とうらぶの短いお話
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
深見と三人、ユキを愛でていれば。
「ピチューイピチューイピーヨピーヨ!」
独特のリズムを取ってその場で跳ねながら、唐突に歌い出した。
カナリアのような美しい歌声とは言えないが、愛嬌のあるかわいらしい歌声だ。
……と、その様子を見た深見がけらけらと笑いだした。
「主、なぜ笑っているんだい?この独特な動きはそんなに笑えるものなのかい?
楽しそうに踊っているじゃあないか」
そこで歌仙はハッとした。
自然界で雄が歌い、踊るのは雌の為と相場が決まっている。
「御察しの通り、それは求愛のダンスよ。
歌仙ったら小鳥にまで恋されちゃって~」
「僕は雄だぞ?」
「それだけ気に入られたってことでしょう?よかったじゃない。味方は多いほうがいいわ」
「味方……ん、んん……良かった、と思えばいいのか……そうか……」
考え方によっては、本丸の外にも深見を共に守る味方ができたと思えなくもない。
相手はカラス一匹にも太刀打ちできない文鳥だが。
ただ……雌だと思われたような気がして微妙な気持ちだったが、歌仙は無理やり納得するしかなかった。
ひとしきり歌いおわったユキを、深見がそっと抱き上げる。
指をユキの頭の上に持っていくので何をするのかと思いきや、頭の上や目の近くをカリカリとかいてやったではないか。
「自分じゃ届かない場所をこうしてかいてあげるの。はい、歌仙もやってあげて」
本人もかゆいところを掻いて欲しいのか、首を傾げて歌仙を見上げる。
抱っこして掻いてやれば、すぐうっとりと目を細め始め、やがて目を閉じてしまった。
「……寝てしまったよ」
「歌仙の指が気持ちよかったんでしょ。まさにゴッドフィンガー、神の手ね」
手の中でゆっくりと目を閉じそしてまぁるくなって寝る姿は、まるで餅。
後で聞いたがこれが所謂おもち状態の文鳥とのことだ。
今までにないくらいの、なんとも言えない愛らしさが漂っている。
なんでもこの時の写真を見て文鳥を飼おうとする人は結構多いらしい。気持ちはわかる。
「なんだろうね……。白い羽毛と赤いくちばしが相成って何かに見える」
「おもちでしょ?」
「もちはもちでも……ああそうか、『苺大福』そっくりなんだ。求肥餅かましまろ菓子のようにも見えるね」
よく似ている上に甘い匂いもついている。
本当に菓子のような生き物で、食べてしまいたくなるほどかわいらしい。
深見が飼ったのも頷けるというものだ。
「苺大福……たしかにそんな感じね。美味しそうだわ」
苺大福の言葉に目をキラキラ輝かせた深見。
食が細い割りに好物に関しては食いしん坊ぶりを発揮するこの深見は、特に和菓子が好きだ。そして苺も。
「主、本丸に帰ったら苺大福作ろうか?」
「たまには私も作りたいわ、初期刀さま、一緒に作りましょ?」
「……しかたないね。きみのお願いとあらば」
深見の作り出すものには、その力が宿る。特に食事というのは効果が一番現れやすい。
それを恐れ多いと忌避する刀剣男士があれば、それを良しとし積極的に得ようとする刀剣男士もある。
歌仙は前者だ。
しかし深見自ら厨に立つのを望むのならば、それは吝かではない。
何より、共に。というのが、歌仙の心に響いた。
歌仙とて刀剣男士。自身を顕現した深見と一緒にいたいのだ。
「よかった。これで久し振りにみんなにおやつが振る舞えるのね」
「今だってたまに作ってるだろう?」
「それは誉を取ってきた人の特権としてよ。誉の有無に関係なくみんなに振る舞う機会はあまりないわ」
深見の運営する本丸では、一定数の誉を取ればその刀剣男士の望みがひとつ叶えてもらえる。
無理なお願いは不可能だか、たいていは深見の休みの日の時間、深見の食事、自分の欲しいものを望む者が多い。
その腹の奥で、深見自身が欲しいと言っている者がいないでもないが、それはまた今度。
「やれやれ、わかったよ。それでいこう。
さあ、ユキくんも眠っていることだし、そろそろきみは用事を済ませてきてくれ」
「ええ、そうね。ユキのことは頼んでいいかしら?」
「大丈夫だ。この子は僕がちゃんと見ててあげるから、はやくいっておいで」
歌仙はふんわり笑うと、静かに深見を促した。
「ピチューイピチューイピーヨピーヨ!」
独特のリズムを取ってその場で跳ねながら、唐突に歌い出した。
カナリアのような美しい歌声とは言えないが、愛嬌のあるかわいらしい歌声だ。
……と、その様子を見た深見がけらけらと笑いだした。
「主、なぜ笑っているんだい?この独特な動きはそんなに笑えるものなのかい?
