浅井恋乃未
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いつもの見慣れた、夕暮れ時の帰り道。
並んで歩く2人の影が、オレンジ色の道路に長く伸びていた。
ゆめ「そっか……。このみ、東京の大学に行くことになったんだね」
ゆめは努めて明るい声を意識して、前を向いたまま言った。
このみ「うん。いろいろ悩んだんだけど、やっぱり行きたい学部がそこにあってさ」
ゆめ「すごいよ、おめでとう! ずっと行きたがってたもんね。応援する!」
そう言ってゆめは、お祝いするように小さく拳を握ってみせた。
寂しくないと言えば、大嘘になる。
地元の埼玉から離れて東京の華やかなキャンパスへ行ってしまう恋乃未を想像するだけで、胸がぎゅっと締め付けられるように痛かった。
でも、恋乃未の夢を邪魔するような引き止めるような真似だけはしたくなかった。
ゆめ「それにさ、埼玉と東京なんて電車に乗っちゃえばあっという間だし! 寂しくなったらすぐ会いに行ける距離だし全然平気だよ!」
早口でまくしたて、笑顔を作ってみせる。
だけど、その歩幅はいつもより明らかに狭く、視線は地面に落ちていた。
このみ「……ほんとに?」
恋乃未が立ち止まり、ゆめの顔を覗き込んだ。
ゆめ「え? うん、ほんとだよ?」
このみ「うそつき。ゆめ、あからさまに声小さくなってるし、カバンの紐ぎゅーって握りしめてる」
ゆめ「あ……」
恋乃未に指摘されて、ゆめは慌ててカバンを持つ手を緩めた。
やっぱり、このみには全部お見通しだったんだ。
平気なフリをして格好つけたかったのに落ち込んでいるのが丸分かりで情けなくて涙が出そうになる。
このみ「寂しいって思ってくれたなら、嬉しいんだけどな」
恋乃未が少し寂しそうにでも優しく微笑む。
その表情を見た瞬間、ゆめの中でずっと抑え込んできた感情が堰を切ったように溢れ出してしまった。
ゆめ「……平気なわけ、ないよ」
このみ「ゆめ?」
ゆめ「あっという間の距離かもしれないけど、毎日こうやって一緒に帰ることもできなくなるし……。東京に行ったら、私の知らない友達がたくさんできて私の知らないこのみになっちゃう気がしてすごく怖い。離れたくないよ……」
言葉にするたび、視界が涙で滲んでいく。
一度溢れた想いはもう止まらなかった。
ゆめは意を決して、涙を拭い恋乃未の目を真っ直ぐに見つめた。
ゆめ「友達として寂しいんじゃないの。私、このみのことが好きなの。ただの幼馴染じゃなくて、1人の女の子として、ずっと好きだったの……!」
夕焼けの赤さに負けないくらい、顔が熱くなるのが分かった。
心臓がうるさいくらいに脈打つ。
言ってしまったという後悔とやっと言えたという開放感が押し寄せる中、ゆめは恋乃未の返答を待った。
恋乃未は驚いたように目を見開いていたけれど、すぐにその綺麗な瞳をふにゃりと和ませた。
このみ「……やっと言った」
ゆめ「え……?」
恋乃未が一歩近づき、ゆめの涙で濡れた頬にそっと手を添える。
その手は、驚くほど温かかった。
このみ「私も、ゆめと同じ気持ちだよ。東京に行くって決まった時、一番に浮かんだのはゆめの顔だった。離れるのが寂しくて、本当は一緒についてきてって言いたいくらいだったんだよ?」
ゆめ「このみも、私のこと……?」
このみ「うん、大好きだよ。だから、東京に行っても、私の特別はゆめだけ。あっという間の距離なんだから、毎週末デートしに帰ってくるに決まってるじゃん」
恋乃未はいたずらっぽく笑って、ゆめの涙を親指で優しく拭った。
このみ「これからは幼馴染じゃなくて、彼女として私を引き止めにきてね?」
ゆめ「……うんっ! 毎週、絶対に会いに行く!」
