元拍手連載『which?』
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「……!」
これは確かに癒されるかもしれない。
イヌとは大違いだ。
ネコだからか、毛並みが滑らかで気持ちがいい。
「少しの間飼うか」
レディあたりに飼える奴探してもらおう。
その相手が見つかるまでの間、預かっている形で飼えばいい。
だが期間限定、そう決めたとて名がなくては困る。
「名前……。ふむ、そうだな……ぱっと思いついた単語で悪いが『レイン』ってのはどうだ?」
「にゃあ」
一度皿からミルクだらけになった顔をあげ、ネコが小さく鳴いた。
「お、そうかそうか。それでいいか」
安直な名だったが、とりあえず名前が決まった。
名前を決められ、少なからずレインが喜んでいる……?
ようにダンテには見えた。
しかし、ホットミルクだけといわけにもいかないし、自分の食事も用意しなくてはいけない。
が、しかたない。
帰り道で買ってくれば良かったとはいえ、レインの状態を考えるとそんな余裕はなかった。
「うちにはキャットフードなんてモンねぇ。かと言ってまだここに慣れてない以上下手に置いていけねぇな……」
ホットミルクを完食し、再びやってきた警戒心がダンテが撫でることを拒む。
短い天国でした、まる。
引っ掻かれること覚悟で頭を撫でつつ、壁にかかった悪魔の首のオブジェを目に入れる。
普段はシーンと静まり返るそれらも、ダンテが不在時は、呪いの言葉を吐き出したり幻覚を見せたりと、割とうるさい。
レインがビビって興奮してしまっては困る。
それはそうと地味に痛いから引っ掻く回数くらいは減らしてお願いだから。
結局自分の分はデリバリーのピザを頼んだ。
いい加減にツケを払え、と電話口で言われたが、今は手持ちがないと軽くあしらった。
だって本当に手持ちがない。
きっかり30分後、空腹MAXのダンテが手に取り口に運ぼうとするマルゲリータピッツァ。
その一切れを穴のあくほど見つめる目が2つ。
「……食うか?」
ダンテはネコの食べてはいけない食べ物までは知らない。
手に持った一切れをレインの鼻先に近づける。
レインはしばらくフンフンと匂いを嗅いでから。
た べ た !
ガツガツと、食べたのだ。
「ピザ好きなのか?どっかのピザ主食の白いネコみたいだな」
おいやめろ違う長編の話はするんじゃねぇ。
と、自身が食べているピッツァに黒くて嫌なものが乗っているのに気がついてしまった。
「げ、オリーブが乗ってるじゃねぇか」
頼む時にはオリーブ抜きでと何度も念押ししたというに……。
これはきっと、いつまでたってもツケを払わぬ自分への軽い嫌がらせに違いない。
嫌ならはやく払え、であろうか。
そう思って、摘むのも嫌なソレを指でヒョイと摘み、レインのピザに乗せようとした。
「これもやるから食え」
そう言いながら。
ビシッ!!
視界の端でレインの手が動いた。
くるくるくる、ぽと。
レインにあげたはずのソレが、弧を描いてダンテのピザに着地する。
「は……?」
デビルハンターでもない一般人のため、何が起きたか説明しよう。
ネコパンチで弾き返された!
でも、オリーブを食べるなんて選択肢、オレにはない。
もう一度オリーブを摘まみ上げ、レインのピザの上に返すダンテ。
ビシッ!!
くるくるくる、ぽと。
……ビシッ!!!!
くるくるくるくる…ぽとり。
コントロール力、すげぇ。
何回やっても何回やっても、ピザに着地しやがる。
「ぷっ……ハハハッ!お前できるな!」
愉快愉快。笑うしかない。
忌々しいオリーブは、ティッシュに包んでぽいっ。
ついでに手元のピザをパクつくと、自分の手をウェットティッシュでふき取り綺麗にして、ピザを食べているレインの頭をポンポン撫でた。
「まるでネロ坊のようだぜ。
あいつと仲良くなれんじゃねぇか?」
「にゃあ?」
レインは傾げてダンテを見上げた。
そういえばネロもイヌかネコなら、ネコっぽい感じだよな。
オレの前で借りてきたネコみたいにおとなしくなる、なんてことは、これまで一度もねぇけど。
むしろ出会い頭にバスターキメてくるくらいには、ツンツンしてやがるからな。
レインは坊やとも仲良くさせたい反面、ネコ特有のツンツンツンデレが、坊やのツンツンツンツン、ただひたすらデレのないツンに似てしまったら困るなぁ、と思った。
誰だって坊やほどのツンには、絶対ならないだろうけども。
それからずっと依頼の電話が鳴ることもなく、雑誌を眺め続けて気がつけばとっぷりと陽の暮れた夕方だ。
ふと、ソファで丸まって休んでいたレインの方に目を向ければ、その時とはうって変わり所在なさげにそわそわと落ち着かない様子である。
「なんだ?もしかして外に出たいのか?」
「にゃ」
「悪いが、今夜はなーんも依頼がなくてな……出る予定はないんだ。
良い子は早く寝ちまいな。それともまだ食い足りねーか?」
あのあともピザを与え、腹一杯食べさせたつもりだ。
食い足りないというのは考えづらい。
「…………」
丸い目でじぃっとこちらに寄越す視線。
何も鳴かないし、人間の言語を話すわけでもないため、わかるようでわからないネコの気持ち。
食欲、睡眠……それらが違うなら。……排泄欲か?
