ダンテとディーヴァは、元々同じ職場の人間だった。
今はダンテだけがその職場を退職している。


そして、現在二人は恋人同士である。
職場を同じにしていた時と違い、職場恋愛で冷やかしを受けるという面倒事に巻き込まれることもない。

「なあ、ディーヴァ。いつになったらオレんとこ来るんだ？」

ダンテはここ何回かのデートの度にそう漏らしていた。

恋人になって半年あまり。
ディーヴァと同棲したいがあまり、引っ越しを迫っていた。

「しつこいなあ、ダンテは。あたしは引っ越す気はまだまだありません！」
「言っとくがオレの家はお前一人を置くくらいのスペース、余裕であるんだぜ？それに女の独り暮らしは危ないし、最近イタ電とか多いんだろ」
「わかってるよ……」

ソファーの上にきっちりと並べた三つのクッション、その一つをぽす、と抱き締めながら言う。

最近、無言電話が毎日のようにかかってくる。
それにダンテには伝えてないが、郵便受けにはどこで撮られたのかわからないような自身の盗撮写真が入っているのだ。

でもダンテに言えば絶対、ここから出て一緒に住むように願って……いや、むしろ強要してくるに決まっている。
ディーヴァはこの小さな自分だけの城が好きだったし、手放したくなかった。