とうらぶの短いお話
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遠のいた足音は、直後鳥の声とともにこちらへと戻ってきた。
「二振りが予想した通り、うちは鳥を飼ってるの。文鳥よ」
「かわいいでしょう?」と同意を求める深見と共に登場したのは、籠に入った真っ白な小鳥。
籠という表現を使うと、本丸で留守番をしているであろう宗三左文字が何か言いそうである。
「ぴ!」と鳴いて見上げてくるそれは、横から見ると凛々しいのに、真正面から見ればどこかとぼけた顔に見えた。
「へえ、文鳥は初めて見たよ。愛らしくてなかなか雅な鳥じゃないか」
「小さくてかわいい鳥だね。雀くらいの大きさ?
ま、俺の方がかわいいし主にかわいがってもらってるけどねー?」
清光は得意げだ。
たしかに清光はとてもかわいい。
同じ女である自分とは比べ物にならないくらい、女子らしい可愛らしさを持っている。男だが。
おかげで本刃の言う通り、やたら可愛がっているかもしれない。
「清光……鳥にまで嫉妬してるの?」
「だって俺は主のたったひとりの加州清光だからね!」
キャルルル!!
籠の中、文鳥が反論するように口を開けて鳴いている。
その様はさながら小さな恐竜だ。
「ねえ主ー、こいつなんか怒ってるの?」
「加州が張り合うような事言ったからじゃあないのかい?」
「あー、多分違うわね。きっと籠から出たいのよ」
待ってましたとでも言うように入り口の前に、細い脚をでん!と踏ん張り待機している文鳥。
籠の鉄柵をスライドさせると、軽やかな羽音とともに「ぴっ!」飛び出てきた。
そして深見の指にとまり、まっかな苺のようなくちばしで、がぶ!と噛んだ。
「いた、……噛まれちゃったわ」
「鳴きながら噛んでるよ、気性荒い!」
「主、大丈夫かい!?」
文鳥のくちばしは力が強い。
くちばしが深見の指に埋もれていくのを見て、清光と歌仙が慌てて詰め寄ってくる。
「大丈夫大丈夫、血も出てない。『なんで全然帰って来なかったの。さみしかったよ!』って怒ってるだけだから。
それに、もう噛んでない」
噛みついたのが嘘のようにキョトンと愛くるしく指の上から3人を見上げてくる文鳥。
その文鳥のまっくろでキラキラした瞳と、歌仙の碧い瞳が交錯するのがよく見えた。
「寂しがったり怒ったり、愛情表現が人や僕らと変わらないんだね」
「小鳥にも心があるってこと。特に文鳥は、飼い主をパートナーだと思う事が多いの。感情表現がとっても豊かな鳥なのよ」
「それって主を自分の『好い人』だと思ってるってことでしょ?なんか生意気ー」
自分が一番の深見の『好い人』だと主張するべく、その腕を絡ませてくる清光。
そう思ってくれるのはとても嬉しいが、その後ろでは清光の幸せオーラと正反対、歌仙が怖い顔をしている。
歌仙の雷が落ちぬ内に、清光の腕をそっと離した。
清光の腕を離しても未だ指から降りない文鳥を、宙に放つ。
和室の中いっぱいに円を描くように飛び回ると、その脚は歌仙の肩にとまった。
「主!僕の肩に……!」
「悪さはしないから大丈夫。この白文鳥の名前はユキ。おはなしが好きな男の子だからいっぱいはなしかけてあげてね」
「やっぱりオスか。どーりで主にべったりだったわけだ」
肩に止まったユキが細い脚でトコトコ歌仙の肩を移動する。
徐々におりて腕へ。そこが落ち着くのか、毛繕いを始めてしまった。
その様子をじいと眺める歌仙。
「白文鳥、見た目はそこまで鮮やかじゃあないね」
「そうかしら」
「俺もそう思う。だってあんまりカラフルじゃないでしょ?全体的に白っぽいし」
「私からは鮮やかに見えるんだけどねぇ。
真っ白な体に真っ赤なくちばし。目の周りも赤くて、そしてくりくりしたかわいい黒目……紅白でめでたいし、とっても綺麗」
「紅白でめでたいって……鶴丸みたいだね」
「たしかに色は彼に似ているね。……それに同じ鳥類だ」
今頃本丸では鶴丸がくしゃみをしているかもしれない。
「私は歌仙にも似てると思う」
「僕に?」
審神者が手を伸ばしたのは歌仙の顔。
顔を両手で挟み込み、その目を覗き込む。
「この目尻の紅、とっても似てる。美しくて、そしてあいらしい。この色、私大好き。
……だから文鳥も好きなのよね」
歌仙が目元にひく赤いアイライン。
文鳥の赤いアイリングと同じ色。
歌仙にとっては自分のことを美しくて愛らしくて大好き、と言われているのと同じことだった。
その時、清光が母親に呼ばれた。たぶん何かの手伝いをして欲しいのだろう。
この短時間でそうとう仲良くなったようだ。母の清光に対する態度はまるで息子だ。
もちろん深見の了承を得てからだが、ふたつ返事で台所の方へ行ってしまった。
「二振りが予想した通り、うちは鳥を飼ってるの。文鳥よ」
「かわいいでしょう?」と同意を求める深見と共に登場したのは、籠に入った真っ白な小鳥。
籠という表現を使うと、本丸で留守番をしているであろう宗三左文字が何か言いそうである。
「ぴ!」と鳴いて見上げてくるそれは、横から見ると凛々しいのに、真正面から見ればどこかとぼけた顔に見えた。
「へえ、文鳥は初めて見たよ。愛らしくてなかなか雅な鳥じゃないか」
「小さくてかわいい鳥だね。雀くらいの大きさ?
