「もし良かったら連絡先……交換しない？」

気がついたら自分からそう言っていた。

酔いのなせる技か、それとも自分の心の傷はいつのまにか癒え始めていて、成長したということなのか。
なんにせよ、いいことだ。

「あ、ごめんなさい。あたしったら何バカなことを……！嫌だよね、初めて会った女の連絡先なんてさ」
「嫌じゃないさ。交換しようぜ」

慌てたように手をブンブン振って、自分の言動をなかったことにしようとするディーヴァ。
だがネロはにっこり笑うと交換を了承した。

ディーヴァは自分の携帯電話の番号を口頭で教え、ネロにワンコールしてもらうことにした。

「今のがあたしの番号。えっと、そっちからかけてもらっても？」

言うが早いか、軽快な着信メロディがディーヴァの携帯電話から流れ出した。

「登録しておくね。どうもありが……」

画面にはネロの物であろう番号とは別の文字が表示されていた。