それからしばらくしてディーヴァはおかしなことに気がついた。

「え、これ……ズレてる……」

家具が少しだけ移動しているのだ。

それは普通の人なら気にも留めない、ほんの些細なズレ。
だが、その数ミリ単位の移動すらディーヴァには異常なことだった。

元来ディーヴァは几帳面な性格をしている。
一度使ったものはきちんと元に戻すし、本もクッションも揃えて置いているのだ。

このクッション、今朝はきれいに並べてから仕事に出掛けたのだが、少し端がずれている。
そしてクッション自体には、わずかながら中の綿がよれた形跡まで認められた。

そう言えば今読んでいるこの本も昨日は忙しかったため気にしなかったが、少しずれていたような気もする。

誰かが侵入した？
誰かがこれに触った？

誰か知らない人物が、自分の私物を触っているのを想像し、ディーヴァは気持ち悪くなった。