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第1章

思えば、主の裸を見たことがなかった。


うちの主は男にしては身長が低いが、肝は座っており、刀剣男士達を常に引っ張ってくれ、少し涙もろいのがたまにキズだった。
近侍は初期刀である加州清光に任せっきりで、
俺が顕現した頃から今までずっとそうだった。
俺より前に顕現した鶴丸国永に聞いても
「いやぁ?俺が来た時も加州だったぜ?近侍の事とか考えたこともなかったなぁ」
だそうだ。
加州に聞く気にもなれなかったし主に直接なんでもっての外だ。
だが大抵の仕事は加州に頼んでしまう主を見て、

もしかして主は俺を信用していないのではないだろうか。

そんなことをポロリと宗三に言った。
「何言ってんですか。あんたもずいぶん頼られてますよ。辛気臭いですね」
と、軽くあしらわれてしまった。
それから1番隊の部隊長に任命され、今まで近侍と部隊長をかけ持ちしていた加州は、近侍としてよく働くようになった。
そこで俺は思いきって聞いてみた。
「なんで加州は近侍をそんなに任されているのだ?
どうしてもしたいという訳では無いが、気になってな。」

「え…」

「いや、なんでもない。気にしないでくれ。」

明らかに何かを隠している。
何を隠しているのか考えようとしたが、どうも頭が回らない。

「しょうがない、頭を冷やすか」

湯浴みに行くと先客がいるようだった。
ガラッと戸を勢いよく開けると

「へ?!?!」という声と

「ある、じ……?」という気の抜けた俺の声が静かな湯殿に響いた。

初めて見た主の裸だ。短刀達に水浴びに誘われても「僕はいいから」と断っていた主だ。
主の身体は丸みを帯びていて、白い手足はスラリと伸び、
それはまるで女の身体だった。
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