DMC×黒執事
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ぱち。
「ん、」
「起きたのか」
「はれ?あたし、気を失って……?って、暗い!」
目が覚めたら真っ暗な闇、夜だった。
違う……夜じゃない、今いる場所が真っ黒な布で覆われているのだ。
そしてあるのは手足を自由にできぬ感覚と、冷たい金属の床と圧迫感のある空気。
狭い。
「んしょ、んしょ。んー……あたし達縛られてるんだね」
お尻で歩くような感じで動いて楽な姿勢になり、シエルのドレスの端っこらしき物に触れるディーヴァ。
シエルには迷惑かもしれないが人の温もりを感じると、そこが暗闇でも多少落ち着く。
「ああ、縛られ転がされている。目隠しがわりに檻が分厚い布に覆われているようだ。夜目は利かないのか?」
「ダンテじゃないんだから無理。ここ……牢屋なの?」
「どちらかというと獣用の檻に近い」
「檻……」
それは生贄を閉じ込めておくものに相違なかった。
自由にできないとはいえ、後ろ手で縛られているわけではなく、体の前で指を組むように縛られているからまだいい。
足は体育座りの状態か。
短いスカートじゃなくてよかった。
ディーヴァはシエルに寄り添うように座った。
「檻、かぁ……。やっぱりあの人、生贄としてあたし達を連れてきたのかな」
「どう考えてもそうだろう。奴は前に人身売買の闇オークションでも、儀式用の人間を取引していた」
シエルによると、この時代では貴族の間で黒魔術が流行っているらしい。
なんて危ない遊び。
ともすれば生贄だけでなく、自分達の命まで奪われてしまうのに。
ある人は言う、その命がけのスリルがあってこそ人生は楽しいのだと。
ディーヴァにはその気持ちは理解できない。
「こわいか?」
「もちろんこわいよ……」
その問いに頷いてみせるディーヴァはそれがきっかけとなったか、思いの丈をシエルへぶつけた。
「わざと捕まるのはいいよ。けどこのあとどうするの?あたしそのへん何も聞いてない。悪魔は体を保っていられないとしてもあたしの世界の彼らが喚べて、それでその悪魔の生贄として食べられちゃうとか考えなかったの……?だって……だって、」
最初は小さかった声も、徐々にヒートアップ、大声でまくしたてるほどになっていく。
「今までの生贄さんみんな食べられて死んでるんでしょ!?あたしはアホなことにそれに今気がついたよ!今更ながら後悔してる!!」
「はあ…そう言ってくれるな。……僕も……こわいんだ」
ぎゃんぎゃん喚くディーヴァに、ぼそり、シエルが呟く。
「この状況、嫌なことを思い出させる……まだ1人じゃないだけマシか。まあ、以前の時よりはお粗末そうな儀式のようだな」
シエルの思い出す嫌なこと……それは多分、昔悪魔の生贄として捧げられた時のこと。
話ぶりからして、想像を絶する地獄を覗いてきたのだとわかる。
「周りを取り巻く空気は禍々しいが、それを行う人間達からは必死さが見えない。ただの金持ちの道楽だろう」
地獄を経験したからか、それは今の状況を笑い飛ばすほど。
禍々しい空気、とは悪魔を喚びだすことに半分は成功した事を指すのだろうか。
血の匂いと魔の気配に満ちているそれ。
それに比べると、人間達は命をかけて悪魔を喚ぶという勢いはあまり感じないのだ。
そんなものがあったとしたらこんなところに生贄を、ただ檻に入れて放置、なんてお粗末な真似しない、とそうシエルは述べた。
「よくそんな悠長に推理してられるねシエルくん……」
だがディーヴァはシエルとは違う。
地獄は見た。
絶望も味わった。
それでも今がこわければ、過去の経験がどうであれ、こわい。
そういう意味ではディーヴァは自分に正直で、思ったままを感じる素直さに満ちていた。