ま、俺の方がかわいいし主にかわいがってもらってるけどねー?」
清光は得意げだ。
たしかに清光はとてもかわいい。
同じ女である自分とは比べ物にならないくらい、女子らしい可愛らしさを持っている。男だが。
おかげで本刃の言う通り、やたら可愛がっているかもしれない。
「清光……鳥にまで嫉妬してるの?」
「だって俺は主のたったひとりの加州清光だからね!」
キャルルル!!
籠の中、文鳥が反論するように口を開けて鳴いている。
その様はさながら小さな恐竜だ。
「ねえ主ー、こいつなんか怒ってるの?」
「加州が張り合うような事言ったからじゃあないのかい?」
「あー、多分違うわね。きっと籠から出たいのよ」
待ってましたとでも言うように入り口の前に、細い脚をでん!と踏ん張り待機している文鳥。
籠の鉄柵をスライドさせると、軽やかな羽音とともに「ぴっ!」飛び出てきた。
そして深見の指にとまり、まっかな苺のようなくちばしで、がぶ!と噛んだ。
「いた、……噛まれちゃったわ」
「鳴きながら噛んでるよ、気性荒い!」
「主、大丈夫かい!?」
文鳥のくちばしは力が強い。
くちばしが深見の指に埋もれていくのを見て、清光と歌仙が慌てて詰め寄ってくる。
「大丈夫大丈夫、血も出てない。『なんで全然帰って来なかったの。さみしかったよ!』って怒ってるだけだから。
それに、もう噛んでない」
噛みついたのが嘘のようにキョトンと愛くるしく指の上から3人を見上げてくる文鳥。
その文鳥のまっくろでキラキラした瞳と、歌仙の碧い瞳が交錯するのがよく見えた。
「寂しがったり怒ったり、愛情表現が人や僕らと変わらないんだね」
「小鳥にも心があるってこと。特に文鳥は、飼い主をパートナーだと思う事が多いの。感情表現がとっても豊かな鳥なのよ」
「それって主を自分の『好い人』だと思ってるってことでしょ?なんか生意気ー」
自分が一番の深見の『好い人』だと主張するべく、その腕を絡ませてくる清光。
そう思ってくれるのはとても嬉しいが、その後ろでは清光の幸せオーラと正反対、歌仙が怖い顔をしている。
歌仙の雷が落ちぬ内に、清光の腕をそっと離した。
清光の腕を離しても未だ指から降りない文鳥を、宙に放つ。
和室の中いっぱいに円を描くように飛び回ると、その脚は歌仙の肩にとまった。
「主!僕の肩に……!」
「悪さはしないから大丈夫。この白文鳥の名前はユキ。おはなしが好きな男の子だからいっぱいはなしかけてあげてね」
「やっぱりオスか。どーりで主にべったりだったわけだ」
肩に止まったユキが細い脚でトコトコ歌仙の肩を移動する。
徐々におりて腕へ。そこが落ち着くのか、毛繕いを始めてしまった。
その様子をじいと眺める歌仙。
「白文鳥、見た目はそこまで鮮やかじゃあないね」
「そうかしら」
「俺もそう思う。だってあんまりカラフルじゃないでしょ?全体的に白っぽいし」
「私からは鮮やかに見えるんだけどねぇ。
真っ白な体に真っ赤なくちばし。目の周りも赤くて、そしてくりくりしたかわいい黒目……紅白でめでたいし、とっても綺麗」
「紅白でめでたいって……鶴丸みたいだね」
「たしかに色は彼に似ているね。……それに同じ鳥類だ」
今頃本丸では鶴丸がくしゃみをしているかもしれない。
「私は歌仙にも似てると思う」
「僕に?」
審神者が手を伸ばしたのは歌仙の顔。
顔を両手で挟み込み、その目を覗き込む。
「この目尻の紅、とっても似てる。美しくて、そしてあいらしい。この色、私大好き。
……だから文鳥も好きなのよね」
歌仙が目元にひく赤いアイライン。
文鳥の赤いアイリングと同じ色。
歌仙にとっては自分のことを美しくて愛らしくて大好き、と言われているのと同じことだった。
その時、清光が母親に呼ばれた。たぶん何かの手伝いをして欲しいのだろう。
この短時間でそうとう仲良くなったようだ。母の清光に対する態度はまるで息子だ。
もちろん深見の了承を得てからだが、ふたつ返事で台所の方へ行ってしまった。