とうらぶの短いお話
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『光忠と徳川ミュージアム行った話』
***
本日の近侍は燭台切光忠。
予てよりどうしても行って見たかった現世での場所、そこへ足を運ぶための近侍。
本丸からまずは政府の本部へ。
本部から行きたい現世を選び、やってきた2人。
その時代の本部最寄りの駅より、鈍行電車を乗り継いでようやく着いたそこは、関東は茨城県県庁所在地に位置する徳川ミュージアムという小さな博物館だ。
駅から少々歩いて、ようやく着いた博物館前。
その一角の自動販売機で端末をかざして冷たいお茶を簡単に買う深見を見て、光忠は気がついた。
「ここ、もしかして主がいた時代かい?」
「ん、よくわかったね」
光忠の分を彼に渡し、缶のプルタブを開けて飲む。
鶯丸の入れたお茶にはどうしても劣るが、小さい頃から飲み慣れた缶のお茶は、喉を懐かしく優しく潤した。
「ありがとう。
んー、駅で切符を買う時もそうだけど、勝手知ったる……って言う感じだったからもしかして、と思って」
「私が住んでいたところではないけれど、時代はそう。私が審神者になった年くらいかな」
まだ審神者なんてあまり聞かなかった時代。
自分とは関係のない遠い出来事で、ニュースなんかでちらほら聞くぐらいで。
どこか他人事のように思えていた。
それが、まさか自分がその審神者になるなんて……。
「そろそろ行こうか。『僕』を見に行くんだろう?」
「うん、そうね。本霊の『燭台切光忠』が拗ねちゃうかもしれないものね」
飲み終えた光忠と共に中へ入り、チケットを買って展示物を見始める。
平日だからか、中に他の客はほとんどいなかった。
博物館は本当に小さい。
博物館というより歴史館、といった感じでもある。
水戸藩主に由来する品々、徳川家の家系図や、徳川縁の文化財が点々と並ぶ静かな展示室。
先人達の歴史をゆっくり、ゆっくり噛みしめて理解するように眺めていく深見の横顔を、光忠は展示物を見るふりして、じっと見つめた。
「ねえ」
真剣そのもののその表情を、自分にも向けて欲しくて。
この博物館にある『燭台切光忠』ではなく、自分の方にももっと興味を持って欲しくて。
そう思った光忠が呼び止める。
「ん?」
「これはデート、ととってもいいかな?」
真っ直ぐこちらを見て、光忠が笑みを浮かべる。
その視線と、それからデートというストレートな言葉に、心臓が跳ねた。
「!…………そ、そうね。デートになっちゃうかな」
「何だい今の間は」
だって、デートなんて恥ずかしいじゃない?それもこんなかっこいい付喪神様となんて。
認めてしまったら、もっと照れちゃって、顔に出ちゃう。
だいたい、本丸を出る時からそうだ。
悔しいけども、イケメンは何を着ても似合うのだから。
光忠の今の格好?
現世に合わせて、どこかのモデルさんのような出で立ちに変わってるのよ。
これで照れない女の人はいないと思う。
***
本日の近侍は燭台切光忠。
予てよりどうしても行って見たかった現世での場所、そこへ足を運ぶための近侍。
本丸からまずは政府の本部へ。
本部から行きたい現世を選び、やってきた2人。
その時代の本部最寄りの駅より、鈍行電車を乗り継いでようやく着いたそこは、関東は茨城県県庁所在地に位置する徳川ミュージアムという小さな博物館だ。
駅から少々歩いて、ようやく着いた博物館前。
その一角の自動販売機で端末をかざして冷たいお茶を簡単に買う深見を見て、光忠は気がついた。
「ここ、もしかして主がいた時代かい?」
「ん、よくわかったね」
光忠の分を彼に渡し、缶のプルタブを開けて飲む。
鶯丸の入れたお茶にはどうしても劣るが、小さい頃から飲み慣れた缶のお茶は、喉を懐かしく優しく潤した。
「ありがとう。
んー、駅で切符を買う時もそうだけど、勝手知ったる……って言う感じだったからもしかして、と思って」
「私が住んでいたところではないけれど、時代はそう。私が審神者になった年くらいかな」
まだ審神者なんてあまり聞かなかった時代。
自分とは関係のない遠い出来事で、ニュースなんかでちらほら聞くぐらいで。
どこか他人事のように思えていた。
それが、まさか自分がその審神者になるなんて……。
「そろそろ行こうか。『僕』を見に行くんだろう?」
「うん、そうね。本霊の『燭台切光忠』が拗ねちゃうかもしれないものね」
飲み終えた光忠と共に中へ入り、チケットを買って展示物を見始める。
平日だからか、中に他の客はほとんどいなかった。
博物館は本当に小さい。
博物館というより歴史館、といった感じでもある。
水戸藩主に由来する品々、徳川家の家系図や、徳川縁の文化財が点々と並ぶ静かな展示室。
先人達の歴史をゆっくり、ゆっくり噛みしめて理解するように眺めていく深見の横顔を、光忠は展示物を見るふりして、じっと見つめた。
「ねえ」
真剣そのもののその表情を、自分にも向けて欲しくて。
この博物館にある『燭台切光忠』ではなく、自分の方にももっと興味を持って欲しくて。
そう思った光忠が呼び止める。
「ん?」
「これはデート、ととってもいいかな?」
真っ直ぐこちらを見て、光忠が笑みを浮かべる。
その視線と、それからデートというストレートな言葉に、心臓が跳ねた。
「!…………そ、そうね。デートになっちゃうかな」
「何だい今の間は」
だって、デートなんて恥ずかしいじゃない?それもこんなかっこいい付喪神様となんて。
認めてしまったら、もっと照れちゃって、顔に出ちゃう。
だいたい、本丸を出る時からそうだ。
悔しいけども、イケメンは何を着ても似合うのだから。
光忠の今の格好?
現世に合わせて、どこかのモデルさんのような出で立ちに変わってるのよ。
これで照れない女の人はいないと思う。