ハロウィンちっくな魔界遠征
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チン!
エレベーターが止まった。
やった!と顔を上げるも、また違う階。そして落胆したディーヴァを襲う理不尽な悪魔の乗り込み。
立つ隙間がほとんどないほど更に狭く、ディーヴァは爪先立ちで壁の隙間に埋まっていた。背中のバッグパックが潰れてしまう。
まずい、この空気からくる緊張と爪先プルプルの疲労でか、冷や汗が出てきた。
これ以上香水の効力を落としてはいけないのに、体は言う事を聞いてくれなくて冷や汗をかきつづけている。
効力が……消える……!?
「……まて。人間というより、獲物の匂いに近い。我々にとっての獲物、つまり天使の匂いだ」
「ははっ!まっさかぁ。魔界のど真ん中で天使の匂いなんて……あ、まじに天使の匂いするぞ」
「うへへ。今夜のディナーは、天使のステーキってかあ?」
「それも悪くないかもしれな……、キミ、どうした。顔色があまり良くない」
どきーん!
下品な言葉で天使を食べようと話している悪魔よりも、この悪魔の方が恐ろしいだろう。
あろう事か、そう感じていた相手に呼び止められてしまった。
「おっ。もしかして体調悪いのかい?
って、見たことない子だね~。しかもかわいい……もしかして下の階でお買い物してたのかな?
おにーさんと、お茶しない?奢るよ~?」
「やめろ。下心だらけの君のナンパは、警戒心を抱かせるだけだ。……ん?キミ…………、」
悪魔の視線は、ディーヴァに注がれている。
やばい、絶対バレた……!?
「いや、あの……、え……?」
正確には、ディーヴァの手に。
彼にそっと手を取られた。……かと思うと、その手に愛おしそうに頬ずりしてきたではないか。
知らない男に、それも悪魔に触られて気持ち悪いが、それよりも困惑の気持ちの方が大きい。未だ恐怖もまさっている。
「私はね、美しい手がとても好きなんだ……。キミの手、切り取って彼女にしたいほどとても美しいね……。
『今の彼女』も美しい手をしているけれど、キミの手の方が綺麗だ。ぜひ彼女にしたいよ。
だから『今の彼女』とは手を切ろう、手だけにね」
恍惚とした顔でうっとりと述べる悪魔。
手が好きというフェチズム、いや、マノフィリアレベルの性的倒錯を目の前に、ディーヴァの背筋は凍った。
「ひいいっ!!」
流石に気持ち悪さが勝った。ディーヴァは掴まれていた手を思い切り振り払って、小さく震えた。
「いや。オレのナンパより、どう考えてもお前の下心のが異様だろそれ。オレだったら警戒心マックスだ」
「そうかな?」
カタカタ震えるディーヴァを無視して会話しつつ、悪魔が懐から『今の彼女』を取り出す。
女悪魔のだろう、細長く美しい指、そして爪の先に赤いマニュキュアが塗られた『手首から先』が、そこにあった。
ボンッ!
「なっ……!?」
その手首が、大きな音を立てて突如爆発した。爆発はしたが、跡形もなく吹き飛び、燃えかすすらも残らず霧散する。
ディーヴァは知らないが、この悪魔の能力は、触れた物を爆弾に変えるという能力なのである。
「あーあ、もったいねぇ。今まであんなに可愛がってた彼女をいとも簡単に爆破するのかよ」
「次の彼女に失礼がないように、な」
次の彼女とは、ディーヴァの手首のこと。
このままでは、手首を持っていかれてしまう。食べられるのも嫌だが、手首をとられるのも嫌だ。
しかし、爆風はあった。
爆発による風は、エレベーター内に一瞬だが大きく吹き荒れ、綺麗さっぱりとディーヴァが身に纏う香水の匂いを吹き飛ばしてしまった。
どちらがマシか、なんて考えているディーヴァが匂いの変化、そして体の変化に気がついたのは、目の前の悪魔より後だった。
「……キミ、匂いと体が……なるほどね」
「はっ!……かっ、体が!?」
目を細めた悪魔に見られ、ようやく気がついた時には遅かった。
悪魔化していたはずの体が、元に戻っている!
