ハロウィンちっくな魔界遠征
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チケットから立ち上る煙を身に纏ったかと思うと、その煙の中から出た先は既に人間界ではないだろう魔界の花園だった。
ただし、魔界だと認識できたのは、その混沌とした空の色だけであり、周りは『もしかしてセントラルパークに来ちゃったのかな?』などと思わせるような緑あふれる広大な公園。
とはいえ、整備された木々や草花の形状やそれ自体が蠢いているところなど、細かいところを上げていけば、セントラルパークなんて思えなくなるが。
というか緑あふれるなんて言っといてなんだが、木が緑とはかけ離れた色しているところもチラホラと。
そしてその光景よりも目につくのは。
「やっぱり魔界なんだね。歩いてるのがヒトじゃないや」
「そうだな。生活だけ人間のマネしてるって感じだ。さしずめ悪魔のオママゴトってか」
まさにそれ。
公園内を歩くのは、髪の色どころじゃない。肌があり得ない色をした者や、その形状も違う人外が散歩したり、休んだり、どこかへ急いでいるような感じだ。
こちらの事を気にする者など1人もいないし、見ても一瞥しただけですぐに立ち去るほど。
ほんと現代人みたいに忙しない。
芝生らしき草の上に座る者が食べているのも、人間社会を真似ているのか、やっぱり色がおかしいがホットドッグに似ている。
真似レベルを軽く超越している気がして頭痛までしてきた。オママゴトとはいえないレベルだろう。
「ま、人間を食うだの襲うだのする悪魔よか、よっぽどいいけどな。もっとも、そんなのばっかりになるとデビルハンターとしての商売上がったりだが」
ダンテ、聞こえてるんだけどな。
もしそうなったら普通に便利屋でいいと思う。便利屋でペットの散歩や代行作業、庭掃除でコツコツ稼ぐ。入ってくるお金は少ないだろうけど、うん、安心安全いいね!……いいね!!
それか、あたしのバイト先で一緒にウェイターさんとかでもいいかもしれない。
アッ!なんか『ブ●ンドS』思い出した。アレはいいカフェ漫画。店長さんがどこかダンテに似てるもんね。
閑話休題。
この公園の向こうには、個性豊かな形状のオフィスビル群が鱗のような外殻に覆われ、背を競い合うように立ち並んでいる。
今から向かうのはその一角、1位2位を争う高さのオフィスビルらしい。
遠くはないが近くもない。
徒歩15分あるかないかってところかな。
これが普通に人間の世界なら、お散歩気分でルンルンなんだけど悪魔の世界だし、15分近く歩くってのは……ねぇ?
お互いきちんと悪魔に見えているのかをこまめに確認し合って歩きながら会話する。
「聞くの忘れてたけど、帰り道ってどうなってるの?」
「ホレ、帰り用のチケットもあるから安心しろ。とはいえ、来た時と同じ場所で燃やさねえと戻れねぇけど」
「あー、さっきのお花畑の真ん中に帰還ポイントが指定されてるんだね」
「そういうこった」
ダンテがピラとチケットをチラつかせた。
場所指定されてるけど、来るときと同じでそのチケットを燃やせばいいのか。
なーんだ。なら大丈夫だね。簡単簡単。
行きは良い良い帰りは怖い、なんてなったら最悪だもの。
あ、でも……もしもダンテがどこかに紛失したら……?
