その2、連続鍛刀と体調不良
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「取り乱してごめんなさい」
落ち着いた深見が床に頭をつけて深々と謝罪する。
「頭をあげてよ、あるじさん……」
「そうだよ。主たる者、安易に頭を下げてはいけないよ」
深見にやんわりと頭を上げさせた歌仙は、気を取り直して保護した刀の件に入る。
「落ち着いたばかりの君には早速で悪いけど、保護した刀の顕現をしてもらいたい。それも審神者の仕事だろう?
乱、保護した君の兄弟刀を連れてきてくれるかい」
「もちろんだよ!楽しみだな~」
すきっぷすきっぷらんらんらーん。
顕現したてでどこでスキップなど覚えたのかよくわからないが、乱は嬉しそうに兄弟刀の場所へと向かった。
その様子を幸せそうに眺めながら、深見は苦笑をこぼす。
「ふふ、ほんと……どちらが主かわからないわね。また歌仙に助けられちゃった」
「やれやれ、君って奴は全く……。まあ、僕らの本丸はまだ始まったばかり。ゆっくりやっていこう」
そして乱のいなくなった手入れ部屋で、歌仙は居住まいを正し、同じように深見も正しく坐り直す。
「それで、君は何をそんなに怯えているんだい?
僕らは刀、斬るのが本分。出陣先には遊びに行くんじゃない、戦いに行くんだよ。傷の一つや二つ負って当たり前なのさ」
「……でも、私は傷ついた者を見たくないの。見るのが、こわいの」
『また』の意味、そして怯えの理由は教えてはもらえない。
いつかは教えてもらえるかもしれないが、今はうまくはぐらかされてやるとしよう。
「確かに、戦場に行くのに傷を負わないでというのは無理よね。それでも審神者は指示するのみ。ごめんなさい。どうやったって、私達の采配は貴方達に傷を負わせてしまう……。
けれど約束して欲しい。傷を負い次第すぐに帰還する、と。……お願い」
「わかったよ。乱やこれから来る者にもここでの掟として。暗黙の了解とでもしておこう」
主は何を恐れ、何に許されたいのだろう。
いや、彼女はその何かに許されたくはないのだろう。
……許しを求めていない。
主は、刀剣が傷つけば傷ついた分だけ、情緒不安定になるのだ。
気をつけよう。
せめて主が刀剣達の傷と怪我に慣れてくれるその時までは。
その時、乱が一振りの短刀をとても大事そうに抱えて持ってきた。
黒塗りの鞘に枝藤と前の字が特徴的な紋の掘られた美しい短刀だ。
「はい、この刀がボクの末っ子の弟『前田藤四郎』だよ!
はやく顕現してあげて~」
「ありがとう。ちょっと待ってね」
惚れ惚れするほどの業物をそっと手に取り、上下左右からじっくりとながめる。
伏し目がちに見つめ、ほう…と感嘆のため息を漏らすと、歌仙と乱が羨望の眼差しで深見を見る。
深見から愛しい者を見るような視線を向けられる事は、どの刀剣にとっても嬉しく、そして羨ましいのだ。
満足するまで眺めたら、ようやく顕現だ。
触れた先から顕現のための神力…霊力を流していく。
すう…と、霊力が刀に吸い込まれ、眩く光ると同時、童子とも取れる小さな姿の付喪神が姿を現した。
「前田藤四郎と申します。末永くお仕えします」
色素の薄いおかっぱ頭に乱と同じく学帽をかぶる刀剣男士が、深見の前に頭を下げる。
末の弟と言っていたが、少なくとも、乱よりはしっかりしていそうな印象だと、歌仙は思ったそうな。
「私がこの本丸の審神者です。私も前田の主として、末永く勤めを果たせるよう頑張るので、これからよろしくお願いしますね」
「はい!主君!」
固く握手を交わした2人に、深見の体に後ろから抱き着くようにして割って入ったのは、乱だ。
「前田!久しぶりだね!」
「乱兄さん!久しぶりですね!」
お互い再会できて嬉しそうだ。
「……もしかして他にも兄弟が来ているのですか?」
「うーん、まだそんなにいないんだ。ボク達三振りだけだよ」
「まだこの本丸は運営が始まったばかりなの、ごめんね」
「いいえ、滅相も無いです。ですが、はやく他の兄弟にも会いたいです……!」
「そうだね、いち兄にも会いたいなぁ……」
粟田口一派にはたくさん兄弟刀がいると聞く。
乱や前田の為にも、はやくお迎えせねばなるまい。
落ち着いた深見が床に頭をつけて深々と謝罪する。
「頭をあげてよ、あるじさん……」
「そうだよ。主たる者、安易に頭を下げてはいけないよ」
深見にやんわりと頭を上げさせた歌仙は、気を取り直して保護した刀の件に入る。
「落ち着いたばかりの君には早速で悪いけど、保護した刀の顕現をしてもらいたい。それも審神者の仕事だろう?
