とうらぶの短いお話
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しばし燭台切光忠を眺めたのち、他の展示室へと向かうガラス張りの廊下を歩きながら、思った事を光忠に伝える。
「ねえ、光忠。伊達政宗公と離されてしまって嫌だった?」
「どうだったかなあ」
立ち止まった光忠に合わせ、深見も立ち止まって光忠が答えるのを待つ。
「一度は政宗公に断られたんだ。でも、どうしても欲しいと再三言われてね。最終的に政宗公が手放したんだよ」
色々あったなあ……。
宙を見つめ、しみじみと言う光忠。
刀としての生なんて経験したことのない深見にはわからないが、人の生き死にやら歴史を何年も、何十年も見てきたであろうその刃生。
辛いこと、苦しいこと、たくさんあっただろう。
「……光圀公の元にいなかったら消失してなかったかもしれないよね」
ハハ、と光忠は乾いた笑いを浮かべた。
「光忠……」
特に光忠の刃生は苦しかったはず。
熱かった、なんてものじゃすまないだろう。
救いのない蔵の中、ジリジリと蒸し焼きにされ、黒く焼け焦げてしまった光忠。
どう、声をかけたらいい?
これにそうだね、なんて答えたら、光忠は歴史を変えたくなるんじゃないか?
好奇心の赴くまま、なんでこんな事聞いてしまったのだろう。
「なーんて、そんなもしも話はいけないよね。それこそ遡行軍と同じになってしまうから。
燃えてしまったことも含めて、全部僕の歴史だ」
「……うん!」
光忠がそう思ってくれているなら良かった。
ガラスから入る光、その向こうにずっと広がる緑の芝生をまぶしそうに眼に焼き付けながら、光忠は続けた。
「色々思うところはあるよ、でもね。
君に会えた。
君と出会って、人の体を得て、刀としても戦う事が出来るようになって。
たくさんやれる事が増えた。
してみたいと思っていた料理だって出来るようになった。
仲間も増えた。再び伽羅ちゃん、鶴さん、貞ちゃんにも会えた」
そして君を好きになった。
それは光忠の心の中の言葉で、深見に今伝えるべきではないとわかっているのか、口の中にグッと押し留める。
「今は君が僕の主だ。
ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう……光忠」
光の中で微笑む光忠は、一瞬だが天下五剣のそれよりも輝いて見えた。
「ねえ、光忠。伊達政宗公と離されてしまって嫌だった?」
「どうだったかなあ」
立ち止まった光忠に合わせ、深見も立ち止まって光忠が答えるのを待つ。
「一度は政宗公に断られたんだ。でも、どうしても欲しいと再三言われてね。最終的に政宗公が手放したんだよ」
色々あったなあ……。
宙を見つめ、しみじみと言う光忠。
刀としての生なんて経験したことのない深見にはわからないが、人の生き死にやら歴史を何年も、何十年も見てきたであろうその刃生。
辛いこと、苦しいこと、たくさんあっただろう。
「……光圀公の元にいなかったら消失してなかったかもしれないよね」
ハハ、と光忠は乾いた笑いを浮かべた。
「光忠……」
特に光忠の刃生は苦しかったはず。
熱かった、なんてものじゃすまないだろう。
救いのない蔵の中、ジリジリと蒸し焼きにされ、黒く焼け焦げてしまった光忠。
どう、声をかけたらいい?
これにそうだね、なんて答えたら、光忠は歴史を変えたくなるんじゃないか?
好奇心の赴くまま、なんでこんな事聞いてしまったのだろう。
「なーんて、そんなもしも話はいけないよね。それこそ遡行軍と同じになってしまうから。
燃えてしまったことも含めて、全部僕の歴史だ」
「……うん!」
光忠がそう思ってくれているなら良かった。
ガラスから入る光、その向こうにずっと広がる緑の芝生をまぶしそうに眼に焼き付けながら、光忠は続けた。
「色々思うところはあるよ、でもね。
君に会えた。
君と出会って、人の体を得て、刀としても戦う事が出来るようになって。
たくさんやれる事が増えた。
してみたいと思っていた料理だって出来るようになった。
仲間も増えた。再び伽羅ちゃん、鶴さん、貞ちゃんにも会えた」
そして君を好きになった。
それは光忠の心の中の言葉で、深見に今伝えるべきではないとわかっているのか、口の中にグッと押し留める。
「今は君が僕の主だ。
ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう……光忠」
光の中で微笑む光忠は、一瞬だが天下五剣のそれよりも輝いて見えた。