本日は４月１４日。
街には柑橘系……オレンジの香りが溢れていた。

そしてダンテとディーヴァの住むこの場所にも、さわやかなオレンジの香りが漂っていた。

そう、今日はオレンジデーなのである。

「昨日オレンジたくさん買っといてよかったぜ」

家中にあふれるさわやかな香りを胸いっぱいに吸い込み、堪能するダンテ。

昨日のスーパーへの買い出しは粉物や液体の物……つまり重い物が多かった。
加えてディーヴァは学校が忙しく、ダンテが買い物に行ったのだ。

「ダンテ、お買いものに……行ってくれる？」

え、ダンテが！？
と思うかもしれないが、愛するディーヴァに上目づかいで頼まれると二つ返事で頷いてしまうダンテ。

ダンテは依頼やら仕事のない日には、そんな感じで買い物を頼まれたりするのである。

ディーヴァ……お前……賢いな！
『なんとかとハサミは使いようでしょ？』
……さいですか。

オレンジよりはイチゴの方が好きなダンテだが、今日ばかりはせっかくのオレンジデー。

なんだかオレンジを食べてみようという気にさせられる。

ちなみにディーヴァは今、珍しくお昼寝中。

昨日一緒に遅くまでテレビを見てしまい夜更かしをしたためか、朝食や家事、掃除を終わらせたあと軽く寝るのをすすめたのだ。

「ああ、オレだけの眠り姫……」

長いまつ毛がまぶたに影を落とし、白磁の肌は新雪のような輝きを放つ。
思わず自分色に穢してしまいたい衝動にかられた。

しかしさすがに寝込みを襲うのはどうかと思ったダンテは、恍惚の表情でその寝顔を眺めるにとどめ、ある準備をしに階下へと降りた。