「この子、悪魔じゃない……!?」
「ニンゲンだ」
「ニンゲンじゃない獲物の天使だ」
周りの悪魔がざわつき始める。
『ここには善い悪魔が多い』。
そう聞いたけれど、天使のステーキ云々の会話の通り、やはり目の前に獲物たる天使がいると理性を失うらしい。
悪魔らしい本能で数名が飛びかかってきた。
しかし、目の前の変態……コホン、失礼。スーツの悪魔が拳を振って軽くいなしてくれた。
本能に惑わされず冷静でいるあたり他の悪魔よりも理性があり話が通じそうだが、だからこそ恐ろしくも思うのはディーヴァだけだろうか。
「キミ、人間だね?それも、『天使』の血筋の」
「あ、あ、あたしは悪魔ですよ!?人間とか天使じゃないです!ほんとに!」
「……ふぅん。人間と天使の部分を否定すれば済んだものを。
悪魔なら、悪魔らしい証拠の力でも見せてもらおうか?」
「よ、よろしい!ならば悪魔である証拠を見せます!『あくまぱわー発動』ッ!」
あっやばいこれ絶対悪魔じゃないと確信されてるやつ。
だがしかーし!逆にこれは動くチャンスである!!
何かの呪文かのように唱えると、ディーヴァはその場でくるぅりと回ってターンしながら、逃げの行動が取りやすい扉側に近い位置へと体をずらした。
しーん……。もちろん、その身には何も起こらない。
他人からは悪魔に見えるが、ダンテと違い実際に魔力を持っているわけではないディーヴァだ。何もできないのは仕方ないと言える。
「ええっとぉ……」
静寂の中、そろり。
手をバックパックの中へと入れ、手に触れた固い瓶。
それを取り出し、体に一拭きシュッ。
途端、ぼふんと再び悪魔化するディーヴァ。
「んおお!?一瞬にして天使から悪魔に!?マジック!?」
「なんだ天使じゃなくて悪魔か」
「気のせいだったのかー」
理性を失っていた悪魔も、どす黒い空気はどこへやら、その瞬間元に戻った。
「君たち……彼女が悪魔化した途端に、理性戻って来るとか、恥ずかしいよ?」
「「「…………面目ない」」」
それを片手で止めていたスーツの悪魔のいうとおりである。
「でも私はごまかされたりしない。悪魔化はその手の香水のおかげのようだね。
悪魔に変身できる道具を使って、天使がこんな魔界の辺境地くんだりまで、一体なんのようなんだい?」
「理由や用事はさておき、最高級A5ランクのご馳走が目の前にいるんだ。関係ないなー」
理性があるなしはともかく、今更悪魔に化けてもバレバレだったようである。
ディーヴァ、ピンチ!
「ヒャッハー!今夜は天使のステーキ決定のようだなァ!WRYYY!!」
「その前にその身を堕として美味しくいただくぞ!」
「私はその綺麗な手を次の彼女として残させてもらえばそれでいい」
舌なめずりして、悪魔がディーヴァに詰め寄る。(あと●IOさまはお帰りください)
ピンチ、ピンチ、大ピンチ!!
「ぴっ、ぴゃーーーーー!たったっ、たしゅけてぇーーー!!」
その瞬間、チン!!
エレベーターが止まったのは目的の階だ!
背が低くてよかったと、ここまで思ったことはかつてないだろう。
ディーヴァは悪魔の股下を通ってひらりと身を躱すと、開いた扉から出て一目散にダンテの元へと駆け出した。
待ち合わせてある場所へ向かうと、なんとグッドタイミングか!
