DMC×黒執事
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スイーツを食べ終え、紅茶の入ったティーカップを静かに置いたシエル。
「で、屋敷の書庫を見てまわったんだろう。めぼしい情報はあったか?」
話はディーヴァがセバスチャンとの浮気疑惑(仮)が浮上する元となった、書庫の調査に入った。
元はと言えばダンテとディーヴァが帰るための行動だ、主人たるシエルが書庫調査の旨を知っていてもおかしくはない。
しかし、それで得た情報といえば。
「うーん。あまりわかんなかった」
「だろうな」
……ほとんどなかったという。
「でもね、アンダーテイカーさんにも言われて調べたことなんだけど、あたしとシエルくん……血縁関係者かもしれないんだよー」
「…………は?」
「だからね、シエルくんはあたしの曾曾曾祖父くらいかもって。というか遠~い親戚?」
「貴嬢が、僕の子孫……」
「うん」
軽~く言われたが、シエルにとってはそんな軽い話には感じなかった。
何故ならシエルには未来がない。
セバスチャンとの契約の最後には、悪魔へ魂を捧げるとある。
どういった形で子孫の繁栄が続くのかは定かではないがその話が真実ならば、未来がないはずの自分に未来がまだ残されているのかとも勘違いする。
それと同時にまだ年端もいかぬ子供な自分に、孫でも出来た感覚もあり、頭の中が混乱する。
ディーヴァの事をどう見たらいいんだ?と。
まあ、結局そんな細かい事を考えたところで、セバスチャンが魂を取り逃がすような真似をするはずがない。
そう、諦めているのだが。
「あたしのおじいちゃんの母国はイギリスで、遠い親戚がここにいたんだって。それで、おじいちゃんの話を元に調べたら書庫の家系図ぽいものの中で色々と辻褄があう事が書いてあったっていうか……」
「なるほど」
家系図や話を照らし合わせた結果、遠縁だという見解に至ったのはいい。
ならばどうしてこの世界のこの時間軸に?
きっかけは一体なんだったのだろう、とシエルは考え込む。
「それで『何か』が起こって、子孫だからここに来てしまった、ということか……」
「ええ。私も書庫調査を手伝ってわかりました。彼女は貴方の遠く離れた血縁者だと思いますよ。なので様々な要因が関係していると思われますが、子孫というのも理由の一つかと」
セバスチャンも天使であるディーヴァと書庫でただ遊んでいたわけではないようだ。
このスーパー完璧執事・セバスチャンが手伝ってもそれ以上わからなかったということは、書庫にはもう何もないだろう。
「書庫では帰るために必要そうな情報は得られなかったようだな」
「ま、地道に見つけるさ。なあディーヴァ」
「うん。まだもうちょい迷惑かけちゃうかもしれないけど、よろしくね?」
休みを取っている期間中に元の世界へ帰りたいのは山々だが、願ったところで帰れない以上焦っても仕方がない。
シエルとセバスチャンのご厚意にまだまだ甘えっぱなしになってしまうが、恩義を尽くしつつ、帰る方法を地道に探すのだ。
ダンテなんてディーヴァよりも焦る気配ゼロだし。
「坊ちゃんは迷惑なんて思ってませんよ」
「ああ、スイーツも美味かったしな」
「ご満足いただけたようで恐悦至極にございます」
スイーツを作って一番嬉しいこと、それが美味しいと言ってもらえることだ。
これ以上の喜びはない。
「ディーヴァの作るスイーツはセバスチャンのと違う感じで美味かった……懐かしい感じがした」
「だよな。さすがディーヴァ、ストロベリーサンデーはもちろん、他のケーキもすっごく美味かったぜ」
こう言って貰えるから、また作ろうって思える。
「セバスチャンのスイーツも美味いよな。完成された一つの作品というか完璧な味ってやつ?ソレだよ」
「当然ですよ」
「うんうん、セバスチャンさんはプロだもんね。どうやっても負けちゃうよー」
