DMC×黒執事
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「大丈夫ですよ。天使だとわかっても、坊ちゃんの対応は何も変わりませんので」
「そ、そうですか……」
「それに貴女の香りはこの世界にいるいけ好かないクソ天使とはまた違っていてとても好ましい」
ホッと胸を撫で下ろすが、直後セバスチャンが何か言っているのが聞こえた気がする。
何かとてつもなく恐ろしい意味を含みそうな、そんな事を。
「今なんて?」
「いえ、私から見ても貴女は好ましいなとだけ。……時にダンテさん、貴方もディーヴァさんが天使である事は知っているようですね」
「あ、ああ、ディーヴァが天使なのはオレも知ってる」
口からポロポロとプチタルトの欠片を零しながらダンテが頷く。
いつもならそんな真似しないのだが、今は困惑が先走り、気にする余裕はないようだった。
「しかもダンテさん、貴方にいたっては悪魔と人間が絶妙に混じり合っている感じが見受けられます」
今度はディーヴァでなくダンテを視線で射抜くように見ながら、セバスチャンが分析した。
「……そこまでわかってるとはな。オレは父親が悪魔で母親が人間の、所謂ハーフ、半魔だ」
「半分悪魔。……なるほど、それでですか。手の怪我も治ってるのに納得がいきました」
「……おう」
「あたしは天使というか、ご先祖様に天使がいるってだけなんですけどねー」
「ふん。ただものではないと思ったが、半分悪魔に天使の血族か……面白い……!」
シエルはそう言ってひとしきり、ケラケラと笑い声を上げる。
「セバスチャン、これだけ相手の手の内がわかった今、この状態がフェアではないことはわかるな?」
「ええ、もちろんです」
こちらだけハンデのあるゲームなど、簡単すぎて面白くない。
ならば、相手にもこちらの持つカードの中身を、ハンデを教えてやるのが筋というものだ。
主従コンビがニヤリと笑いあって直後から、ゾワゾワゾワ、ディーヴァの背筋が凍り始めた。
それに次いで、空気がいきなり重く……暗く、氷のように冷たくなってゆく。
飲んでいた紅茶まで急に冷えていくようなその空気。
「な、なに……?」
不安がるディーヴァを引き寄せてただ抱きしめるダンテ。
「貴殿らに僕らの正体を教えてやろう。……セバスチャン」
「御意」
その冷たい空気の出所は主にシエルではなくセバスチャンで、彼は主人の背後に回るとその指をシエルの後頭部に結ばれた眼帯の紐へと伸ばす。
スルリ、解かれて下へと落ちる眼帯。
前髪をかき分け現れた右目が開かれると、現れた瞳はサファイア色とは違うアメジスト色。
しかも虹彩の中には、逆ペンタクルがぼうっと妖しい光りを放っていた。
「あれは契約のシルシ……。シエル、お前はもしかして悪魔と契約を……!?」
「悪魔との、契約のシルシ?」
「ああ。悪魔と契約をすれば、体のどこかにその悪魔を示す『マーキング』がされるという。オレも見たのは初めてだけどよ」
「それが、シエルくんの……右目の紋様」
室内の明かりを反射させ、きらりと輝く瞳にくっきりと浮かび上がるシエルの逆ペンタクル。
どこか怖く、なのにすごく綺麗だと感じた。
「そうだ。僕は『契約者』。数年前、悪魔と契約を交わして、僕の瞳はこうなった」
手のひらで右目を覆い隠すようにしながら、何かを思い出すように顔を俯くシエル。
「ヤード(警察)が二の足を踏んでいるような事件を『裏』からあらゆる手段を使い解決し、女王の憂いを晴らす『女王の番犬』、『悪の貴族』それが我が一族、ファントムハイヴだ」
「し、知らなかった……」
「表向きでは玩具や菓子、裏ではそんなことをねぇ」
「…………。裏ではそんな稼業をしているためか、一族は『悪の貴族』などと呼ばれながらも表の人間にも恐れられ、裏の悪党から命を狙われ……」
なんとなくわかる。
ダンテの場合は半分悪魔なため、正体がバレた人間からは悪魔と罵られ、悪魔からはその出生ゆえに命を狙われるからだ。
そして今は、ディーヴァの存在が更に拍車をかけている。
……だからといってダンテから離れる気なんてひとつもないし、ダンテもディーヴァから離れる事はない。
「その結果両親は殺され、僕は悪魔の儀式の生贄にされた。……結局、悪魔を呼んだのは僕で、その悪魔と契約したのも僕だったがな」
「……ちっせぇのにすっごい波乱に満ちた人生歩んでるんだな」
「ふ、同情はいらん。立ち止まることは許されないし、あり得ない。……そう誓っ「うゎーん!辛かったねぇ!!!」
「こら、同情はいらんと……!」
話の途中でディーヴァが再びシエルに抱きついてきた。
まるで自分の許嫁であるエリザベスのようだ、とその時のシエルは思ったそうだ。
…そのエリザベスより力加減は弱かったが。
「悪い。ディーヴァも悪魔に家族を目の前で殺されてるから、少し境遇を重ねてるんだろ」
「な、なるほど……」
ずび、鼻をすすったディーヴァが顔を上げ、シエルを不思議そうに見る。
なにか疑問点が浮上したもよう。
「……ちょっと待って。僕『ら』ってことは、セバスチャンさんが、もしかすると……悪、魔……だったりして……?」
「御察しの通り、私は悪魔で執事ですよ」
微妙に震える声音で聞けば、シエルの背後からにゅっと現れる笑顔の執事の姿。
さきほど悪魔で執事、と申したでしょう?