ダンテがのんびり歩いているところだった。
「ダンテーーーーー!!」
「お、どうしたディーヴァ。ちょうど終わったから帰るところだぞ。
ほれ、謝礼を更に上乗せしてもらってき、うわっ!?」
抱きついてくるのかと思いきや、ディーヴァはダンテの腕を掴み、そのままのスピードで走ろうとするではないか。
ディーヴァにつられる形で、ダンテも倣って走り出す。
「バ、バババババ、」
「バ?バーバパパ?」
「違うっ!バレたー!!」
「は?」
「なんだ、バーバパパかバージルでも見つけたのかと。似てるし」
「バーバパパとバージルはぜんっぜん違うでしょ!似てない!
そうじゃなくて、悪魔じゃないのバレたのぉー!!」
ディーヴァが後ろをちらと振り返り、それに続くようにダンテも後ろを見る。そこには数名の悪魔が、こちらを追ってきているのが見えた。
彼らが追ってくるのは本能なだけであり、この建物内での指定された悪魔以外の悪魔退治は、非常によろしくない。
ここでの異端はダンテとディーヴァであり、悪いのはこちら側だ。攻撃するなんてもってのほかだった。
「なんでバレたんだよ。お前今ちゃーんと悪魔化してるだろ」
「また香水つけたからに決まってるじゃない。慌ててつけたけど、バレたあとだったの!」
「抜けてんな」
「しょーがないでしょ。汗掻いちゃったんだもん!」
「汗かよ。オレ汗かかないでネズミ退治終わったからなぁ……」
「体力お化けのダンテと同じと思わないで……!」
悪魔たちが追ってくる。
ショッピングモールを抜け、オフィスビル群を過ぎても、どこまでも。
二人の、いやディーヴァが悪魔ではなく『獲物』たる天使だというのが周りに知れ渡ったか、気がつけば追っ手の数が増えている。
中には何が何だかわかっていない悪魔もいよう。お祭り気分で追っ手の行列に参加していそうな悪魔、件のハロウィン行列悪魔までいた。
「……オーマイゴッド、マジかよ」
ダンテが神への言葉を口にするのは、とても珍しく思えた。
エレベーターが止まった。
やった!と顔を上げるも、また違う階。そして落胆したディーヴァを襲う理不尽な悪魔の乗り込み。
立つ隙間がほとんどないほど更に狭く、ディーヴァは爪先立ちで壁の隙間に埋まっていた。背中のバッグパックが潰れてしまう。
まずい、この空気からくる緊張と爪先プルプルの疲労でか、冷や汗が出てきた。
これ以上香水の効力を落としてはいけないのに、体は言う事を聞いてくれなくて冷や汗をかきつづけている。
効力が……消える……!?
「……まて。人間というより、獲物の匂いに近い。我々にとっての獲物、つまり天使の匂いだ」
「ははっ!まっさかぁ。魔界のど真ん中で天使の匂いなんて……あ、まじに天使の匂いするぞ」
「うへへ。今夜のディナーは、天使のステーキってかあ?」
「それも悪くないかもしれな……、キミ、どうした。顔色があまり良くない」
どきーん!
下品な言葉で天使を食べようと話している悪魔よりも、この悪魔の方が恐ろしいだろう。
あろう事か、そう感じていた相手に呼び止められてしまった。
「おっ。もしかして体調悪いのかい?
って、見たことない子だね~。しかもかわいい……もしかして下の階でお買い物してたのかな?
おにーさんと、お茶しない?奢るよ~?」
「やめろ。下心だらけの君のナンパは、警戒心を抱かせるだけだ。……ん?キミ…………、」
悪魔の視線は、ディーヴァに注がれている。
やばい、絶対バレた……!?