完璧な執事であり家庭教師でありパティシエであるセバスチャンに、張り合おうなどと考えてはいけない。
セバスチャンも自分の作るスイーツについては自信があるのか、ニコニコと王者の貫禄を醸すばかり。
しかし、続くダンテの言葉に眉根を寄せざるを得なかった。
「けど、やっぱオレはディーヴァの作る菓子の方が美味いって感じるぜ」
「……なぜです?」
「身内贔屓じゃねぇよ。お前の作る菓子には一つ足りてないものがある!」
「そ、それはなんです!?」
完璧主義なセバスチャンは当然、足りないものを埋めたがる。
ゴクリと唾を飲むように、ダンテの言葉を待つセバスチャン。
その表情は今まで一度も見ることの叶わなかった、まるで人間のような表情だった。
「それは…………愛!!!」
きっぱりと言い放つダンテに、セバスチャンはいつもならば鼻で笑うところを、目を見開いて反芻した。
「あ、愛……!」
「ぷっ!く、くくく!なんだとは思ったが、まさか愛なんて言葉が出てくるとはな!」
「ダンテ、それはクサイ。恥ずかしい。一番美味しいって言ってくれるのは嬉しいけどほんと恥ずかしすぎる」
代わりにシエルが大笑い。ディーヴァが身内の恥とばかりに赤くなって下を向く。
「でもそう思ったんだからしょうがないだろ?」
「えっと…………ありがとう……」
悪ふざけでもなく、真面目な顔をして言う、いつもまっすぐなダンテ。
これは恥ずべきことではなく、素直に感じた方が良さそうだ。
嬉しい、と。
「ああ。どういたしまして!美味い料理に一生懸命な家事、そしてオレを癒す笑顔、いつも本当にありがとな!」
「……ダンテ……」
ストロベリーサンデーが出た時にシエルによってかき消されたほんわりと甘い空気が、再びダンテとディーヴァの間に漂い始める。
見ていればそのうち抱き合ったりするはずのその空気。
シエルもセバスチャンも今度こそそれを邪魔しないでおくため、そっとその場をあとにする。
人の恋路を邪魔する者は、馬に蹴られても文句は言えない……その格言の言う通りに。
「で、屋敷の書庫を見てまわったんだろう。めぼしい情報はあったか?」
話はディーヴァがセバスチャンとの浮気疑惑(仮)が浮上する元となった、書庫の調査に入った。
元はと言えばダンテとディーヴァが帰るための行動だ、主人たるシエルが書庫調査の旨を知っていてもおかしくはない。
しかし、それで得た情報といえば。
「うーん。あまりわかんなかった」
「だろうな」
……ほとんどなかったという。
「でもね、アンダーテイカーさんにも言われて調べたことなんだけど、あたしとシエルくん……血縁関係者かもしれないんだよー」
「…………は?」
「だからね、シエルくんはあたしの曾曾曾祖父くらいかもって。というか遠~い親戚?」
「貴嬢が、僕の子孫……」
「うん」
軽~く言われたが、シエルにとってはそんな軽い話には感じなかった。
何故ならシエルには未来がない。
セバスチャンとの契約の最後には、悪魔へ魂を捧げるとある。
どういった形で子孫の繁栄が続くのかは定かではないがその話が真実ならば、未来がないはずの自分に未来がまだ残されているのかとも勘違いする。
それと同時にまだ年端もいかぬ子供な自分に、孫でも出来た感覚もあり、頭の中が混乱する。
ディーヴァの事をどう見たらいいんだ?と。
まあ、結局そんな細かい事を考えたところで、セバスチャンが魂を取り逃がすような真似をするはずがない。
そう、諦めているのだが。
「あたしのおじいちゃんの母国はイギリスで、遠い親戚がここにいたんだって。それで、おじいちゃんの話を元に調べたら書庫の家系図ぽいものの中で色々と辻褄があう事が書いてあったっていうか……」
「なるほど」
家系図や話を照らし合わせた結果、遠縁だという見解に至ったのはいい。
ならばどうしてこの世界のこの時間軸に?
