狼とうさぎの1週間
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翌朝、2泊3日泊まったネロは悪魔の書類を手にフォルトゥナへと帰っていった。
実を言うと持ち出し厳禁の禁書なのだ。
とは言っても、教団が無くなった今、咎める者はいない。
だが、一般人が手にしたら何かよくないことが起こるかもしれない物を外には置いておけないだろう。
その実、中身は天使の言語なのでディーヴァはもっとゆっくり読みたかったともらした。
リアラは、いつか一緒にフォルトゥナに行って読めばいいよ、と言い、ネロはそれに同意して去っていった。
***
そして今は午前中のお茶の時間である。
ディーヴァの淹れたローズヒップのアイスティーに、お茶のお供はうさぎの形のリンゴ。
リアラが「どうせならリンゴはうさぎにしよう」と、切ってきたのだ。
我が家には今、『狼』と『うさぎ』がいるのだから、悲観せず楽しむのも大事だろう。
久しぶりにゆっくりとティータイムを楽しみながら、過ごしていた。
その間、若と髭はリアラとディーヴァが楽しく談笑する声をBGMに、自分の愛銃のチューンアップである。
男のむさい声と違って女の…それも愛する者達の声は実に和む。
「RRRRR!!」
と、その場のふわふわとした時間を切り裂くような音がけたたましく響いた。
「ほわっ!?」
完全に油断しきっていたディーヴァが驚いて変な叫び声をあげる。
その際持っていたリンゴが手から滑り落ち、リアラがあわててキャッチした。
「お前、驚きすぎだな」
その様子に笑いながら髭が受話器を取り上げた。
「臆病な『うさぎちゃん』だから仕方ないよなー」
「ディーヴァちゃん、大丈夫?はい、リンゴ落ちそうだったよ」
「うぅ、ありがとう…」
生えた耳を、今更だが隠すように片手で抑えながらリンゴを受け取った。
やはりうさぎだからか、警戒心もちょっぴり強く、神経過敏になっているようだと、ディーヴァは自分でも感じる。
受話器を置いた髭がニヤリと笑ってこちらにウインクした。
「ダンテさん、合言葉つきなんでしょう?」
「ああ、すぐそこの公園奥の森で火災発生、数匹の悪魔が目撃された、だとよ。リアラ、どうだ?」
「…うん。確かに西に2キロ地点に悪魔5体ってところかな」
リアラは魔獣化や、呪いの半獣化していない通常でも耳がいい。
なのでダンテ達よりも悪魔の場所を察知するのに長けていた。
リアラは目を閉じ耳を澄ませて集中すると、悪魔の所在と数を特定した。
ちらりと隣を見ると、驚くことにディーヴァも耳をピンと西の方角へ向けて何かを探っていた。
「…もしかしてディーヴァちゃんもわかるのかな?」
「え、あー…うん。あたしはリアラお姉ちゃんほどじゃないから場所まではよくわからなかったけど、何匹か悪魔がいるみたいだなーって。やっぱりこの耳のおかげかも」
ぴこんと長い耳を揺らして答えた。
「うさぎは耳がいいもんなぁ」
「へぇ…だったらずっと呪い解けなくてもいいんじゃねぇ?」
「そんなの冗談ぽいぽいだよ!」
「そうだね。ダンテさん達に困らせられてばかりだし、私も早く元に戻りたい」
そう言ってリアラはネコではなく狼だが、ぴこぴこ動くその耳にじゃれつきたくなる思いを今度も隠した。
「よっしゃ!悪魔狩りの始まりだぜ!」
若の言葉にデビルハンター達が立ち上がった。
***
こんな状態のディーヴァを残していけない、うさぎは寂しいと死んじゃうんだぞ!
