鬼滅の刃
ぽふぽふぽふ。
「……なにをしている」
ぽふ……ぽふぽふ。
「やめろ」
「義勇の髪はぽふぽふだねえ」
「わけの分からないことを」
後ろて一つに結ばれた冨岡義勇の黒髪。それの毛先に手を当てて腕を上下すれば、その無造作にまとめられた漆黒の髪を堪能できた。
この髪、見た目によらず気持ちが良い。
私は正座を崩してくつろいだ。縁側の床はかたくて苦手だ。義勇を挟むようにして両足を伸ばした。
「これ、ほどいてもい?」
そう聞くと、心底嫌そうな顔をして振り向いた。
「義勇、言葉にしないと分からないよ」
私は威嚇する義勇にそう伝えると、その髪を束ねる髪紐をほどいた。
ほわり、ほわり。
量の多い髪が重力に従って下ろされる。
体格はさておき、その髪の長さは後ろから見たら女の人のようだった。
庭から吹き込んできた風が、義勇の髪を揺らす。
髪紐から解放された髪から、義勇の香りが漂った。
「わあ。新鮮」
義勇はムッとした顔のまま、私の方に手を伸ばした。
「……炭治郎みたいだな」
伸ばされた手は、私の前髪をすくって持ち上げた。
「せめて禰豆子ちゃんにしてよ」
デリカシーのなさというか、そういうところが義勇らしいところでもあるが。
さすがに普段下ろしている前髪を勝手に上げられるのは気恥ずかしい。
私の髪に触れる右手を掴むと、義勇の左手にそれを拒まれた。
そしてそのまま、今度は私が重力に従わされた。義勇の力によって。
さしずめ、私は義勇に押し倒された状況だ。
彼の黒髪が表情を見えづらくする。ふわりと肩からこぼれる黒髪。
その髪が私の頬に触れるくらいまで近づいて、その次の瞬間には唇に柔いものを感じた。
「……よく見えるな」
「……私も義勇の顔ちゃんと見たい」
私は義勇の髪をすくった。そのまま彼の首に腕をまわすと、今度は彼のことを感じながら口付けができた。
「……なにをしている」
ぽふ……ぽふぽふ。
「やめろ」
「義勇の髪はぽふぽふだねえ」
「わけの分からないことを」
後ろて一つに結ばれた冨岡義勇の黒髪。それの毛先に手を当てて腕を上下すれば、その無造作にまとめられた漆黒の髪を堪能できた。
この髪、見た目によらず気持ちが良い。
私は正座を崩してくつろいだ。縁側の床はかたくて苦手だ。義勇を挟むようにして両足を伸ばした。
「これ、ほどいてもい?」
そう聞くと、心底嫌そうな顔をして振り向いた。
「義勇、言葉にしないと分からないよ」
私は威嚇する義勇にそう伝えると、その髪を束ねる髪紐をほどいた。
ほわり、ほわり。
量の多い髪が重力に従って下ろされる。
体格はさておき、その髪の長さは後ろから見たら女の人のようだった。
庭から吹き込んできた風が、義勇の髪を揺らす。
髪紐から解放された髪から、義勇の香りが漂った。
「わあ。新鮮」
義勇はムッとした顔のまま、私の方に手を伸ばした。
「……炭治郎みたいだな」
伸ばされた手は、私の前髪をすくって持ち上げた。
「せめて禰豆子ちゃんにしてよ」
デリカシーのなさというか、そういうところが義勇らしいところでもあるが。
さすがに普段下ろしている前髪を勝手に上げられるのは気恥ずかしい。
私の髪に触れる右手を掴むと、義勇の左手にそれを拒まれた。
そしてそのまま、今度は私が重力に従わされた。義勇の力によって。
さしずめ、私は義勇に押し倒された状況だ。
彼の黒髪が表情を見えづらくする。ふわりと肩からこぼれる黒髪。
その髪が私の頬に触れるくらいまで近づいて、その次の瞬間には唇に柔いものを感じた。
「……よく見えるな」
「……私も義勇の顔ちゃんと見たい」
私は義勇の髪をすくった。そのまま彼の首に腕をまわすと、今度は彼のことを感じながら口付けができた。