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「あれは……」
ネロがパンを抱いて逃げる途中だった。
すれ違った富裕層の行列に、その掃き溜めに似つかわしくない、美しい少女がいるのに気がついた。
着ているものこそみすぼらしいが、それはまるで天使が舞い降りたかのよう。
豊かに流れる薄い銀緑の髪、透き通る白い肌、伏せられた睫毛からわずか見えるエメラルドの瞳……美術品のようだった。
なぜだろう。
見たことがないはずなのに、少女には見覚えがある気がする。
逃げることを忘れ、少女に目を奪われたネロは、立ち尽くす。
その手からパンが転げ落ちた。
行列の馬車から聞こえる、少女の隣の男の声。
それを聞いたネロは、今すぐ殺して少女を解放してやりたい思いに駆られた。
「この娘はほんとうに上玉だな。かわいがるのが楽しみだ……」
下卑た笑いと、その醜く汚い手が少女の顎に伸び、上向かす。
上から下まで舐めるようにみる視線こそ、ネロの体に憑いた悪魔よりも悪魔だった。
「笑え!……俺が今からお前の、ディーヴァの主人だ!ご主人様と呼ぶんだ!」
「ひっ……ご、ご主人様…」
首につけられた首輪の先、縄を引っ張って無理矢理言葉を出させる。
手足についた枷を見れば一目瞭然。
遠い街から口べらしか、何かで売られてきたのだろう。
満足そうに笑う主人の横で、少女のうつむく瞳に涙が光った。
『ディーヴァ』。
それが、少女の名前か。
行列の入っていく屋敷を見届け、場所を覚える。
そして、叫びながらただ、ただ、走った。
「ああああああ!!」
清らかなその身体に穢れた手が今もなお触れているのかと思うと、自分の弱さが許せない。
悪魔の腕があろうが、今のネロには力はない。
屋敷を守護する門兵には勝てない。
ディーヴァには自由に生きる道があるという、思想を与えることすらできない。
「神って奴がいるなら、なんで俺達、下の人間は愛してくれないんだろうな……」
悪魔に魅入られている自分はいい。
だからせめて、ディーヴァだけでも愛してあげてほしい。
ネロがパンを抱いて逃げる途中だった。
すれ違った富裕層の行列に、その掃き溜めに似つかわしくない、美しい少女がいるのに気がついた。
着ているものこそみすぼらしいが、それはまるで天使が舞い降りたかのよう。
豊かに流れる薄い銀緑の髪、透き通る白い肌、伏せられた睫毛からわずか見えるエメラルドの瞳……美術品のようだった。
なぜだろう。
見たことがないはずなのに、少女には見覚えがある気がする。
逃げることを忘れ、少女に目を奪われたネロは、立ち尽くす。
その手からパンが転げ落ちた。
行列の馬車から聞こえる、少女の隣の男の声。
それを聞いたネロは、今すぐ殺して少女を解放してやりたい思いに駆られた。
「この娘はほんとうに上玉だな。かわいがるのが楽しみだ……」
下卑た笑いと、その醜く汚い手が少女の顎に伸び、上向かす。
上から下まで舐めるようにみる視線こそ、ネロの体に憑いた悪魔よりも悪魔だった。
「笑え!……俺が今からお前の、ディーヴァの主人だ!ご主人様と呼ぶんだ!」
「ひっ……ご、ご主人様…」
首につけられた首輪の先、縄を引っ張って無理矢理言葉を出させる。
手足についた枷を見れば一目瞭然。
遠い街から口べらしか、何かで売られてきたのだろう。
満足そうに笑う主人の横で、少女のうつむく瞳に涙が光った。
『ディーヴァ』。
それが、少女の名前か。
行列の入っていく屋敷を見届け、場所を覚える。
そして、叫びながらただ、ただ、走った。
「ああああああ!!」
清らかなその身体に穢れた手が今もなお触れているのかと思うと、自分の弱さが許せない。
悪魔の腕があろうが、今のネロには力はない。
屋敷を守護する門兵には勝てない。
ディーヴァには自由に生きる道があるという、思想を与えることすらできない。
「神って奴がいるなら、なんで俺達、下の人間は愛してくれないんだろうな……」
悪魔に魅入られている自分はいい。
だからせめて、ディーヴァだけでも愛してあげてほしい。