「お前だ」
「え?」
「お前がパニックを起こしているおかげで、僕は冷静さを失わずにいられる。嫌なら早く落ち着け。ダンテが助けに来るんだろ?」
「…………うん。そだね」
ごもっとも。
こわいのはわかるが、自分も冷静にならなければ。
自分は、シエルくんよりもいくつか年上のお姉さんなんだから。
二人でじっとしている時間はすぐに終わりを告げる。
誰か来たのだ。
重たい扉を開けるような音、ついで複数人の足音が近づいてきた。
生贄の様子見か、はたまた儀式の開始時間か。
パーティーの始まりの時間が遅かったことからいって、多分どちらもな気がする。
恐怖と緊張で震えるディーヴァの体。
それを落ち着かせるように、シエルがぴとりと体をくっつけてくれた。
そして目の前が明るくなる。
ディーヴァ達の檻にかかっていた分厚い布が取り払われたのだ。
いや、映る景色は明るくなった、とは言わない。
目の前の色は、黒から黒っぽさを帯びた赤へと変わった。
赤い絨毯、ほの明るい部屋。
そして、血。
部屋が黒っぽさを帯びた赤に見えるのは、赤黒い、血のため。
自分達のいる檻は、血がたっぷり染み込んだその上に、置かれていた。
布の隔たりがあったから血の匂いはそこまでしなかっただけ。
ぶわり。
おぞましいまでの生臭さが鼻へと届く。
ぱっと見は絨毯の模様のように見えたが、よく眼を凝らせば血の他に落ちているもの…それは、内臓の一部や髪の毛、目玉……人間の肉片だと気がついてしまった。
「ひっ……」
「うっ、これは……酷いな」
お粗末そうな儀式とシエルは言ったが、目の前に飛び込む光景は全然違うもので。
こんな儀式を行っていたとは、子爵もとうとう頭がイカレてしまったか。
あ、もともと少し頭のネジが緩んでいたか。
そうでないとしたら、喚び出すことに半分は成功したという、悪魔の思念に取り憑かれでもしているのか。
これは貴族の道楽では済まされない事は確か。
「ん、」
「起きたのか」
「はれ?あたし、気を失って……?って、暗い!」
目が覚めたら真っ暗な闇、夜だった。
違う……夜じゃない、今いる場所が真っ黒な布で覆われているのだ。
そしてあるのは手足を自由にできぬ感覚と、冷たい金属の床と圧迫感のある空気。
狭い。
「んしょ、んしょ。んー……あたし達縛られてるんだね」
お尻で歩くような感じで動いて楽な姿勢になり、シエルのドレスの端っこらしき物に触れるディーヴァ。
シエルには迷惑かもしれないが人の温もりを感じると、そこが暗闇でも多少落ち着く。
「ああ、縛られ転がされている。目隠しがわりに檻が分厚い布に覆われているようだ。夜目は利かないのか?」
「ダンテじゃないんだから無理。ここ……牢屋なの?」
「どちらかというと獣用の檻に近い」
「檻……」
それは生贄を閉じ込めておくものに相違なかった。
自由にできないとはいえ、後ろ手で縛られているわけではなく、体の前で指を組むように縛られているからまだいい。
足は体育座りの状態か。
短いスカートじゃなくてよかった。
ディーヴァはシエルに寄り添うように座った。
「檻、かぁ……。やっぱりあの人、生贄としてあたし達を連れてきたのかな」
「どう考えてもそうだろう。奴は前に人身売買の闇オークションでも、儀式用の人間を取引していた」
シエルによると、この時代では貴族の間で黒魔術が流行っているらしい。
なんて危ない遊び。
ともすれば生贄だけでなく、自分達の命まで奪われてしまうのに。
ある人は言う、その命がけのスリルがあってこそ人生は楽しいのだと。
ディーヴァにはその気持ちは理解できない。
「こわいか?」
「もちろんこわいよ……」
その問いに頷いてみせるディーヴァはそれがきっかけとなったか、思いの丈をシエルへぶつけた。