ディーヴァの耳元にそっと囁くその目、紅茶色の瞳が、紅く妖しく光る。
ディーヴァの恐れる、あの悪魔の紅い瞳だ。
「ひぇっ!」
ディーヴァは瞬間移動の勢いで、ダンテの影に隠れる。
「おっと、ディーヴァはオレ以外の悪魔を怖がってる。あまり弄らないでくれよ」
「……あたし今もたまにダンテの事怖いよ?」
悪魔の本能が活発になる満月の時とか。
ダンテだけに聞こえるように小さく言うと、とたんに苦虫をかみつぶしたような顔でダンテはなにか考え込んだ。
「…………訂正。ディーヴァは悪魔全般を怖がってる」
「フフ、それは申し訳ありませんでした。可愛らしい天使をからかうのは楽しいものでして」
「まぁ、そこは否定しない」
「否定してよ!」
「否定してやれよ!」
悪魔達のとんでもない会話に、シエルとディーヴァの声が重なったのは言うまでもない。
「そ、そうですか……」
「それに貴女の香りはこの世界にいるいけ好かないクソ天使とはまた違っていてとても好ましい」
ホッと胸を撫で下ろすが、直後セバスチャンが何か言っているのが聞こえた気がする。
何かとてつもなく恐ろしい意味を含みそうな、そんな事を。
「今なんて?」
「いえ、私から見ても貴女は好ましいなとだけ。……時にダンテさん、貴方もディーヴァさんが天使である事は知っているようですね」
「あ、ああ、ディーヴァが天使なのはオレも知ってる」
口からポロポロとプチタルトの欠片を零しながらダンテが頷く。
いつもならそんな真似しないのだが、今は困惑が先走り、気にする余裕はないようだった。
「しかもダンテさん、貴方にいたっては悪魔と人間が絶妙に混じり合っている感じが見受けられます」
今度はディーヴァでなくダンテを視線で射抜くように見ながら、セバスチャンが分析した。
「……そこまでわかってるとはな。オレは父親が悪魔で母親が人間の、所謂ハーフ、半魔だ」
「半分悪魔。……なるほど、それでですか。手の怪我も治ってるのに納得がいきました」
「……おう」
「あたしは天使というか、ご先祖様に天使がいるってだけなんですけどねー」
「ふん。ただものではないと思ったが、半分悪魔に天使の血族か……面白い……!」
シエルはそう言ってひとしきり、ケラケラと笑い声を上げる。
「セバスチャン、これだけ相手の手の内がわかった今、この状態がフェアではないことはわかるな?」
「ええ、もちろんです」
こちらだけハンデのあるゲームなど、簡単すぎて面白くない。
ならば、相手にもこちらの持つカードの中身を、ハンデを教えてやるのが筋というものだ。
主従コンビがニヤリと笑いあって直後から、ゾワゾワゾワ、ディーヴァの背筋が凍り始めた。
それに次いで、空気がいきなり重く……暗く、氷のように冷たくなってゆく。
飲んでいた紅茶まで急に冷えていくようなその空気。
「な、なに……?」
不安がるディーヴァを引き寄せてただ抱きしめるダンテ。
「貴殿らに僕らの正体を教えてやろう。……セバスチャン」
「御意」
その冷たい空気の出所は主にシエルではなくセバスチャンで、彼は主人の背後に回るとその指をシエルの後頭部に結ばれた眼帯の紐へと伸ばす。
スルリ、解かれて下へと落ちる眼帯。
前髪をかき分け現れた右目が開かれると、現れた瞳はサファイア色とは違うアメジスト色。
しかも虹彩の中には、逆ペンタクルがぼうっと妖しい光りを放っていた。
「あれは契約のシルシ……。シエル、お前はもしかして悪魔と契約を……!?」
