パチン！
暖炉の火が爆ぜる音で、ディーヴァは目を覚ました。

事務所のソファで眠っていたようだが、身体がやたら痛い。
隣ではダンテもうたた寝しているようで、ディーヴァを抱きしめたまま幸せそうな寝顔を晒している。
なるほど、ダンテに抱きしめられたままという寝返りのうてぬ体勢だったからこんなに身体がこわばって痛かったのか。

ちょっとやそっとじゃ起きなさそうなダンテの腕をそっと外して、ディーヴァは起き上がって固まった筋肉をほぐした。

「ん～～！体凝ったぁ！」

それにしても変な夢を見た。
細かいところは覚えていないのだが大筋として、悪魔になって魔界に行ったという夢。
夢とはいえ、我ながらすごい冒険をしたものだ。

時計を確認すればもう午後四時すぎか。
３時のおやつをとり忘れるほど、よく眠っていたのかもしれない。
おかげでのども渇いたし、小腹も空いた。

お茶は淹れるとして、たまにはへそくりのおやつに手をつけるのもいいだろう。
あの戸棚にはバッグパックと並んで、送ってもらった日本製のお菓子がたくさん詰まっている。

「あれ？
いちごのグミとバーガー型のチョコがない。あと、カ●ムーチョも。冷蔵庫に入れといた中華まんもない……。
何で？？」

頭の上に疑問符を飛ばしながら、ディーヴァは、二人分の紅茶の準備に取り掛かったのだった。