Long Story
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『お前はいらない』
初めての主は、そう言って私をどしゃぶりの雨の中へ投げ捨てた。
「君と暮らしたい」
二人目の主は、そう言って私を暖かい家の中へ招いた。
「支度は済んだか」
「──うん」
「さあ、急いで空港へ向かうぞ。
君を必要としている人の催促がうるさくて敵わない」
しばらくこの家とはお別れだ。家具は少ないが、広くて過ごしやすい家。
私の初めての家。
少ない荷物をまとめて、これから海を越える。
「長丁場になるが、その耳と尻尾をしまっていられるか?」
家の外に待つタクシー。それに乗る前に、彼は私に耳打ちした。
「わかった」
私は2つの姿になることができる。いや、厳密に言えば3つ、か。
人間の姿と、犬の姿。そしてその中間の、人間に犬の耳と尻尾がついた姿。
彼に拾われた時は、ずぶ濡れの子犬だった。
「いい子だ」
彼は私の頭の上にポン、と大きな左手を置いた。
私は耳と尻尾を隠し、ただの人間の子供の姿になった。
初めての主は、そう言って私をどしゃぶりの雨の中へ投げ捨てた。
「君と暮らしたい」
二人目の主は、そう言って私を暖かい家の中へ招いた。
「支度は済んだか」
「──うん」
「さあ、急いで空港へ向かうぞ。
君を必要としている人の催促がうるさくて敵わない」
しばらくこの家とはお別れだ。家具は少ないが、広くて過ごしやすい家。
私の初めての家。
少ない荷物をまとめて、これから海を越える。
「長丁場になるが、その耳と尻尾をしまっていられるか?」
家の外に待つタクシー。それに乗る前に、彼は私に耳打ちした。
「わかった」
私は2つの姿になることができる。いや、厳密に言えば3つ、か。
人間の姿と、犬の姿。そしてその中間の、人間に犬の耳と尻尾がついた姿。
彼に拾われた時は、ずぶ濡れの子犬だった。
「いい子だ」
彼は私の頭の上にポン、と大きな左手を置いた。
私は耳と尻尾を隠し、ただの人間の子供の姿になった。
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