「いや、あの……、え……?」
正確には、ディーヴァの手に。
彼にそっと手を取られた。……かと思うと、その手に愛おしそうに頬ずりしてきたではないか。
知らない男に、それも悪魔に触られて気持ち悪いが、それよりも困惑の気持ちの方が大きい。未だ恐怖もまさっている。
「私はね、美しい手がとても好きなんだ……。キミの手、切り取って彼女にしたいほどとても美しいね……。
『今の彼女』も美しい手をしているけれど、キミの手の方が綺麗だ。ぜひ彼女にしたいよ。
だから『今の彼女』とは手を切ろう、手だけにね」
恍惚とした顔でうっとりと述べる悪魔。
手が好きというフェチズム、いや、マノフィリアレベルの性的倒錯を目の前に、ディーヴァの背筋は凍った。
「ひいいっ!!」
流石に気持ち悪さが勝った。ディーヴァは掴まれていた手を思い切り振り払って、小さく震えた。
「いや。オレのナンパより、どう考えてもお前の下心のが異様だろそれ。オレだったら警戒心マックスだ」
「そうかな?」
カタカタ震えるディーヴァを無視して会話しつつ、悪魔が懐から『今の彼女』を取り出す。
女悪魔のだろう、細長く美しい指、そして爪の先に赤いマニュキュアが塗られた『手首から先』が、そこにあった。
ボンッ!
「なっ……!?」
その手首が、大きな音を立てて突如爆発した。爆発はしたが、跡形もなく吹き飛び、燃えかすすらも残らず霧散する。
ディーヴァは知らないが、この悪魔の能力は、触れた物を爆弾に変えるという能力なのである。
「あーあ、もったいねぇ。今まであんなに可愛がってた彼女をいとも簡単に爆破するのかよ」
「次の彼女に失礼がないように、な」
次の彼女とは、ディーヴァの手首のこと。
このままでは、手首を持っていかれてしまう。食べられるのも嫌だが、手首をとられるのも嫌だ。
しかし、爆風はあった。
爆発による風は、エレベーター内に一瞬だが大きく吹き荒れ、綺麗さっぱりとディーヴァが身に纏う香水の匂いを吹き飛ばしてしまった。
どちらがマシか、なんて考えているディーヴァが匂いの変化、そして体の変化に気がついたのは、目の前の悪魔より後だった。
「……キミ、匂いと体が……なるほどね」
「はっ!……かっ、体が!?」
目を細めた悪魔に見られ、ようやく気がついた時には遅かった。
悪魔化していたはずの体が、元に戻っている!
「この子、悪魔じゃない……!?」
「ニンゲンだ」
「ニンゲンじゃない獲物の天使だ」
周りの悪魔がざわつき始める。
『ここには善い悪魔が多い』。
そう聞いたけれど、天使のステーキ云々の会話の通り、やはり目の前に獲物たる天使がいると理性を失うらしい。
悪魔らしい本能で数名が飛びかかってきた。
しかし、目の前の変態……コホン、失礼。スーツの悪魔が拳を振って軽くいなしてくれた。
本能に惑わされず冷静でいるあたり他の悪魔よりも理性があり話が通じそうだが、だからこそ恐ろしくも思うのはディーヴァだけだろうか。
「キミ、人間だね?それも、『天使』の血筋の」
「あ、あ、あたしは悪魔ですよ!?人間とか天使じゃないです!ほんとに!」
「……ふぅん。人間と天使の部分を否定すれば済んだものを。
悪魔なら、悪魔らしい証拠の力でも見せてもらおうか?」
「よ、よろしい!ならば悪魔である証拠を見せます!『あくまぱわー発動』ッ!」
あっやばいこれ絶対悪魔じゃないと確信されてるやつ。
だがしかーし!逆にこれは動くチャンスである!!
