その2、連続鍛刀と体調不良
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深見が来たのは執務室でなく鍛刀部屋。
鍛刀部屋の妖精を目の前に、深見は資源を手にとる。
前田を入手したとはいえ、初陣の失敗を繰り返さないためにも、戦力は更に拡大せねばならない。
戦場で保護する以外に仲間を増やすには、鍛刀が手っ取り早い。
幸い、彼らの初陣では何故か資源も手に入った。多分、敵勢が増えたのに伴って資源の採掘も出来るようになったのだろう。
元々あった資源と合わせれば当面の間たりなくなる事はない。
一部隊に投入できる刀剣は六振り。あと、三振り必要だ。
三振りならば、今の私の霊力でどうにかなるかもしれない。
ただ、先ほどまで精神的に弱っていた私が使える霊力の量が、足りないかもしれないというのもあって。
そう、一番心配なのは、この私の霊力。
自分が弱いのを理解している分、なんとかなるかも、なんて考えているくらいだ。
鍛刀部屋の妖精達へ配分を決めた資源と依頼札を渡し、猛火へ投下された玉鋼を眺めながら、しばし待つ。
火が体や顔を炙るように照らして熱いが、出来上がりをここで待ちたかった。
手伝い札も使わず、四つある鍛冶場の内、三つを眺めて待つこと数十分、短刀ふた振りに脇差一振り出来上がる。
もしかすると、歌仙達はすでに風呂から上がっているだろう時間。
出来上がった刀の全てが、粟田口一派の刀剣。
乱と前田の喜ぶ顔が浮かんで、思わず顔が綻んだ。
手を刀に触れさせ、そして黒塗り鞘の短刀、白塗り鞘の脇差、白地に黒の丸模様鞘の短刀……順に霊力を流し込むと。
「よお大将。俺っち、薬研藤四郎だ。兄弟ともども、よろしく頼むぜ」
「俺の名前は鯰尾藤四郎。燃えて記憶が一部ないけど、過去なんか振り返ってやりませんよ!」
「僕は、五虎退です。あの……しりぞけてないです。すみません。だって、虎がかわいそうなんで」
顕現したのは順に、色白で儚げな印象を受けるも中身は男気溢れる性格を持つ薬研藤四郎。
粟田口揃いの軍服を着込む長い黒髪の鯰尾藤四郎。
そして白い虎を五匹連れる白い髪の健気で頑張り屋の五虎退だ。
「私がこの本丸の審神者です。
刀剣男士の皆様、歴史を守る為どうかそのお力をお貸しください」
歌仙に敬語は外すよう言われたが、最初のこの挨拶くらいは、きちんとしたい。
深々とこうべを垂れて、深見は新たなる刀剣男士を迎えた。
「ああ、仲良くやろうや、たーいしょ」
「俺の主は女人なんですね~。よろしく!」
「は、はいっ、もちろんです……」
三振りという事で、歌仙・乱・前田の全員でこの本丸を案内してもらおう。
目の前がふらついたのはそう思い、立ち上がろうとした時だった。
立ちくらみなどではない。
三振りもの刀剣男士を顕現した反動がきたのだ。
ーーーとうとう霊力切れか。
乱を鍛刀している最中時も、出来上がるまでに霊力が抜き取られるような感覚はあった。顕現した時もだ。
まるで体重が少しだけ軽くなったような、心地よさ。そう、それは心地よかったのだ。
だがこれはまずい。
あ、倒れるかも。
そう思った瞬間、審神者を抱き留めたのは歌仙だった。
「主……っ!」
この中で一番機動が高いとはいえ、鍛刀部屋の入り口にいた歌仙と目の前にいた薬研達では距離が違いすぎる。
なのに、歌仙は誰よりも早く、深見を抱き留めてみせた。
まるで主の窮地に駆けつけるヒーローだ。
「あはは、歌仙……ありがとう」
酷く焦った表情の歌仙の顔が目の前に。
その顔が少し怖くて、深見は誤魔化すような笑みを浮かべてしまった。
深くため息を吐き出す歌仙。
「君ってお人は!!!」
「ひゃい!?」
ど な ら れ た !
しかも至近距離で。
「感謝している場合か!