という、ディーヴァを抱きしめながら必死に訴える若に呆れながらも、髭、リアラ、は全員で現場へ向かうことにした。
今回の舞台は西に2kmほど行った場所にある公園…奥には薔薇園や池もあり、そのさらに奥に行くと広大な森が広がるという場所である。
公園の入り口には人だかりが出来ていたが、その奥には誰も入らずに警官や消防隊員が入口を塞いでいた。
一番偉いであろう警官に髭が一言二言何かを言うとみな敬礼しながら道を開ける。
そうして4人は何事もなく入口を入って行った。
森につながる道はすでに火がついていたが、ところどころ水がかかったのかくすぶっていた。
消火用の太いホースが置き去りにされていて、そこからチロチロと水が漏れているところを見ると、消防隊員が火を消していたが悪魔の姿を見て逃げていった…と言ったところだろう。
進むにつれて火の勢いが増している。
一行は暑さにうんざりしながら奥にいるだろう悪魔を追う。
そして、やはり奥地に悪魔はいた。
スクリームのような顔立ちに、大きな口を持って、四つん這いになって行動している。
そしてそこから出している炎で「僕たちとっても楽しいです」とでも言うかのように、森を焼きはらっていた。
「このくそ暑いってのに、よくもまぁ、悪魔どもは火遊びなんかする気になったもんだ」
「同感だぜ」
キャンプファイヤーでもしているかのような悪魔の動きにイライラを募らせながらダンテ達は剣を構えた。
「そんなこと言ってないで早くやっつけて!火だって消さないといけないんだから」
「相手の攻撃手段が炎を吐くだけとは限らないから心配だけど、数は少ないわ。ダンテさんと若、2人で倒してください」
リアラとディーヴァがダンテ達に悪魔の相手をするよう促す。
髭と若は悪魔の方へと走りながら返事をした。
「リアラの頼みとあっちゃしかたねぇ!わかった!」
「OK!まかせろ!」
ダブルスティンガーが炸裂し、陣形を組んでいたらしき悪魔が四方八方に蹴散らされた。
それを見ながらリアラは氷を帯びた魔力をその身にまとわせ始めた。
悪魔の炎と半魔の氷。
相性は最悪だが、消火しなくてはいずれ大火事になってしまうだろう。
「私はこの火を消すわ。ディーヴァちゃんは今結界をはるからその中に…」
「あたしも手伝う!」
「え?」
リアラがディーヴァを振り返ると太いホースを持っていた。
いつの間にやら、置き去りにされていた消火用ホースを持ってきたようだ。
「わかった。そっちの方を頼むわ!」
「うんっ!」
ネコの手、いやこの場合は天使の羽も借りたいという表現が正しいか。
1人で消火するのは少し大変だと思っていたのだ、人手は多いにこしたことはないだろう。
実を言うと持ち出し厳禁の禁書なのだ。
とは言っても、教団が無くなった今、咎める者はいない。
だが、一般人が手にしたら何かよくないことが起こるかもしれない物を外には置いておけないだろう。
その実、中身は天使の言語なのでディーヴァはもっとゆっくり読みたかったともらした。
リアラは、いつか一緒にフォルトゥナに行って読めばいいよ、と言い、ネロはそれに同意して去っていった。
***
そして今は午前中のお茶の時間である。
ディーヴァの淹れたローズヒップのアイスティーに、お茶のお供はうさぎの形のリンゴ。
リアラが「どうせならリンゴはうさぎにしよう」と、切ってきたのだ。
我が家には今、『狼』と『うさぎ』がいるのだから、悲観せず楽しむのも大事だろう。
久しぶりにゆっくりとティータイムを楽しみながら、過ごしていた。
その間、若と髭はリアラとディーヴァが楽しく談笑する声をBGMに、自分の愛銃のチューンアップである。
男のむさい声と違って女の…それも愛する者達の声は実に和む。
「RRRRR!!」
と、その場のふわふわとした時間を切り裂くような音がけたたましく響いた。
「ほわっ!?」
完全に油断しきっていたディーヴァが驚いて変な叫び声をあげる。
その際持っていたリンゴが手から滑り落ち、リアラがあわててキャッチした。
「お前、驚きすぎだな」
その様子に笑いながら髭が受話器を取り上げた。
「臆病な『うさぎちゃん』だから仕方ないよなー」
「ディーヴァちゃん、大丈夫?はい、リンゴ落ちそうだったよ」
「うぅ、ありがとう…」
生えた耳を、今更だが隠すように片手で抑えながらリンゴを受け取った。