楽しそうに踊っているじゃあないか」
そこで歌仙はハッとした。
自然界で雄が歌い、踊るのは雌の為と相場が決まっている。
「御察しの通り、それは求愛のダンスよ。
歌仙ったら小鳥にまで恋されちゃって~」
「僕は雄だぞ?」
「それだけ気に入られたってことでしょう?よかったじゃない。味方は多いほうがいいわ」
「味方……ん、んん……良かった、と思えばいいのか……そうか……」
考え方によっては、本丸の外にも深見を共に守る味方ができたと思えなくもない。
相手はカラス一匹にも太刀打ちできない文鳥だが。
ただ……雌だと思われたような気がして微妙な気持ちだったが、歌仙は無理やり納得するしかなかった。
ひとしきり歌いおわったユキを、深見がそっと抱き上げる。
指をユキの頭の上に持っていくので何をするのかと思いきや、頭の上や目の近くをカリカリとかいてやったではないか。
「自分じゃ届かない場所をこうしてかいてあげるの。はい、歌仙もやってあげて」
本人もかゆいところを掻いて欲しいのか、首を傾げて歌仙を見上げる。
抱っこして掻いてやれば、すぐうっとりと目を細め始め、やがて目を閉じてしまった。
「……寝てしまったよ」
「歌仙の指が気持ちよかったんでしょ。まさにゴッドフィンガー、神の手ね」
手の中でゆっくりと目を閉じそしてまぁるくなって寝る姿は、まるで餅。
後で聞いたがこれが所謂おもち状態の文鳥とのことだ。
今までにないくらいの、なんとも言えない愛らしさが漂っている。
なんでもこの時の写真を見て文鳥を飼おうとする人は結構多いらしい。気持ちはわかる。
「なんだろうね……。白い羽毛と赤いくちばしが相成って何かに見える」
「おもちでしょ?」
「もちはもちでも……ああそうか、『苺大福』そっくりなんだ。求肥餅かましまろ菓子のようにも見えるね」
よく似ている上に甘い匂いもついている。
本当に菓子のような生き物で、食べてしまいたくなるほどかわいらしい。
深見が飼ったのも頷けるというものだ。
「苺大福……たしかにそんな感じね。美味しそうだわ」
苺大福の言葉に目をキラキラ輝かせた深見。
食が細い割りに好物に関しては食いしん坊ぶりを発揮するこの深見は、特に和菓子が好きだ。そして苺も。
「主、本丸に帰ったら苺大福作ろうか?」
「たまには私も作りたいわ、初期刀さま、一緒に作りましょ?」
「……しかたないね。きみのお願いとあらば」
深見の作り出すものには、その力が宿る。特に食事というのは効果が一番現れやすい。
それを恐れ多いと忌避する刀剣男士があれば、それを良しとし積極的に得ようとする刀剣男士もある。
歌仙は前者だ。
しかし深見自ら厨に立つのを望むのならば、それは吝かではない。
何より、共に。というのが、歌仙の心に響いた。
歌仙とて刀剣男士。自身を顕現した深見と一緒にいたいのだ。
「よかった。これで久し振りにみんなにおやつが振る舞えるのね」
「今だってたまに作ってるだろう?」
「それは誉を取ってきた人の特権としてよ。誉の有無に関係なくみんなに振る舞う機会はあまりないわ」
深見の運営する本丸では、一定数の誉を取ればその刀剣男士の望みがひとつ叶えてもらえる。
無理なお願いは不可能だか、たいていは深見の休みの日の時間、深見の食事、自分の欲しいものを望む者が多い。
その腹の奥で、深見自身が欲しいと言っている者がいないでもないが、それはまた今度。
「やれやれ、わかったよ。それでいこう。
さあ、ユキくんも眠っていることだし、そろそろきみは用事を済ませてきてくれ」
「ええ、そうね。ユキのことは頼んでいいかしら?」
「大丈夫だ。この子は僕がちゃんと見ててあげるから、はやくいっておいで」
歌仙はふんわり笑うと、静かに深見を促した。