「ダンテ……絶対失くさないでよね。絶対」
「信用ねぇなー。なら、そのバッグパックの内ポケットにでも入れといてくれ」
うん、それなら絶対失くさないね。
チケットを失くすフラグはバッキバキに折る。その作戦大成功。
それから、悪魔の姿をとっているとはいえ何かあっては怖いし対処のしようが無いので、ダンテから離れないようにぴったりくっついて移動。
その際角と羽が体に当たって地味に痛いし邪魔だなーとか言われた。つらい。
邪魔だなオイ、少し我慢してよの些細なやり取りやら何やらあったが、オフィスビルの前にたどり着くとやっとホッと一息つけた。
実はそのやり取りのほかに、ぴったりくっついて移動したことによって一悶着あったのだ。
その名は、リア充爆発しやがれ!攻撃。
ダンテとディーヴァがイチャイチャしながら移動しているものと勘違いされ(実際リア充なのだけれども)、チンピラに絡まれたのである。
絡まれた上、王道パターンで『有り金全部と女置いてけ』的なのまで発生したし、悪魔の世界でもああいったトラブルがあるのがびっくりだった。
というかあたしの悪魔姿、おモテになるタイプの姿なんだな、へー。モテても嬉しくはないけど。悪魔は強さこそがモテる条件だと思ってたよ。
まぁ結果的には、種族的に相手は悪魔とはいえ、チンピラ。ダンテの敵でなかったとだけ言っておこう。
……にしても……。
「ん?なんだよディーヴァ。そんな見つめちゃさすがのオレも照れるぜ」
「ううん、なんでもない」
「……?へんなやつ」
ダンテ、武器が慣れ親しんだいつもの双子銃だった。しかも、グリップで殴るとかそんなレベル。
今は猫の耳と尻尾や爪があるのに、それに準じた攻撃方法はできないのかぁ……。
ダンテの家訓に『新しい武器はまず試す!』っていうのがあるらしいから、ぜーったい、猫的攻撃法を使うはずだもんね。
猫パンチ!とか猫引っ掻き!とかあると思ったのにつまんないの。
ということはあたしもせっかくの悪魔姿なのに、なにかしらの攻撃方法はないのかも。悪魔なのは見た目だけかあ。
あーあ、一時的にでもいいから、戦う夢主にジョブチェンジできるチャンスでもあると思ったのに、残念。
さて、下の階がショッピングモールになっているというのは本当らしい。
まるで日本に行った時にトウキョーの方で見た駅ビルだ、と呆気にとられながらディーヴァは思う。
上の階のオフィスっぽさがまるで見えず、ショッピングモール内の店舗看板や広告らしきものがびっしりと窓に張り付いていたのだ。ダンテによるとパピルスやら羊皮紙などで出来ているらしい。なにそれここは古代エジプトですか?
なんと書いてあるのかは悪魔の文字なので全くもってわからないし、やたら高いビルなので、目の前で上の階を仰ぎ見るには首を限界まで曲げて上を見上げなくてはならないから首が凝りそうだしで……もうあたしほんっとに突っ込まない。今決めた。
天高くそびえるそれを仰ぎ見たディーヴァの肩を叩き、ダンテが先を促した。
唇を引き結んだその顔に浮かぶのは、若干の緊張。
「行くぞディーヴァ。見た感じ人間世界の商業施設と変わんねえけど、魔界だからヤバいもん扱ってるかもしれねぇ。
飴玉の代わりに目玉売ってるとかな。文字読めないってことは先も読めないってこった」
「げ。こわいこと言わないでよ」
しかし、実際、目玉の形の飴なら、ハロウィンの季節に売っていそうだが、本物は全力でご遠慮したい。
偽物だとて嫌なのだ。百歩譲って許せるのは、デフォルメされた骨やシーツおばけの形のクッキーあたりか。
リアルなのと気持ち悪いのと明らかに体に悪そうな色のは却下!我が母国ながら、蛍光色でピカピカ光るケーキとか売ってるのを見ると、一体なんなんだ!?って思う。
むむむ、と苦虫噛んだような顔のディーヴァを引き連れ、ダンテが開けてくれた自動に見せかけた手動による回転式ドアを抜けると、あ~ら不思議。
人間界と変わらない並びで、衣料品やアクセサリー、雑貨や食品などが売られていたのだ。
ぱっと見、品揃えも人間界と変わらない。
そしてディーヴァも女の端くれ。
おしゃれや綺麗なもの、真新しい流行のものが好きなのは他の女性となんら変わりない。先ほどまでとはうって変わり、目をキラキラと輝かせている。
……と、くれば、だ。
「魔界のファッションリサーチ、開始ー!」
「まあ待てディーヴァ。勝手な行動すんじゃねぇ」
「えー、お洋服ちょっと見るだけだよ。ちょっとだけ!ね!」
「はぁ……オレ同伴だからな?」
「もっちろーん!」
いつもならこんな時に先走るのはダンテで、ディーヴァはダンテのストッパー役。だが今回は立場が逆転している。
悪魔化マジックなのだろうか。悪魔化したことでディーヴァの気が大きくなっている可能性がなきにしもあらず。
……変わるのは見た目だけのはずだったが、違うのだろうか?
