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Short Story

 体が、寂しい、と疼いていた。
 熱い体が、もっと熱を欲している。

「きみ、今夜はもうやめておいたほうがいいんじゃないか。少ししか飲んでいないのに、もう首まで真っ赤だ」

 「ほら」と隣に座る鶴丸は湯呑みを差し出してきた。

 広間はまだ晩御飯後のちょっとした宴会が続いていて、騒がしさを残している。それでも彼の声は染みるように耳に入り込んだ。

 私は指先で湯呑みを受け取った。ゆっくりと口をつけ、温い湯を下唇まで湿らすように少しずつ流し込む。垂れそうになった湯を舌先ですくいとり、湯呑みの固い縁を舐めた。

 物足りない。背中が寂しい。腰がもどかしい。足が寒い。

「……きみの期待に応えたいところだが、今日はもう飲みすぎだ」

 耳打ちする鶴丸の声が下腹部をキュンとさせた。
 横目で見やれば、彼の方が誘うような顔をしていた。

「……部屋に送っていってよ」
「そうだな。危ないやつに横取りされたら困る」

 ぞわ、と腰が微弱な快感をとらえた。
 彼の腕がまわされていた。

「鶴丸も酔ってるでしょ」
「かもしれんなぁ」

 そう言って、彼はお猪口を手に持ち口につけ、一気に仰いだ。
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