君はうつけ者だ!体調を崩したばかりだと言うのに、何を無理してるんだ……!」
「だって……みんなが怪我をしないで済むようにしたかったんだもの。
それにほら、みんな粟田口。乱と前田の兄弟が来てくれたのよ」
そう言ってみれば、今度は傍から乱と前田が心配そうに覗き込んできた。
「うん、それはすごく嬉しい。でもね、あるじさん……そんな焦らなくていいんだよ?」
「主君が倒れられては意味ありません。
もっと、お身体を大事になさってください」
「あ、あるじさまぁ~……」
乱と前田という兄弟刀の言葉に、顕現したばかりでどこか赤子と変わらぬ五虎退が虎をぎゅうと抱いてわんわん泣いた。
鍛刀部屋の妖精を目の前に、深見は資源を手にとる。
前田を入手したとはいえ、初陣の失敗を繰り返さないためにも、戦力は更に拡大せねばならない。
戦場で保護する以外に仲間を増やすには、鍛刀が手っ取り早い。
幸い、彼らの初陣では何故か資源も手に入った。多分、敵勢が増えたのに伴って資源の採掘も出来るようになったのだろう。
元々あった資源と合わせれば当面の間たりなくなる事はない。
一部隊に投入できる刀剣は六振り。あと、三振り必要だ。
三振りならば、今の私の霊力でどうにかなるかもしれない。
ただ、先ほどまで精神的に弱っていた私が使える霊力の量が、足りないかもしれないというのもあって。
そう、一番心配なのは、この私の霊力。
自分が弱いのを理解している分、なんとかなるかも、なんて考えているくらいだ。
鍛刀部屋の妖精達へ配分を決めた資源と依頼札を渡し、猛火へ投下された玉鋼を眺めながら、しばし待つ。
火が体や顔を炙るように照らして熱いが、出来上がりをここで待ちたかった。
手伝い札も使わず、四つある鍛冶場の内、三つを眺めて待つこと数十分、短刀ふた振りに脇差一振り出来上がる。
もしかすると、歌仙達はすでに風呂から上がっているだろう時間。
出来上がった刀の全てが、粟田口一派の刀剣。
乱と前田の喜ぶ顔が浮かんで、思わず顔が綻んだ。
手を刀に触れさせ、そして黒塗り鞘の短刀、白塗り鞘の脇差、白地に黒の丸模様鞘の短刀……順に霊力を流し込むと。
「よお大将。俺っち、薬研藤四郎だ。兄弟ともども、よろしく頼むぜ」
「俺の名前は鯰尾藤四郎。燃えて記憶が一部ないけど、過去なんか振り返ってやりませんよ!」
「僕は、五虎退です。あの……しりぞけてないです。すみません。だって、虎がかわいそうなんで」
顕現したのは順に、色白で儚げな印象を受けるも中身は男気溢れる性格を持つ薬研藤四郎。
粟田口揃いの軍服を着込む長い黒髪の鯰尾藤四郎。
そして白い虎を五匹連れる白い髪の健気で頑張り屋の五虎退だ。
「私がこの本丸の審神者です。
刀剣男士の皆様、歴史を守る為どうかそのお力をお貸しください」
歌仙に敬語は外すよう言われたが、最初のこの挨拶くらいは、きちんとしたい。
深々とこうべを垂れて、深見は新たなる刀剣男士を迎えた。
「ああ、仲良くやろうや、たーいしょ」
「俺の主は女人なんですね~。よろしく!」
「は、はいっ、もちろんです……」
三振りという事で、歌仙・乱・前田の全員でこの本丸を案内してもらおう。
目の前がふらついたのはそう思い、立ち上がろうとした時だった。
立ちくらみなどではない。
三振りもの刀剣男士を顕現した反動がきたのだ。
ーーーとうとう霊力切れか。
乱を鍛刀している最中時も、出来上がるまでに霊力が抜き取られるような感覚はあった。顕現した時もだ。
まるで体重が少しだけ軽くなったような、心地よさ。そう、それは心地よかったのだ。
だがこれはまずい。
あ、倒れるかも。
そう思った瞬間、審神者を抱き留めたのは歌仙だった。
「主……っ!」
この中で一番機動が高いとはいえ、鍛刀部屋の入り口にいた歌仙と目の前にいた薬研達では距離が違いすぎる。
なのに、歌仙は誰よりも早く、深見を抱き留めてみせた。
まるで主の窮地に駆けつけるヒーローだ。
「あはは、歌仙……ありがとう」
酷く焦った表情の歌仙の顔が目の前に。
その顔が少し怖くて、深見は誤魔化すような笑みを浮かべてしまった。
深くため息を吐き出す歌仙。
「君ってお人は!!!」
「ひゃい!?」
ど な ら れ た !
しかも至近距離で。
「感謝している場合か!
君はうつけ者だ!体調を崩したばかりだと言うのに、何を無理してるんだ……!」
「だって……みんなが怪我をしないで済むようにしたかったんだもの。
それにほら、みんな粟田口。乱と前田の兄弟が来てくれたのよ」
そう言ってみれば、今度は傍から乱と前田が心配そうに覗き込んできた。
「うん、それはすごく嬉しい。でもね、あるじさん……そんな焦らなくていいんだよ?」
「主君が倒れられては意味ありません。
もっと、お身体を大事になさってください」
「あ、あるじさまぁ~……」
乱と前田という兄弟刀の言葉に、顕現したばかりでどこか赤子と変わらぬ五虎退が虎をぎゅうと抱いてわんわん泣いた。