迫る別れの季節への不安は2人を繋ぐ新しい約束によって温かい確信へと変わっていった。
並んで歩く2人の影が、オレンジ色の道路に長く伸びていた。
ゆめ「そっか……。このみ、東京の大学に行くことになったんだね」
ゆめは努めて明るい声を意識して、前を向いたまま言った。
このみ「うん。いろいろ悩んだんだけど、やっぱり行きたい学部がそこにあってさ」
ゆめ「すごいよ、おめでとう! ずっと行きたがってたもんね。応援する!」
そう言ってゆめは、お祝いするように小さく拳を握ってみせた。
寂しくないと言えば、大嘘になる。
地元の埼玉から離れて東京の華やかなキャンパスへ行ってしまう恋乃未を想像するだけで、胸がぎゅっと締め付けられるように痛かった。
でも、恋乃未の夢を邪魔するような引き止めるような真似だけはしたくなかった。
ゆめ「それにさ、埼玉と東京なんて電車に乗っちゃえばあっという間だし! 寂しくなったらすぐ会いに行ける距離だし全然平気だよ!」
早口でまくしたて、笑顔を作ってみせる。
だけど、その歩幅はいつもより明らかに狭く、視線は地面に落ちていた。
このみ「……ほんとに?」
恋乃未が立ち止まり、ゆめの顔を覗き込んだ。
ゆめ「え? うん、ほんとだよ?」
このみ「うそつき。ゆめ、あからさまに声小さくなってるし、カバンの紐ぎゅーって握りしめてる」
ゆめ「あ……」
恋乃未に指摘されて、ゆめは慌ててカバンを持つ手を緩めた。
やっぱり、このみには全部お見通しだったんだ。
平気なフリをして格好つけたかったのに落ち込んでいるのが丸分かりで情けなくて涙が出そうになる。
このみ「寂しいって思ってくれたなら、嬉しいんだけどな」
恋乃未が少し寂しそうにでも優しく微笑む。
その表情を見た瞬間、ゆめの中でずっと抑え込んできた感情が堰を切ったように溢れ出してしまった。
ゆめ「……平気なわけ、ないよ」
このみ「ゆめ?」
ゆめ「あっという間の距離かもしれないけど、毎日こうやって一緒に帰ることもできなくなるし……。東京に行ったら、私の知らない友達がたくさんできて私の知らないこのみになっちゃう気がしてすごく怖い。離れたくないよ……」
言葉にするたび、視界が涙で滲んでいく。
一度溢れた想いはもう止まらなかった。
ゆめは意を決して、涙を拭い恋乃未の目を真っ直ぐに見つめた。
ゆめ「友達として寂しいんじゃないの。私、このみのことが好きなの。ただの幼馴染じゃなくて、1人の女の子として、ずっと好きだったの……!」
夕焼けの赤さに負けないくらい、顔が熱くなるのが分かった。
心臓がうるさいくらいに脈打つ。
言ってしまったという後悔とやっと言えたという開放感が押し寄せる中、ゆめは恋乃未の返答を待った。
恋乃未は驚いたように目を見開いていたけれど、すぐにその綺麗な瞳をふにゃりと和ませた。
このみ「……やっと言った」
ゆめ「え……?」
恋乃未が一歩近づき、ゆめの涙で濡れた頬にそっと手を添える。
その手は、驚くほど温かかった。
このみ「私も、ゆめと同じ気持ちだよ。東京に行くって決まった時、一番に浮かんだのはゆめの顔だった。離れるのが寂しくて、本当は一緒についてきてって言いたいくらいだったんだよ?」
ゆめ「このみも、私のこと……?」
このみ「うん、大好きだよ。だから、東京に行っても、私の特別はゆめだけ。あっという間の距離なんだから、毎週末デートしに帰ってくるに決まってるじゃん」
恋乃未はいたずらっぽく笑って、ゆめの涙を親指で優しく拭った。
このみ「これからは幼馴染じゃなくて、彼女として私を引き止めにきてね?」
ゆめ「……うんっ! 毎週、絶対に会いに行く!」
迫る別れの季節への不安は2人を繋ぐ新しい約束によって温かい確信へと変わっていった。