを聞かせてきた。
「地酒もだけど、金沢のコシヒカリエールがすっきりしてまろやかで美味しかった。女性でも飲みやすいと思う。
ツマミ代わりに買い込んだサクサク揚げあられののどぐろビーバーだっけ?あれも、のどぐろの風味と酢橘の味がよく合うよ」
仕事に熱中しているふりをしているのはバレているだろう。だって、先ほどから筆が止まってしまっている。
髪の毛が終わったのだろう、歌仙のくれた髪留めをそっと差し込まれたのを感じる。
衣擦れの音に離れていくのかと思ったけど、清光は私の耳たぶにリップ音を残していった。
「今回は二人でじゃないけど、そのうち二人っきりで飲む機会も作ろっか。
あるじがそれを望むなら、ね」
許可さえ貰えば唇を奪うとまで断言した清光だ。
審神者が少しでも隙を見せれば、そこを沖田の三段突で狙うように攻めてくることだろう……歌仙が『くれぐれも頼むよ』と言い残したから、清光が聞き分けの良い番犬のように留まっているだけで。
けど、清光は新撰組刀。壬生浪。犬ではなく、言うことなんて大人しく聞くはずもない狼だ。
頭でっかちなもので、色々想像すると恥ずかしいような、期待してしまうような、それでいて少し怖い思いが溢れてやまない。
二人で飲んだらどうなってしまうのだろう。
ああ、顔が熱い。
ちなみに、清光がいじるといったのは髪だけではなく肌の事も含まれていたようで、彼は自分用に買ったはずの金箔マスクを一枚、私の顔に使ってくれた。
効力はあるんだろうけれど、二人並んで黄金マスク……絵面が眩しすぎて目に痛かったわ。
***
どのお土産も美味しかったので、お土産食べた時の感想やら先に書いた石川めぐりの、伏線回収的な小ネタをぶっ込んだ続きを書いてみました(*´ω`*)
ちなみに起上最中が一番美味い。また行ったらそればっかり買い込みそうなくらい美味い。つぶあん苦手な人は食べられないかもだけど、めちゃ美味いって思った!あんこというよりも、あれは小豆の粒がそのままごろごろ!って感じ。
あ。つぶあんが無理なら、あんころ餅を買うのがお勧め。あれはこし餡。ねっとり蜂蜜入ってるような甘さ。
見た目も味も、お伊勢さんなどで有名なあかふくである。
ちなみに、氷だしの白桃煎茶はLUPICIA夏の定番茶です。人気No. 1だというのは結構最近知りました。
美味しいもんな…。管理人が好きなのは、ユニオンジャックと、ファルファローネです。
ユニオンジャックは、シンプルな紅茶でミルクティーに合うど定番って感じ。
ファルファローネは売ってる時期が決まってますが、加州清光に合いそうな味と説明書きがあります。
『カシスが魅惑的な男性の香り』みたいなこと書いてあったような…(うろ覚え)
カシスの香りでフルーティーなのに、これもミルクティーが合うんですよ。
管理人は、清光も歌仙も鶴丸も大好きです。嫌いな刀剣男士は誰一人いない(当たり前か)
あと、これの長編の方を更新続けるならのネタバレをすると、鶴丸→荒御魂に堕ちる
清光→荒御魂に堕ちると見せかけて堕ちない
歌仙→絶対に堕ちることのない安定の初期刀様、になる予定だったり。
荒御魂に堕ちて審神者を神隠ししようとする刀剣男士は、想像するとどきどきする。