「今日は～楽しい～ハロウィ～ン～～♪
にゃんにゃんにゃ～ん♪♪
生クリィムにチョコレェト！お菓子に恋の魔法をかけちゃいましょ～！るんる、るるるん♪」

自作であろう鼻歌を歌いながら、ディーヴァはハロウィンのお菓子の準備中である。

「これであとは焼きあがりを待つだけっと！」

スイッチ、オン！
オーブンの電源を入れて出来上がりをお茶をゆっくり飲みながら待つ。

ディーヴァ以上に騒ぐお祭り男、ダンテは今いない。
仮装して近所でお菓子を貰う子ども達にまぎれ、自分も仮装してお菓子を貰いに行っているのだ。
いい年こいて大人げない……と思うが、ダンテならなんとなく許せる。
それだけお茶目……ということにでもしておこう。

「ディーヴァ！」

噂をすればほぅら。
バン！と扉が空いてダンテが帰ってきた。

「あ、おかえりダンテ」

軽くのハグをかわすと、ダンテの抱えるお菓子の籠が空っぽなのに気がつく。

「あれ？お菓子は？」
「食べちまった。つーかあんまりもらえなかったんだよな……」

残念そうに言うダンテ。

「大人だからじゃない？それにけっこうダンテの衣装……リアルでこわいし逃げちゃったのかも」
「確かにこわいもんなぁ……」

仮装には違いないのだが、ダンテの格好は包帯で全身グルグル巻きのミイラ男。
所々血糊でベットリと染まっており、肌は顔の一部くらいしか見えていない。

ダンテの声がそこから聞こえなかったらディーヴァさえも尻尾を巻いて逃げ出すこわさだった。

そう、文字通り尻尾を巻いて……である。

ダンテはこれ以上怖がらせないよう、顔の部分を覆っていた包帯を解いていった。