「わざと捕まるのはいいよ。けどこのあとどうするの?あたしそのへん何も聞いてない。悪魔は体を保っていられないとしてもあたしの世界の彼らが喚べて、それでその悪魔の生贄として食べられちゃうとか考えなかったの……?だって……だって、」
最初は小さかった声も、徐々にヒートアップ、大声でまくしたてるほどになっていく。
「今までの生贄さんみんな食べられて死んでるんでしょ!?あたしはアホなことにそれに今気がついたよ!今更ながら後悔してる!!」
「はあ…そう言ってくれるな。……僕も……こわいんだ」
ぎゃんぎゃん喚くディーヴァに、ぼそり、シエルが呟く。
「この状況、嫌なことを思い出させる……まだ1人じゃないだけマシか。まあ、以前の時よりはお粗末そうな儀式のようだな」
シエルの思い出す嫌なこと……それは多分、昔悪魔の生贄として捧げられた時のこと。
話ぶりからして、想像を絶する地獄を覗いてきたのだとわかる。
「周りを取り巻く空気は禍々しいが、それを行う人間達からは必死さが見えない。ただの金持ちの道楽だろう」
地獄を経験したからか、それは今の状況を笑い飛ばすほど。
禍々しい空気、とは悪魔を喚びだすことに半分は成功した事を指すのだろうか。
血の匂いと魔の気配に満ちているそれ。
それに比べると、人間達は命をかけて悪魔を喚ぶという勢いはあまり感じないのだ。
そんなものがあったとしたらこんなところに生贄を、ただ檻に入れて放置、なんてお粗末な真似しない、とそうシエルは述べた。
「よくそんな悠長に推理してられるねシエルくん……」
だがディーヴァはシエルとは違う。
地獄は見た。
絶望も味わった。
それでも今がこわければ、過去の経験がどうであれ、こわい。
そういう意味ではディーヴァは自分に正直で、思ったままを感じる素直さに満ちていた。
「お前だ」
「え?」
「お前がパニックを起こしているおかげで、僕は冷静さを失わずにいられる。嫌なら早く落ち着け。ダンテが助けに来るんだろ?」
「…………うん。そだね」
ごもっとも。
こわいのはわかるが、自分も冷静にならなければ。
自分は、シエルくんよりもいくつか年上のお姉さんなんだから。
二人でじっとしている時間はすぐに終わりを告げる。
誰か来たのだ。
重たい扉を開けるような音、ついで複数人の足音が近づいてきた。
生贄の様子見か、はたまた儀式の開始時間か。
パーティーの始まりの時間が遅かったことからいって、多分どちらもな気がする。
恐怖と緊張で震えるディーヴァの体。
それを落ち着かせるように、シエルがぴとりと体をくっつけてくれた。
そして目の前が明るくなる。
ディーヴァ達の檻にかかっていた分厚い布が取り払われたのだ。
いや、映る景色は明るくなった、とは言わない。
目の前の色は、黒から黒っぽさを帯びた赤へと変わった。
赤い絨毯、ほの明るい部屋。
そして、血。
部屋が黒っぽさを帯びた赤に見えるのは、赤黒い、血のため。
自分達のいる檻は、血がたっぷり染み込んだその上に、置かれていた。
布の隔たりがあったから血の匂いはそこまでしなかっただけ。
ぶわり。
おぞましいまでの生臭さが鼻へと届く。
ぱっと見は絨毯の模様のように見えたが、よく眼を凝らせば血の他に落ちているもの…それは、内臓の一部や髪の毛、目玉……人間の肉片だと気がついてしまった。
「ひっ……」
「うっ、これは……酷いな」
お粗末そうな儀式とシエルは言ったが、目の前に飛び込む光景は全然違うもので。
こんな儀式を行っていたとは、子爵もとうとう頭がイカレてしまったか。
あ、もともと少し頭のネジが緩んでいたか。
そうでないとしたら、喚び出すことに半分は成功したという、悪魔の思念に取り憑かれでもしているのか。
これは貴族の道楽では済まされない事は確か。