そこらにあるショップに立ち寄り、並んでいる服を物色するディーヴァは、鼻歌でも歌い出しそうな感じだ。
手に取ったトップスや、マネキンの来たコーディネートをギャル風の女悪魔に勧められて会話している。
おい悪魔苦手設定までどっかに吹っ飛んだってのか。
「あっそれ出たばっかりの新作ですよ。お目が高いですね!」
「へー、そうなんだ!新作ってことはこれがこっちの流行かぁ……」
「よかったら着てみますかー?おねーさん、似合うと思いますよ!」
「ねーねー、ダンテどう思う?」
たとえ悪魔の流行でも、見て楽しいならそれでいい。服を合わせてみるのだって別にいい。
郷に入っては郷に従え。
相手が若い店員の悪魔なら少しくらい寄り道したっていいじゃないかと、そう思ってしまうくらいにはディーヴァは溶け込んでいた。
って、その服。
「試着室入るまでもねえ。却下」
「うんまああたしもそうだと思ったよ」
普段のディーヴァだったら絶対選ばねーだろそれ。
ヘソ出しで色がやたらとサイケデリック、目に痛い。人間界でもギャルか嗜好の変わった奴しか着ないだろうやたら派手な服だった。
ディーヴァの趣味とは正反対だ。
でもたまには趣向を変えて着てみたいのかもしれない。
ディーヴァも女だ。試してみたいのだろう。
「オレとしては、あっちの明らかにゴスロリ売ってるって店のがお前にはまだ合うと思うぜ」
「ゴスロリなら今着てるでしょ」
「でもその奇抜な流行モノより絶対似合うだろ。んなのどこ着てく気だよ。ベッドでも燃えねー」
「確かにそうだね。ダンテが萎えてくれるなら最高だけど」
「なん……だと……」
おぬし、それが狙いか。
ただし、魔界だと認識できたのは、その混沌とした空の色だけであり、周りは『もしかしてセントラルパークに来ちゃったのかな?』などと思わせるような緑あふれる広大な公園。
とはいえ、整備された木々や草花の形状やそれ自体が蠢いているところなど、細かいところを上げていけば、セントラルパークなんて思えなくなるが。
というか緑あふれるなんて言っといてなんだが、木が緑とはかけ離れた色しているところもチラホラと。
そしてその光景よりも目につくのは。
「やっぱり魔界なんだね。歩いてるのがヒトじゃないや」
「そうだな。生活だけ人間のマネしてるって感じだ。さしずめ悪魔のオママゴトってか」
まさにそれ。
公園内を歩くのは、髪の色どころじゃない。肌があり得ない色をした者や、その形状も違う人外が散歩したり、休んだり、どこかへ急いでいるような感じだ。
こちらの事を気にする者など1人もいないし、見ても一瞥しただけですぐに立ち去るほど。
ほんと現代人みたいに忙しない。
芝生らしき草の上に座る者が食べているのも、人間社会を真似ているのか、やっぱり色がおかしいがホットドッグに似ている。
真似レベルを軽く超越している気がして頭痛までしてきた。オママゴトとはいえないレベルだろう。
「ま、人間を食うだの襲うだのする悪魔よか、よっぽどいいけどな。もっとも、そんなのばっかりになるとデビルハンターとしての商売上がったりだが」
ダンテ、聞こえてるんだけどな。
もしそうなったら普通に便利屋でいいと思う。便利屋でペットの散歩や代行作業、庭掃除でコツコツ稼ぐ。入ってくるお金は少ないだろうけど、うん、安心安全いいね!……いいね!!