「おっと。トイレの場所を用意してなかったぜ。ちょっとまってな」
ネコ用トイレに使えそうな容器を用意すると、オレはレインを抱えて裏へと運んでやった。
裏口外の土を適当に入れ、そして人間用のトイレのすぐ傍へと置いた。
「人間様の便所の隣だ。猫用の砂じゃねぇのは勘弁な」
それを目で追い、そしてこちらへと嫌そうな顔を向けるレイン。
湿気っている土だと足が汚れるとでも言いたげだ。
「……おいおいそんな顔すんなって。しばらく我慢してくれよ」
って、オレは何ネコに話しかけてるんだろうな。
そこまで人間の言葉が理解できるわけねーってのによ……。
それとも見られていると恥ずかしくて用が足せないのか?
そう思ったオレはポリポリ、頭を掻いて事務所へと戻ろうと踵を返した。
外では陽が沈む。
ゆっくりと、ゆっくりと。
太陽に照らされる範囲が狭まり、影が色濃くなる。
陽が地平線に尾を引くようにして、名残惜しくも溶けていった。
「お。電気つけねぇと見えねぇか。どれ、つけてや……、」
振り返った先のネコは光に包まれ、その姿形を徐々に変えていった。
ネコサイズから、人間の少年ほどのサイズへと。
夜になった。
そして光が収まったところにいたのは、レインが生やしていたのと同じ色を持つ猫耳、そして尻尾をその臀部から生やした一人の少年。
年の頃はネロとそう変わらなさそうだった。
これは確かに癒されるかもしれない。
イヌとは大違いだ。
ネコだからか、毛並みが滑らかで気持ちがいい。
「少しの間飼うか」
レディあたりに飼える奴探してもらおう。
その相手が見つかるまでの間、預かっている形で飼えばいい。
だが期間限定、そう決めたとて名がなくては困る。
「名前……。ふむ、そうだな……ぱっと思いついた単語で悪いが『レイン』ってのはどうだ?」
「にゃあ」
一度皿からミルクだらけになった顔をあげ、ネコが小さく鳴いた。
「お、そうかそうか。それでいいか」
安直な名だったが、とりあえず名前が決まった。
名前を決められ、少なからずレインが喜んでいる……?
ようにダンテには見えた。
しかし、ホットミルクだけといわけにもいかないし、自分の食事も用意しなくてはいけない。
が、しかたない。
帰り道で買ってくれば良かったとはいえ、レインの状態を考えるとそんな余裕はなかった。
「うちにはキャットフードなんてモンねぇ。かと言ってまだここに慣れてない以上下手に置いていけねぇな……」
ホットミルクを完食し、再びやってきた警戒心がダンテが撫でることを拒む。
短い天国でした、まる。
引っ掻かれること覚悟で頭を撫でつつ、壁にかかった悪魔の首のオブジェを目に入れる。
普段はシーンと静まり返るそれらも、ダンテが不在時は、呪いの言葉を吐き出したり幻覚を見せたりと、割とうるさい。
レインがビビって興奮してしまっては困る。
それはそうと地味に痛いから引っ掻く回数くらいは減らしてお願いだから。
結局自分の分はデリバリーのピザを頼んだ。
いい加減にツケを払え、と電話口で言われたが、今は手持ちがないと軽くあしらった。
だって本当に手持ちがない。
きっかり30分後、空腹MAXのダンテが手に取り口に運ぼうとするマルゲリータピッツァ。
その一切れを穴のあくほど見つめる目が2つ。
「……食うか?」
ダンテはネコの食べてはいけない食べ物までは知らない。
手に持った一切れをレインの鼻先に近づける。
レインはしばらくフンフンと匂いを嗅いでから。
た べ た !
