少しオトナな休日デート
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「…それにしても、こっから見えると思ったが予想以上に小さいな」
席を離れ、上から下まで全てがガラス張りの外を眺めるダンテ。
リアラもまた、ダンテに習って外を覗き込む。
半魔だからあまり怖いと思わないが、一般人なら恐怖を感じるであろう高さが窓の下には広がっていた。
「小さいって何がですか?」
「…自由の女神像が見えると思ったんだ」
誰でも知っているであろうことだが、それはマンハッタン島というより、リバティ島にあるアメリカの代表的象徴である。
この少しうっかり屋さんなところも、ダンテの魅力だ。
「気持ちだけで嬉しいですよ。ありがとうございます」
「はあ…どうせならデートの最初から最後までビシッと決めたかったぜ」
「まぁまぁ。ダンテさん、半魔の目だからか、よく目をこらせば見えますし…ね?」
「…小さくだろ」
確かに、普通の人間の目だったら見えなくてがっかりしてしまうレベルにしか見えていない。
中途半端に見えている分、余計悔しさが募る。
「ヘリでもチャーターしとけば良かったぜ」
ダンテは口を尖らせて不服そうだった。
が、反対を見ればブルックリン橋が煌々と輝いている。
リアラはダンテの気をそちらに向かせた。
「反対側の橋も綺麗ですよ?」
「そうだな…。だが、次回は必ずヘリもチャーターしとくから楽しみにしてろよ」
「じゃあ、お仕事頑張らないとですね」
「………あぁ」
仕事についてはちょっぴり面倒くさそうなダンテの返答。
と、そのタイミングで、見計らったようにカクテルが席に置かれた。
「お、出来たか」
「このお酒はなんて言うんですか?」
ほんのり黄色に色づいた、細やかなメレンゲの泡の乗ったカクテル2つが、ダンテとリアラの目の前にゆらゆらと揺れる。
「ま、とりあえず乾杯しようぜ。乾杯、」
「…?わかりました、乾杯」
飲めば口に広がるドライジンと柑橘系の甘酸っぱさ、メレンゲの泡の濃厚さ、鼻腔を抜ける甘いチェリーの香り。
「わ、これも美味しいです…!上品で優しい味…」
「ああ、いい香りだ…」
香りを楽しみながらしばし、カクテルに舌鼓を打つ。
「で、リアラ。白い薔薇の花言葉はなんだ?」
「えっ!?」
唐突にそう聞いてくるダンテ。
いきなりでど忘れしたが、すぐに思い出す。
「えっと…、『わたしはあなたに相応しい』…でしたよね」
「当たり、だが、今回は外れだ」
口角を上げてダンテは不正解と唱える。
まだ正解は言わない。
「このカクテルの名前は『ホワイトローズ』だ。純白の細かな泡を白い薔薇が咲き乱れるさまと重ねているんだそうだ」
「素敵ですね」
くいっと飲み干し、立ち上がるダンテ。
「ごっそーさん。勘定は置いとく。…さて、行くか」
「きゃっ…」
リアラの手をとってその腰をぐっと引き寄せ、密着させると…。
「白薔薇のもうひとつの花言葉は『純潔』だ」
「じゅん…けつ…」
「今夜…この最上階のスイートを取ってあるんだが、夜のご予定はいかがかな?」
純潔という、なにやら意味深な花言葉を教えてから、リアラの耳に唇を寄せる。
甘く蕩けるかすれ気味の囁きが、リアラの耳元に届いた。
「ええっ!?」
言葉の意味も想像すれば赤くなること必須だが、その声と吐息だけで立っているのもやっとなほど、顔は真っ赤に染まる。
「…冗談だ。まだ俺達の関係は始まったばかり。ゆっくり進んでいこうな」
「ひぇっ!」
フゥ~ッ。最後に耳に息を吹きかけられた。
そして、クツクツと笑って耳元から離れてゆくダンテの顔。
代わりに差し出されたのは、どこに持っていたのだろう深紅の薔薇の花束だった。
12月15日の花は赤い薔薇だ。
細やかな気配りを忘れぬダンテの至れり尽くせりのデートプランに、リアラは嬉しくて涙ぐみそうだった。
「ハッピーバースデー、リアラ!」