それか、あたしのバイト先で一緒にウェイターさんとかでもいいかもしれない。
アッ!なんか『ブ●ンドS』思い出した。アレはいいカフェ漫画。店長さんがどこかダンテに似てるもんね。
閑話休題。
この公園の向こうには、個性豊かな形状のオフィスビル群が鱗のような外殻に覆われ、背を競い合うように立ち並んでいる。
今から向かうのはその一角、1位2位を争う高さのオフィスビルらしい。
遠くはないが近くもない。
徒歩15分あるかないかってところかな。
これが普通に人間の世界なら、お散歩気分でルンルンなんだけど悪魔の世界だし、15分近く歩くってのは……ねぇ?
お互いきちんと悪魔に見えているのかをこまめに確認し合って歩きながら会話する。
「聞くの忘れてたけど、帰り道ってどうなってるの?」
「ホレ、帰り用のチケットもあるから安心しろ。とはいえ、来た時と同じ場所で燃やさねえと戻れねぇけど」
「あー、さっきのお花畑の真ん中に帰還ポイントが指定されてるんだね」
「そういうこった」
ダンテがピラとチケットをチラつかせた。
場所指定されてるけど、来るときと同じでそのチケットを燃やせばいいのか。
なーんだ。なら大丈夫だね。簡単簡単。
行きは良い良い帰りは怖い、なんてなったら最悪だもの。
あ、でも……もしもダンテがどこかに紛失したら……?
「ダンテ……絶対失くさないでよね。絶対」
「信用ねぇなー。なら、そのバッグパックの内ポケットにでも入れといてくれ」
うん、それなら絶対失くさないね。
チケットを失くすフラグはバッキバキに折る。その作戦大成功。
それから、悪魔の姿をとっているとはいえ何かあっては怖いし対処のしようが無いので、ダンテから離れないようにぴったりくっついて移動。
その際角と羽が体に当たって地味に痛いし邪魔だなーとか言われた。つらい。
邪魔だなオイ、少し我慢してよの些細なやり取りやら何やらあったが、オフィスビルの前にたどり着くとやっとホッと一息つけた。
実はそのやり取りのほかに、ぴったりくっついて移動したことによって一悶着あったのだ。
その名は、リア充爆発しやがれ!攻撃。
ダンテとディーヴァがイチャイチャしながら移動しているものと勘違いされ(実際リア充なのだけれども)、チンピラに絡まれたのである。
絡まれた上、王道パターンで『有り金全部と女置いてけ』的なのまで発生したし、悪魔の世界でもああいったトラブルがあるのがびっくりだった。
というかあたしの悪魔姿、おモテになるタイプの姿なんだな、へー。モテても嬉しくはないけど。悪魔は強さこそがモテる条件だと思ってたよ。
まぁ結果的には、種族的に相手は悪魔とはいえ、チンピラ。ダンテの敵でなかったとだけ言っておこう。
……にしても……。
「ん?なんだよディーヴァ。そんな見つめちゃさすがのオレも照れるぜ」
「ううん、なんでもない」
「……?へんなやつ」
ダンテ、武器が慣れ親しんだいつもの双子銃だった。しかも、グリップで殴るとかそんなレベル。
今は猫の耳と尻尾や爪があるのに、それに準じた攻撃方法はできないのかぁ……。
ダンテの家訓に『新しい武器はまず試す!』っていうのがあるらしいから、ぜーったい、猫的攻撃法を使うはずだもんね。
猫パンチ!とか猫引っ掻き!とかあると思ったのにつまんないの。
ということはあたしもせっかくの悪魔姿なのに、なにかしらの攻撃方法はないのかも。悪魔なのは見た目だけかあ。
あーあ、一時的にでもいいから、戦う夢主にジョブチェンジできるチャンスでもあると思ったのに、残念。
さて、下の階がショッピングモールになっているというのは本当らしい。
まるで日本に行った時にトウキョーの方で見た駅ビルだ、と呆気にとられながらディーヴァは思う。
上の階のオフィスっぽさがまるで見えず、ショッピングモール内の店舗看板や広告らしきものがびっしりと窓に張り付いていたのだ。ダンテによるとパピルスやら羊皮紙などで出来ているらしい。なにそれここは古代エジプトですか?