やはりうさぎだからか、警戒心もちょっぴり強く、神経過敏になっているようだと、ディーヴァは自分でも感じる。
受話器を置いた髭がニヤリと笑ってこちらにウインクした。
「ダンテさん、合言葉つきなんでしょう?」
「ああ、すぐそこの公園奥の森で火災発生、数匹の悪魔が目撃された、だとよ。リアラ、どうだ?」
「…うん。確かに西に2キロ地点に悪魔5体ってところかな」
リアラは魔獣化や、呪いの半獣化していない通常でも耳がいい。
なのでダンテ達よりも悪魔の場所を察知するのに長けていた。
リアラは目を閉じ耳を澄ませて集中すると、悪魔の所在と数を特定した。
ちらりと隣を見ると、驚くことにディーヴァも耳をピンと西の方角へ向けて何かを探っていた。
「…もしかしてディーヴァちゃんもわかるのかな?」
「え、あー…うん。あたしはリアラお姉ちゃんほどじゃないから場所まではよくわからなかったけど、何匹か悪魔がいるみたいだなーって。やっぱりこの耳のおかげかも」
ぴこんと長い耳を揺らして答えた。
「うさぎは耳がいいもんなぁ」
「へぇ…だったらずっと呪い解けなくてもいいんじゃねぇ?」
「そんなの冗談ぽいぽいだよ!」
「そうだね。ダンテさん達に困らせられてばかりだし、私も早く元に戻りたい」
そう言ってリアラはネコではなく狼だが、ぴこぴこ動くその耳にじゃれつきたくなる思いを今度も隠した。
「よっしゃ!悪魔狩りの始まりだぜ!」
若の言葉にデビルハンター達が立ち上がった。
***
こんな状態のディーヴァを残していけない、うさぎは寂しいと死んじゃうんだぞ!
という、ディーヴァを抱きしめながら必死に訴える若に呆れながらも、髭、リアラ、は全員で現場へ向かうことにした。
今回の舞台は西に2kmほど行った場所にある公園…奥には薔薇園や池もあり、そのさらに奥に行くと広大な森が広がるという場所である。
公園の入り口には人だかりが出来ていたが、その奥には誰も入らずに警官や消防隊員が入口を塞いでいた。
一番偉いであろう警官に髭が一言二言何かを言うとみな敬礼しながら道を開ける。
そうして4人は何事もなく入口を入って行った。
森につながる道はすでに火がついていたが、ところどころ水がかかったのかくすぶっていた。
消火用の太いホースが置き去りにされていて、そこからチロチロと水が漏れているところを見ると、消防隊員が火を消していたが悪魔の姿を見て逃げていった…と言ったところだろう。
進むにつれて火の勢いが増している。
一行は暑さにうんざりしながら奥にいるだろう悪魔を追う。
そして、やはり奥地に悪魔はいた。
スクリームのような顔立ちに、大きな口を持って、四つん這いになって行動している。
そしてそこから出している炎で「僕たちとっても楽しいです」とでも言うかのように、森を焼きはらっていた。
「このくそ暑いってのに、よくもまぁ、悪魔どもは火遊びなんかする気になったもんだ」
「同感だぜ」
キャンプファイヤーでもしているかのような悪魔の動きにイライラを募らせながらダンテ達は剣を構えた。
「そんなこと言ってないで早くやっつけて!火だって消さないといけないんだから」
「相手の攻撃手段が炎を吐くだけとは限らないから心配だけど、数は少ないわ。ダンテさんと若、2人で倒してください」
リアラとディーヴァがダンテ達に悪魔の相手をするよう促す。
髭と若は悪魔の方へと走りながら返事をした。
「リアラの頼みとあっちゃしかたねぇ!わかった!」
「OK!まかせろ!」
ダブルスティンガーが炸裂し、陣形を組んでいたらしき悪魔が四方八方に蹴散らされた。
それを見ながらリアラは氷を帯びた魔力をその身にまとわせ始めた。
悪魔の炎と半魔の氷。
相性は最悪だが、消火しなくてはいずれ大火事になってしまうだろう。
「私はこの火を消すわ。ディーヴァちゃんは今結界をはるからその中に…」
「あたしも手伝う!」
「え?」
リアラがディーヴァを振り返ると太いホースを持っていた。
いつの間にやら、置き去りにされていた消火用ホースを持ってきたようだ。
「わかった。そっちの方を頼むわ!」
「うんっ!」
ネコの手、いやこの場合は天使の羽も借りたいという表現が正しいか。
1人で消火するのは少し大変だと思っていたのだ、人手は多いにこしたことはないだろう。