バージルはディーヴァの体を素早く腕の中に閉じ込めた。

「は、放して！！」

身を捩って逃れようとするも、さらにきつく抱き締められるだけ。
バージルは抱き寄せたディーヴァに向かって、熱にうかされたような表情で愛を囁いた。

「ディーヴァ、お前が好きだ……。お前が家事をする時に必ず歌う鼻歌を聞くのも寝る前に人形に話しかけてから抱いて寝るのもかわいいと思う。そういえば昨日なんかは寝返りを５回も打っていたな。もし寝心地が悪いなら俺が抱きしめて寝てやる」
「それって……！！」

隠しカメラだけではなかった。
この男、盗聴器まで用意していたようで、ディーヴァの私生活を余すところなく知り尽くしていた。

「好きだ、愛している。……だから俺の気持ちを受け止めてくれ。それともダンテと違って、俺の気持ちは受け取ってもらえないのか？」
「放して、変態っ！！いや！いやぁっ！」

優しい同期であり上司だとばかり思っていた。
自分に向けられた感情がこんなにも歪んだものだとは思いもしなかった。

ディーヴァはバージルを渾身の力で突き飛ばして、そこから逃げた。