なんと書いてあるのかは悪魔の文字なので全くもってわからないし、やたら高いビルなので、目の前で上の階を仰ぎ見るには首を限界まで曲げて上を見上げなくてはならないから首が凝りそうだしで……もうあたしほんっとに突っ込まない。今決めた。
天高くそびえるそれを仰ぎ見たディーヴァの肩を叩き、ダンテが先を促した。
唇を引き結んだその顔に浮かぶのは、若干の緊張。
「行くぞディーヴァ。見た感じ人間世界の商業施設と変わんねえけど、魔界だからヤバいもん扱ってるかもしれねぇ。
飴玉の代わりに目玉売ってるとかな。文字読めないってことは先も読めないってこった」
「げ。こわいこと言わないでよ」
しかし、実際、目玉の形の飴なら、ハロウィンの季節に売っていそうだが、本物は全力でご遠慮したい。
偽物だとて嫌なのだ。百歩譲って許せるのは、デフォルメされた骨やシーツおばけの形のクッキーあたりか。
リアルなのと気持ち悪いのと明らかに体に悪そうな色のは却下!我が母国ながら、蛍光色でピカピカ光るケーキとか売ってるのを見ると、一体なんなんだ!?って思う。
むむむ、と苦虫噛んだような顔のディーヴァを引き連れ、ダンテが開けてくれた自動に見せかけた手動による回転式ドアを抜けると、あ~ら不思議。
人間界と変わらない並びで、衣料品やアクセサリー、雑貨や食品などが売られていたのだ。
ぱっと見、品揃えも人間界と変わらない。
そしてディーヴァも女の端くれ。
おしゃれや綺麗なもの、真新しい流行のものが好きなのは他の女性となんら変わりない。先ほどまでとはうって変わり、目をキラキラと輝かせている。
……と、くれば、だ。
「魔界のファッションリサーチ、開始ー!」
「まあ待てディーヴァ。勝手な行動すんじゃねぇ」
「えー、お洋服ちょっと見るだけだよ。ちょっとだけ!ね!」
「はぁ……オレ同伴だからな?」
「もっちろーん!」
いつもならこんな時に先走るのはダンテで、ディーヴァはダンテのストッパー役。だが今回は立場が逆転している。
悪魔化マジックなのだろうか。悪魔化したことでディーヴァの気が大きくなっている可能性がなきにしもあらず。
……変わるのは見た目だけのはずだったが、違うのだろうか?
そこらにあるショップに立ち寄り、並んでいる服を物色するディーヴァは、鼻歌でも歌い出しそうな感じだ。
手に取ったトップスや、マネキンの来たコーディネートをギャル風の女悪魔に勧められて会話している。
おい悪魔苦手設定までどっかに吹っ飛んだってのか。
「あっそれ出たばっかりの新作ですよ。お目が高いですね!」
「へー、そうなんだ!新作ってことはこれがこっちの流行かぁ……」
「よかったら着てみますかー?おねーさん、似合うと思いますよ!」
「ねーねー、ダンテどう思う?」
たとえ悪魔の流行でも、見て楽しいならそれでいい。服を合わせてみるのだって別にいい。
郷に入っては郷に従え。
相手が若い店員の悪魔なら少しくらい寄り道したっていいじゃないかと、そう思ってしまうくらいにはディーヴァは溶け込んでいた。
って、その服。
「試着室入るまでもねえ。却下」
「うんまああたしもそうだと思ったよ」
普段のディーヴァだったら絶対選ばねーだろそれ。
ヘソ出しで色がやたらとサイケデリック、目に痛い。人間界でもギャルか嗜好の変わった奴しか着ないだろうやたら派手な服だった。
ディーヴァの趣味とは正反対だ。
でもたまには趣向を変えて着てみたいのかもしれない。
ディーヴァも女だ。試してみたいのだろう。
「オレとしては、あっちの明らかにゴスロリ売ってるって店のがお前にはまだ合うと思うぜ」
「ゴスロリなら今着てるでしょ」
「でもその奇抜な流行モノより絶対似合うだろ。んなのどこ着てく気だよ。ベッドでも燃えねー」
「確かにそうだね。ダンテが萎えてくれるなら最高だけど」
「なん……だと……」
おぬし、それが狙いか。