DMC×黒執事
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その人が来たのは壁に体を預け、少しの間休憩しようと思った時だ。
「私とも踊ってもらえるかな。我が夜会に舞い降りた森の天使さん?」
「我が夜会……?ってことはドルイット子爵様ですね」
「君のような森の天使に、自分の名前を覚えてもらえていたとは光栄だよ」
キラキラした笑顔で言ってきた金髪の美男子。
それがドルイット子爵だった。
物言いは仰々しいけど、憎めない感じの人だなぁ……自己愛強いしナルシストか。
魔術やってるくらいだし裏はありそうだけ……、ど……。
ちゅ。
手を取られたかと思うと、その指先に軽いリップ音。
挨拶だが、キス、された……。
手袋の上からでよかっ……よくない。
するりと腰を撫で、そして抱き寄せる速度の速いことといったら!
ダンテもセバスチャンも、そしてそうさせられているディーヴァも、呆気にとられた。
「あ、あの……っ!ダンスもいいんですけど、その……」
「?」
何か言わないと。
ここに来た目的は目の前の男であって、その男とダンスを踊るためじゃないんだから。
でもいきなり生贄になりたいなんて言えないし、なんて言えばいいんだっけ?
その時、横から差し出された手が、ディーヴァと子爵の行く手を遮る。
白い手袋に包まれた細身の腕をだんだんに辿っていくと、そこにあったのはピンクのドレスにツインテール、片目を隠し微笑をたたえる可憐な少女。
シエルだ。
「疲れているようなのでダンスは休ませてあげてください。お姉さまは夜会に不慣れなんですの」
微笑みを絶やさず子爵に告げるシエル。
演技がお上手だが、どうするのだろうか、シエルがディーヴァの代わりに生贄立候補……それは嬉しいようで困ること。
だって、ディーヴァ達が帰るためにしていることで、いくらそれを世話しているといっても、シエルには直接関係ないことで……。
巻き込むわけにはいかない。
「シエルく、」
「しー」
ああ、やっぱりシエルくんも女の子を守れる男の子なんだ。
『僕に任せろ』そう聞こえた気がした。
して、シエルの姿を目にした子爵はというと。
「こ、駒鳥……っ!!ああ、あの時の駒鳥だね!?会いたかったよ愛しの無垢なる駒鳥……!」
「ええ、そうですわよ。子爵さま、会いたかったですわぁ……」
目ん玉かっぴらいてシエルを抱きしめていた。
いったいこの二人に何があった。
ディーヴァから見えるシエルは、口では甘いセリフを吐きながらも、表情は伴っていない。
口を引きつらせ全身に鳥肌を立てつつ、その抱擁を受けていた。
気持ち悪い早く離せ僕は男に抱かれる趣味はない、そう顔に書いてあった。
「ん?駒鳥は確か、マダム・レッドの姪だったよね?」
「はい、そうですわよ」
ようやく抱きしめ地獄から解放されたシエルだが、しかし未だ両肩はがっつり掴まれたまま。
かわいそうに。
「ということは、この姉と呼んでいた森の天使も彼女の姪なんだね。誰一人として似てないんだねぇ」
「ふふ、私とお姉さまはそれぞれお母様とお父さまに似たんですの。なのに両親ともに早く亡くなって、そして今度はアンジェリーナ叔母様も亡くなって……」
「それは……辛かったね」
わ、泣き真似してる。
というかなんだその設定は。
というかディーヴァはそのアンジェリーナ叔母様とやらの話は聞いていない。
打ち合わせていない話なんてして、詳しく突っ込まれた時にボロが出ないか不安になってきた。
「嗚呼、それにしても……」
良かった、子爵自ら話題を変えてくれた。
とか思った数秒前の自分を叱りたい。
「天使も駒鳥に負けないくらい愛らしく、そして美しい。神々しいくらいだよ!」
キラキラした笑顔が今度はディーヴァに向けられる。
守備範囲バリ広というのも聞いているし、自惚れとかじゃなくその守備範囲に自分が入っているであろうことは予想できた。
「その身に纏うドレスは、まるで藤の花!君はその甘い蜜でいったい何人の男を誘うのか……」
「……はい?」
なんか変なこと言い始めたけど大丈夫なのかなこの人。
まるでサイトの管理人だ。(失礼なディーヴァだな!)
「あ、あの……!前の時は結局いいところに連れて行ってもらえなかったので、今夜こそは楽しいこと、教えてくださる!?」
「え!?あ、ああ~……!そうだったね!」
更に話題を変えたのはシエル。
咄嗟に変えた話題なのかと思いきや、ちゃんと向かいたい方向へと進めているらしい。
「お姉さまも行きましょう!……ね?」
「え、ええ……そうね。子爵さま、私からもお願いします」
「うん、わかったよ。一緒に行こう、ついてきてくれるかい?」
シエルくんの演技、本当にすごい。
これはたしかに……惑わされる、男の人イチコロだぁ……あ、イチコロなんて死語かな。
とりあえず、多分これで生贄ルーム(仮名)に連れていかれるであろうことは確実らしい。
ディーヴァは差し出されたシエルの手を取った。
子爵のあとをついて行き、頑丈な扉の向こうへと足を踏み入れるシエルとディーヴァ。
香のような甘ったるい香りがしてきたのは、その扉が閉まった瞬間だった。
「今はゆっくりおやすみ……駒鳥、森の天使」
香というより、催眠ガスが充満していたのだろうか、嗅ぎ慣れぬ者には効果覿面なソレ。
中世や現代科学では作れ得ぬ人を眠らせるガス、そんなもの目の前の子爵がどうやって手に入れたのか。
それも気になったが聞く前に、子爵の言葉を最後に二人の意識は途絶えてしまった。
「私とも踊ってもらえるかな。我が夜会に舞い降りた森の天使さん?」
「我が夜会……?ってことはドルイット子爵様ですね」
「君のような森の天使に、自分の名前を覚えてもらえていたとは光栄だよ」
キラキラした笑顔で言ってきた金髪の美男子。
それがドルイット子爵だった。
物言いは仰々しいけど、憎めない感じの人だなぁ……自己愛強いしナルシストか。
魔術やってるくらいだし裏はありそうだけ……、ど……。
ちゅ。
手を取られたかと思うと、その指先に軽いリップ音。
挨拶だが、キス、された……。
手袋の上からでよかっ……よくない。
するりと腰を撫で、そして抱き寄せる速度の速いことといったら!