「悪魔との、契約のシルシ?」
「ああ。悪魔と契約をすれば、体のどこかにその悪魔を示す『マーキング』がされるという。オレも見たのは初めてだけどよ」
「それが、シエルくんの……右目の紋様」
室内の明かりを反射させ、きらりと輝く瞳にくっきりと浮かび上がるシエルの逆ペンタクル。
どこか怖く、なのにすごく綺麗だと感じた。
「そうだ。僕は『契約者』。数年前、悪魔と契約を交わして、僕の瞳はこうなった」
手のひらで右目を覆い隠すようにしながら、何かを思い出すように顔を俯くシエル。
「ヤード(警察)が二の足を踏んでいるような事件を『裏』からあらゆる手段を使い解決し、女王の憂いを晴らす『女王の番犬』、『悪の貴族』それが我が一族、ファントムハイヴだ」
「し、知らなかった……」
「表向きでは玩具や菓子、裏ではそんなことをねぇ」
「…………。裏ではそんな稼業をしているためか、一族は『悪の貴族』などと呼ばれながらも表の人間にも恐れられ、裏の悪党から命を狙われ……」
なんとなくわかる。
ダンテの場合は半分悪魔なため、正体がバレた人間からは悪魔と罵られ、悪魔からはその出生ゆえに命を狙われるからだ。
そして今は、ディーヴァの存在が更に拍車をかけている。
……だからといってダンテから離れる気なんてひとつもないし、ダンテもディーヴァから離れる事はない。
「その結果両親は殺され、僕は悪魔の儀式の生贄にされた。……結局、悪魔を呼んだのは僕で、その悪魔と契約したのも僕だったがな」
「……ちっせぇのにすっごい波乱に満ちた人生歩んでるんだな」
「ふ、同情はいらん。立ち止まることは許されないし、あり得ない。……そう誓っ「うゎーん!辛かったねぇ!!!」
「こら、同情はいらんと……!」
話の途中でディーヴァが再びシエルに抱きついてきた。
まるで自分の許嫁であるエリザベスのようだ、とその時のシエルは思ったそうだ。
…そのエリザベスより力加減は弱かったが。
「悪い。ディーヴァも悪魔に家族を目の前で殺されてるから、少し境遇を重ねてるんだろ」
「な、なるほど……」
ずび、鼻をすすったディーヴァが顔を上げ、シエルを不思議そうに見る。
なにか疑問点が浮上したもよう。
「……ちょっと待って。僕『ら』ってことは、セバスチャンさんが、もしかすると……悪、魔……だったりして……?」
「御察しの通り、私は悪魔で執事ですよ」
微妙に震える声音で聞けば、シエルの背後からにゅっと現れる笑顔の執事の姿。
さきほど悪魔で執事、と申したでしょう?
ディーヴァの耳元にそっと囁くその目、紅茶色の瞳が、紅く妖しく光る。
ディーヴァの恐れる、あの悪魔の紅い瞳だ。
「ひぇっ!」
ディーヴァは瞬間移動の勢いで、ダンテの影に隠れる。
「おっと、ディーヴァはオレ以外の悪魔を怖がってる。あまり弄らないでくれよ」
「……あたし今もたまにダンテの事怖いよ?」
悪魔の本能が活発になる満月の時とか。
ダンテだけに聞こえるように小さく言うと、とたんに苦虫をかみつぶしたような顔でダンテはなにか考え込んだ。
「…………訂正。ディーヴァは悪魔全般を怖がってる」
「フフ、それは申し訳ありませんでした。可愛らしい天使をからかうのは楽しいものでして」
「まぁ、そこは否定しない」
「否定してよ!」
「否定してやれよ!」
悪魔達のとんでもない会話に、シエルとディーヴァの声が重なったのは言うまでもない。