きっかけは一体なんだったのだろう、とシエルは考え込む。
「それで『何か』が起こって、子孫だからここに来てしまった、ということか……」
「ええ。私も書庫調査を手伝ってわかりました。彼女は貴方の遠く離れた血縁者だと思いますよ。なので様々な要因が関係していると思われますが、子孫というのも理由の一つかと」
セバスチャンも天使であるディーヴァと書庫でただ遊んでいたわけではないようだ。
このスーパー完璧執事・セバスチャンが手伝ってもそれ以上わからなかったということは、書庫にはもう何もないだろう。
「書庫では帰るために必要そうな情報は得られなかったようだな」
「ま、地道に見つけるさ。なあディーヴァ」
「うん。まだもうちょい迷惑かけちゃうかもしれないけど、よろしくね?」
休みを取っている期間中に元の世界へ帰りたいのは山々だが、願ったところで帰れない以上焦っても仕方がない。
シエルとセバスチャンのご厚意にまだまだ甘えっぱなしになってしまうが、恩義を尽くしつつ、帰る方法を地道に探すのだ。
ダンテなんてディーヴァよりも焦る気配ゼロだし。
「坊ちゃんは迷惑なんて思ってませんよ」
「ああ、スイーツも美味かったしな」
「ご満足いただけたようで恐悦至極にございます」
スイーツを作って一番嬉しいこと、それが美味しいと言ってもらえることだ。
これ以上の喜びはない。
「ディーヴァの作るスイーツはセバスチャンのと違う感じで美味かった……懐かしい感じがした」
「だよな。さすがディーヴァ、ストロベリーサンデーはもちろん、他のケーキもすっごく美味かったぜ」
こう言って貰えるから、また作ろうって思える。
「セバスチャンのスイーツも美味いよな。完成された一つの作品というか完璧な味ってやつ?ソレだよ」
「当然ですよ」
「うんうん、セバスチャンさんはプロだもんね。どうやっても負けちゃうよー」
完璧な執事であり家庭教師でありパティシエであるセバスチャンに、張り合おうなどと考えてはいけない。
セバスチャンも自分の作るスイーツについては自信があるのか、ニコニコと王者の貫禄を醸すばかり。
しかし、続くダンテの言葉に眉根を寄せざるを得なかった。
「けど、やっぱオレはディーヴァの作る菓子の方が美味いって感じるぜ」
「……なぜです?」
「身内贔屓じゃねぇよ。お前の作る菓子には一つ足りてないものがある!」
「そ、それはなんです!?」
完璧主義なセバスチャンは当然、足りないものを埋めたがる。
ゴクリと唾を飲むように、ダンテの言葉を待つセバスチャン。
その表情は今まで一度も見ることの叶わなかった、まるで人間のような表情だった。
「それは…………愛!!!」
きっぱりと言い放つダンテに、セバスチャンはいつもならば鼻で笑うところを、目を見開いて反芻した。
「あ、愛……!」
「ぷっ!く、くくく!なんだとは思ったが、まさか愛なんて言葉が出てくるとはな!」
「ダンテ、それはクサイ。恥ずかしい。一番美味しいって言ってくれるのは嬉しいけどほんと恥ずかしすぎる」
代わりにシエルが大笑い。ディーヴァが身内の恥とばかりに赤くなって下を向く。
「でもそう思ったんだからしょうがないだろ?」
「えっと…………ありがとう……」
悪ふざけでもなく、真面目な顔をして言う、いつもまっすぐなダンテ。
これは恥ずべきことではなく、素直に感じた方が良さそうだ。
嬉しい、と。
「ああ。どういたしまして!美味い料理に一生懸命な家事、そしてオレを癒す笑顔、いつも本当にありがとな!」
「……ダンテ……」
ストロベリーサンデーが出た時にシエルによってかき消されたほんわりと甘い空気が、再びダンテとディーヴァの間に漂い始める。
見ていればそのうち抱き合ったりするはずのその空気。
シエルもセバスチャンも今度こそそれを邪魔しないでおくため、そっとその場をあとにする。
人の恋路を邪魔する者は、馬に蹴られても文句は言えない……その格言の言う通りに。