ダンテもセバスチャンも、そしてそうさせられているディーヴァも、呆気にとられた。
「あ、あの……っ!ダンスもいいんですけど、その……」
「?」
何か言わないと。
ここに来た目的は目の前の男であって、その男とダンスを踊るためじゃないんだから。
でもいきなり生贄になりたいなんて言えないし、なんて言えばいいんだっけ?
その時、横から差し出された手が、ディーヴァと子爵の行く手を遮る。
白い手袋に包まれた細身の腕をだんだんに辿っていくと、そこにあったのはピンクのドレスにツインテール、片目を隠し微笑をたたえる可憐な少女。
シエルだ。
「疲れているようなのでダンスは休ませてあげてください。お姉さまは夜会に不慣れなんですの」
微笑みを絶やさず子爵に告げるシエル。
演技がお上手だが、どうするのだろうか、シエルがディーヴァの代わりに生贄立候補……それは嬉しいようで困ること。
だって、ディーヴァ達が帰るためにしていることで、いくらそれを世話しているといっても、シエルには直接関係ないことで……。
巻き込むわけにはいかない。
「シエルく、」
「しー」
ああ、やっぱりシエルくんも女の子を守れる男の子なんだ。
『僕に任せろ』そう聞こえた気がした。
して、シエルの姿を目にした子爵はというと。
「こ、駒鳥……っ!!ああ、あの時の駒鳥だね!?会いたかったよ愛しの無垢なる駒鳥……!」
「ええ、そうですわよ。子爵さま、会いたかったですわぁ……」
目ん玉かっぴらいてシエルを抱きしめていた。
いったいこの二人に何があった。
ディーヴァから見えるシエルは、口では甘いセリフを吐きながらも、表情は伴っていない。
口を引きつらせ全身に鳥肌を立てつつ、その抱擁を受けていた。
気持ち悪い早く離せ僕は男に抱かれる趣味はない、そう顔に書いてあった。
「ん?駒鳥は確か、マダム・レッドの姪だったよね?」
「はい、そうですわよ」
ようやく抱きしめ地獄から解放されたシエルだが、しかし未だ両肩はがっつり掴まれたまま。
かわいそうに。
「ということは、この姉と呼んでいた森の天使も彼女の姪なんだね。誰一人として似てないんだねぇ」
「ふふ、私とお姉さまはそれぞれお母様とお父さまに似たんですの。なのに両親ともに早く亡くなって、そして今度はアンジェリーナ叔母様も亡くなって……」
「それは……辛かったね」
わ、泣き真似してる。
というかなんだその設定は。
というかディーヴァはそのアンジェリーナ叔母様とやらの話は聞いていない。
打ち合わせていない話なんてして、詳しく突っ込まれた時にボロが出ないか不安になってきた。
「嗚呼、それにしても……」
良かった、子爵自ら話題を変えてくれた。
とか思った数秒前の自分を叱りたい。
「天使も駒鳥に負けないくらい愛らしく、そして美しい。神々しいくらいだよ!」
キラキラした笑顔が今度はディーヴァに向けられる。
守備範囲バリ広というのも聞いているし、自惚れとかじゃなくその守備範囲に自分が入っているであろうことは予想できた。
「その身に纏うドレスは、まるで藤の花!君はその甘い蜜でいったい何人の男を誘うのか……」
「……はい?」
なんか変なこと言い始めたけど大丈夫なのかなこの人。
まるでサイトの管理人だ。(失礼なディーヴァだな!)
「あ、あの……!前の時は結局いいところに連れて行ってもらえなかったので、今夜こそは楽しいこと、教えてくださる!?」
「え!?あ、ああ~……!そうだったね!」
更に話題を変えたのはシエル。
咄嗟に変えた話題なのかと思いきや、ちゃんと向かいたい方向へと進めているらしい。
「お姉さまも行きましょう!……ね?」
「え、ええ……そうね。子爵さま、私からもお願いします」
「うん、わかったよ。一緒に行こう、ついてきてくれるかい?」
シエルくんの演技、本当にすごい。
これはたしかに……惑わされる、男の人イチコロだぁ……あ、イチコロなんて死語かな。
とりあえず、多分これで生贄ルーム(仮名)に連れていかれるであろうことは確実らしい。
ディーヴァは差し出されたシエルの手を取った。
子爵のあとをついて行き、頑丈な扉の向こうへと足を踏み入れるシエルとディーヴァ。
香のような甘ったるい香りがしてきたのは、その扉が閉まった瞬間だった。
「今はゆっくりおやすみ……駒鳥、森の天使」
香というより、催眠ガスが充満していたのだろうか、嗅ぎ慣れぬ者には効果覿面なソレ。
中世や現代科学では作れ得ぬ人を眠らせるガス、そんなもの目の前の子爵がどうやって手に入れたのか。
それも気になったが聞く前に、子爵の言葉を最後に二人の意識は途絶えてしまった。