ガツガツと、食べたのだ。
「ピザ好きなのか?どっかのピザ主食の白いネコみたいだな」
おいやめろ違う長編の話はするんじゃねぇ。
と、自身が食べているピッツァに黒くて嫌なものが乗っているのに気がついてしまった。
「げ、オリーブが乗ってるじゃねぇか」
頼む時にはオリーブ抜きでと何度も念押ししたというに……。
これはきっと、いつまでたってもツケを払わぬ自分への軽い嫌がらせに違いない。
嫌ならはやく払え、であろうか。
そう思って、摘むのも嫌なソレを指でヒョイと摘み、レインのピザに乗せようとした。
「これもやるから食え」
そう言いながら。
ビシッ!!
視界の端でレインの手が動いた。
くるくるくる、ぽと。
レインにあげたはずのソレが、弧を描いてダンテのピザに着地する。
「は……?」
デビルハンターでもない一般人のため、何が起きたか説明しよう。
ネコパンチで弾き返された!
でも、オリーブを食べるなんて選択肢、オレにはない。
もう一度オリーブを摘まみ上げ、レインのピザの上に返すダンテ。
ビシッ!!
くるくるくる、ぽと。
……ビシッ!!!!
くるくるくるくる…ぽとり。
コントロール力、すげぇ。
何回やっても何回やっても、ピザに着地しやがる。
「ぷっ……ハハハッ!お前できるな!」
愉快愉快。笑うしかない。
忌々しいオリーブは、ティッシュに包んでぽいっ。
ついでに手元のピザをパクつくと、自分の手をウェットティッシュでふき取り綺麗にして、ピザを食べているレインの頭をポンポン撫でた。
「まるでネロ坊のようだぜ。
あいつと仲良くなれんじゃねぇか?」
「にゃあ?」
レインは傾げてダンテを見上げた。
そういえばネロもイヌかネコなら、ネコっぽい感じだよな。
オレの前で借りてきたネコみたいにおとなしくなる、なんてことは、これまで一度もねぇけど。
むしろ出会い頭にバスターキメてくるくらいには、ツンツンしてやがるからな。
レインは坊やとも仲良くさせたい反面、ネコ特有のツンツンツンデレが、坊やのツンツンツンツン、ただひたすらデレのないツンに似てしまったら困るなぁ、と思った。
誰だって坊やほどのツンには、絶対ならないだろうけども。
それからずっと依頼の電話が鳴ることもなく、雑誌を眺め続けて気がつけばとっぷりと陽の暮れた夕方だ。
ふと、ソファで丸まって休んでいたレインの方に目を向ければ、その時とはうって変わり所在なさげにそわそわと落ち着かない様子である。
「なんだ?もしかして外に出たいのか?」
「にゃ」
「悪いが、今夜はなーんも依頼がなくてな……出る予定はないんだ。
良い子は早く寝ちまいな。それともまだ食い足りねーか?」
あのあともピザを与え、腹一杯食べさせたつもりだ。
食い足りないというのは考えづらい。
「…………」
丸い目でじぃっとこちらに寄越す視線。
何も鳴かないし、人間の言語を話すわけでもないため、わかるようでわからないネコの気持ち。
食欲、睡眠……それらが違うなら。……排泄欲か?
「おっと。トイレの場所を用意してなかったぜ。ちょっとまってな」
ネコ用トイレに使えそうな容器を用意すると、オレはレインを抱えて裏へと運んでやった。
裏口外の土を適当に入れ、そして人間用のトイレのすぐ傍へと置いた。
「人間様の便所の隣だ。猫用の砂じゃねぇのは勘弁な」
それを目で追い、そしてこちらへと嫌そうな顔を向けるレイン。
湿気っている土だと足が汚れるとでも言いたげだ。
「……おいおいそんな顔すんなって。しばらく我慢してくれよ」
って、オレは何ネコに話しかけてるんだろうな。
そこまで人間の言葉が理解できるわけねーってのによ……。
それとも見られていると恥ずかしくて用が足せないのか?
そう思ったオレはポリポリ、頭を掻いて事務所へと戻ろうと踵を返した。
外では陽が沈む。
ゆっくりと、ゆっくりと。
太陽に照らされる範囲が狭まり、影が色濃くなる。
陽が地平線に尾を引くようにして、名残惜しくも溶けていった。
「お。電気つけねぇと見えねぇか。どれ、つけてや……、」
振り返った先のネコは光に包まれ、その姿形を徐々に変えていった。
ネコサイズから、人間の少年ほどのサイズへと。
夜になった。
そして光が収まったところにいたのは、レインが生やしていたのと同じ色を持つ猫耳、そして尻尾をその臀部から生やした一人の少年。
年の頃はネロとそう変わらなさそうだった。