何かの呪文かのように唱えると、ディーヴァはその場でくるぅりと回ってターンしながら、逃げの行動が取りやすい扉側に近い位置へと体をずらした。
しーん……。もちろん、その身には何も起こらない。
他人からは悪魔に見えるが、ダンテと違い実際に魔力を持っているわけではないディーヴァだ。何もできないのは仕方ないと言える。
「ええっとぉ……」
静寂の中、そろり。
手をバックパックの中へと入れ、手に触れた固い瓶。
それを取り出し、体に一拭きシュッ。
途端、ぼふんと再び悪魔化するディーヴァ。
「んおお!?一瞬にして天使から悪魔に!?マジック!?」
「なんだ天使じゃなくて悪魔か」
「気のせいだったのかー」
理性を失っていた悪魔も、どす黒い空気はどこへやら、その瞬間元に戻った。
「君たち……彼女が悪魔化した途端に、理性戻って来るとか、恥ずかしいよ?」
「「「…………面目ない」」」
それを片手で止めていたスーツの悪魔のいうとおりである。
「でも私はごまかされたりしない。悪魔化はその手の香水のおかげのようだね。
悪魔に変身できる道具を使って、天使がこんな魔界の辺境地くんだりまで、一体なんのようなんだい?」
「理由や用事はさておき、最高級A5ランクのご馳走が目の前にいるんだ。関係ないなー」
理性があるなしはともかく、今更悪魔に化けてもバレバレだったようである。
ディーヴァ、ピンチ!
「ヒャッハー!今夜は天使のステーキ決定のようだなァ!WRYYY!!」
「その前にその身を堕として美味しくいただくぞ!」
「私はその綺麗な手を次の彼女として残させてもらえばそれでいい」
舌なめずりして、悪魔がディーヴァに詰め寄る。(あと●IOさまはお帰りください)
ピンチ、ピンチ、大ピンチ!!
「ぴっ、ぴゃーーーーー!たったっ、たしゅけてぇーーー!!」
その瞬間、チン!!
エレベーターが止まったのは目的の階だ!
背が低くてよかったと、ここまで思ったことはかつてないだろう。
ディーヴァは悪魔の股下を通ってひらりと身を躱すと、開いた扉から出て一目散にダンテの元へと駆け出した。
待ち合わせてある場所へ向かうと、なんとグッドタイミングか!
ダンテがのんびり歩いているところだった。
「ダンテーーーーー!!」
「お、どうしたディーヴァ。ちょうど終わったから帰るところだぞ。
ほれ、謝礼を更に上乗せしてもらってき、うわっ!?」
抱きついてくるのかと思いきや、ディーヴァはダンテの腕を掴み、そのままのスピードで走ろうとするではないか。
ディーヴァにつられる形で、ダンテも倣って走り出す。
「バ、バババババ、」
「バ?バーバパパ?」
「違うっ!バレたー!!」
「は?」
「なんだ、バーバパパかバージルでも見つけたのかと。似てるし」
「バーバパパとバージルはぜんっぜん違うでしょ!似てない!
そうじゃなくて、悪魔じゃないのバレたのぉー!!」
ディーヴァが後ろをちらと振り返り、それに続くようにダンテも後ろを見る。そこには数名の悪魔が、こちらを追ってきているのが見えた。
彼らが追ってくるのは本能なだけであり、この建物内での指定された悪魔以外の悪魔退治は、非常によろしくない。
ここでの異端はダンテとディーヴァであり、悪いのはこちら側だ。攻撃するなんてもってのほかだった。
「なんでバレたんだよ。お前今ちゃーんと悪魔化してるだろ」
「また香水つけたからに決まってるじゃない。慌ててつけたけど、バレたあとだったの!」
「抜けてんな」
「しょーがないでしょ。汗掻いちゃったんだもん!」
「汗かよ。オレ汗かかないでネズミ退治終わったからなぁ……」
「体力お化けのダンテと同じと思わないで……!」
悪魔たちが追ってくる。
ショッピングモールを抜け、オフィスビル群を過ぎても、どこまでも。
二人の、いやディーヴァが悪魔ではなく『獲物』たる天使だというのが周りに知れ渡ったか、気がつけば追っ手の数が増えている。
中には何が何だかわかっていない悪魔もいよう。お祭り気分で追っ手の行列に参加していそうな悪魔、件のハロウィン行列悪魔までいた。
「……オーマイゴッド、マジかよ」
ダンテが神への言葉を口にするのは、とても珍しく思えた。