乱、保護した君の兄弟刀を連れてきてくれるかい」
「もちろんだよ!楽しみだな~」
すきっぷすきっぷらんらんらーん。
顕現したてでどこでスキップなど覚えたのかよくわからないが、乱は嬉しそうに兄弟刀の場所へと向かった。
その様子を幸せそうに眺めながら、深見は苦笑をこぼす。
「ふふ、ほんと……どちらが主かわからないわね。また歌仙に助けられちゃった」
「やれやれ、君って奴は全く……。まあ、僕らの本丸はまだ始まったばかり。ゆっくりやっていこう」
そして乱のいなくなった手入れ部屋で、歌仙は居住まいを正し、同じように深見も正しく坐り直す。
「それで、君は何をそんなに怯えているんだい?
僕らは刀、斬るのが本分。出陣先には遊びに行くんじゃない、戦いに行くんだよ。傷の一つや二つ負って当たり前なのさ」
「……でも、私は傷ついた者を見たくないの。見るのが、こわいの」
『また』の意味、そして怯えの理由は教えてはもらえない。
いつかは教えてもらえるかもしれないが、今はうまくはぐらかされてやるとしよう。
「確かに、戦場に行くのに傷を負わないでというのは無理よね。それでも審神者は指示するのみ。ごめんなさい。どうやったって、私達の采配は貴方達に傷を負わせてしまう……。
けれど約束して欲しい。傷を負い次第すぐに帰還する、と。……お願い」
「わかったよ。乱やこれから来る者にもここでの掟として。暗黙の了解とでもしておこう」
主は何を恐れ、何に許されたいのだろう。
いや、彼女はその何かに許されたくはないのだろう。
……許しを求めていない。
主は、刀剣が傷つけば傷ついた分だけ、情緒不安定になるのだ。
気をつけよう。
せめて主が刀剣達の傷と怪我に慣れてくれるその時までは。
その時、乱が一振りの短刀をとても大事そうに抱えて持ってきた。
黒塗りの鞘に枝藤と前の字が特徴的な紋の掘られた美しい短刀だ。
「はい、この刀がボクの末っ子の弟『前田藤四郎』だよ!
はやく顕現してあげて~」
「ありがとう。ちょっと待ってね」
惚れ惚れするほどの業物をそっと手に取り、上下左右からじっくりとながめる。
伏し目がちに見つめ、ほう…と感嘆のため息を漏らすと、歌仙と乱が羨望の眼差しで深見を見る。
深見から愛しい者を見るような視線を向けられる事は、どの刀剣にとっても嬉しく、そして羨ましいのだ。
満足するまで眺めたら、ようやく顕現だ。
触れた先から顕現のための神力…霊力を流していく。
すう…と、霊力が刀に吸い込まれ、眩く光ると同時、童子とも取れる小さな姿の付喪神が姿を現した。
「前田藤四郎と申します。末永くお仕えします」
色素の薄いおかっぱ頭に乱と同じく学帽をかぶる刀剣男士が、深見の前に頭を下げる。
末の弟と言っていたが、少なくとも、乱よりはしっかりしていそうな印象だと、歌仙は思ったそうな。
「私がこの本丸の審神者です。私も前田の主として、末永く勤めを果たせるよう頑張るので、これからよろしくお願いしますね」
「はい!主君!」
固く握手を交わした2人に、深見の体に後ろから抱き着くようにして割って入ったのは、乱だ。
「前田!久しぶりだね!」
「乱兄さん!久しぶりですね!」
お互い再会できて嬉しそうだ。
「……もしかして他にも兄弟が来ているのですか?」
「うーん、まだそんなにいないんだ。ボク達三振りだけだよ」
「まだこの本丸は運営が始まったばかりなの、ごめんね」
「いいえ、滅相も無いです。ですが、はやく他の兄弟にも会いたいです……!」
「そうだね、いち兄にも会いたいなぁ……」
粟田口一派にはたくさん兄弟刀がいると聞く。
乱や前田の為にも、はやくお迎えせねばなるまい。