「ありがとうございます、ダンテさん!!」
リアラは花束を抱えて、満面の笑みを浮かべた。
席を離れ、上から下まで全てがガラス張りの外を眺めるダンテ。
リアラもまた、ダンテに習って外を覗き込む。
半魔だからあまり怖いと思わないが、一般人なら恐怖を感じるであろう高さが窓の下には広がっていた。
「小さいって何がですか?」
「…自由の女神像が見えると思ったんだ」
誰でも知っているであろうことだが、それはマンハッタン島というより、リバティ島にあるアメリカの代表的象徴である。
この少しうっかり屋さんなところも、ダンテの魅力だ。
「気持ちだけで嬉しいですよ。ありがとうございます」
「はあ…どうせならデートの最初から最後までビシッと決めたかったぜ」
「まぁまぁ。ダンテさん、半魔の目だからか、よく目をこらせば見えますし…ね?」
「…小さくだろ」
確かに、普通の人間の目だったら見えなくてがっかりしてしまうレベルにしか見えていない。
中途半端に見えている分、余計悔しさが募る。
「ヘリでもチャーターしとけば良かったぜ」
ダンテは口を尖らせて不服そうだった。
が、反対を見ればブルックリン橋が煌々と輝いている。
リアラはダンテの気をそちらに向かせた。
「反対側の橋も綺麗ですよ?」
「そうだな…。だが、次回は必ずヘリもチャーターしとくから楽しみにしてろよ」
「じゃあ、お仕事頑張らないとですね」
「………あぁ」
仕事についてはちょっぴり面倒くさそうなダンテの返答。
と、そのタイミングで、見計らったようにカクテルが席に置かれた。
「お、出来たか」
「このお酒はなんて言うんですか?」
ほんのり黄色に色づいた、細やかなメレンゲの泡の乗ったカクテル2つが、ダンテとリアラの目の前にゆらゆらと揺れる。
「ま、とりあえず乾杯しようぜ。乾杯、」
「…?わかりました、乾杯」
飲めば口に広がるドライジンと柑橘系の甘酸っぱさ、メレンゲの泡の濃厚さ、鼻腔を抜ける甘いチェリーの香り。
「わ、これも美味しいです…!上品で優しい味…」
「ああ、いい香りだ…」
香りを楽しみながらしばし、カクテルに舌鼓を打つ。
「で、リアラ。白い薔薇の花言葉はなんだ?」
「えっ!?」
唐突にそう聞いてくるダンテ。
いきなりでど忘れしたが、すぐに思い出す。
「えっと…、『わたしはあなたに相応しい』…でしたよね」
「当たり、だが、今回は外れだ」
口角を上げてダンテは不正解と唱える。
まだ正解は言わない。
「このカクテルの名前は『ホワイトローズ』だ。純白の細かな泡を白い薔薇が咲き乱れるさまと重ねているんだそうだ」
「素敵ですね」
くいっと飲み干し、立ち上がるダンテ。
「ごっそーさん。勘定は置いとく。…さて、行くか」
「きゃっ…」
リアラの手をとってその腰をぐっと引き寄せ、密着させると…。
「白薔薇のもうひとつの花言葉は『純潔』だ」
「じゅん…けつ…」
「今夜…この最上階のスイートを取ってあるんだが、夜のご予定はいかがかな?」
純潔という、なにやら意味深な花言葉を教えてから、リアラの耳に唇を寄せる。
甘く蕩けるかすれ気味の囁きが、リアラの耳元に届いた。
「ええっ!?」
言葉の意味も想像すれば赤くなること必須だが、その声と吐息だけで立っているのもやっとなほど、顔は真っ赤に染まる。
「…冗談だ。まだ俺達の関係は始まったばかり。ゆっくり進んでいこうな」
「ひぇっ!」
フゥ~ッ。最後に耳に息を吹きかけられた。
そして、クツクツと笑って耳元から離れてゆくダンテの顔。
代わりに差し出されたのは、どこに持っていたのだろう深紅の薔薇の花束だった。
12月15日の花は赤い薔薇だ。
細やかな気配りを忘れぬダンテの至れり尽くせりのデートプランに、リアラは嬉しくて涙ぐみそうだった。
「ハッピーバースデー、リアラ!」
「ありがとうございます、ダンテさん!!」
リアラは花束を抱えて、満面の笑みを浮かべた。