長編
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三期生たちに囲まれて泣いたあの日から、ゆめの中で何かが決定的に変わった。
今までは「傷つかないこと」だけを考えて他人との距離を測っていたけれど、今は「この人たちのために何ができるか」を考えるようになっている自分に気づいたからだ。
けれど、心が開けば開くほど、これまでの自分の態度が申し訳なくてたまらなくなった。
差し伸べられた手を払い、優しい言葉を無視し、冷たい仮面で相手を拒絶してきた日々。
ゆめは決心し、レッスンの終わりのミーティングで、キャプテンの松田に「少しだけ時間をください」と願い出た。
まつだ「いいよ。みんな、注目! ゆめちゃんからお話があるって」
円陣になったメンバーたちの中心で、ゆめは震える手で一枚の便箋を握りしめた。
口で話そうとすると、どうしても言葉が詰まってしまうから、昨夜一生懸命、ひらがなで想いを書き出してきたのだ。
ゆめ「……みなさん、きいてください」
スタジオが静まり返る。
ゆめ「わたしは、ずっと、ひとりでいるのが、いちばんあんぜんだと、おもってきました。だれかをしんじたら、あとで、もっとかなしくなるって、しっていたからです」
彼女の声は小さかったけれど、一音一音が丁寧に紡がれていた。
ゆめ「だから、みんなが、わらいかけてくれても、むししたり、ひどいことを、いったりしました。……本当に、ごめんなさい。……みんなの、やさしさを、わざと、きずつけました」
深々と頭を下げるゆめ。
メンバーたちは、誰も言葉を発さずに彼女の告白を見守っている。
ゆめ「でも、みんなが、わたしの、きたないところも、かなしいところも、全部、つつんでくれました。……だから、わたし、もう、にげたくありません。みんなと、おなじ景色を、みたいです」
顔を上げたゆめの瞳には、もう迷いはなかった。
ほの「ゆめちゃん、顔あげて。……謝らんといて。うちらは、ゆめちゃんが来てくれて、本当に嬉しいんやから」
田村保乃が、涙を拭いながら優しく声をかける。
まつだ「『ごめん』じゃなくて、これから一緒にたくさん笑おう? それで全部、チャラだよ」
松田の明るい声に、スタジオの緊張がふわっと解けた。
ゆめ「……はい。……ありがとうございます。……まつださん、ほのさん。……みんな」
ゆめは、初めて自分の意志で、メンバー一人一人の目を見つめた。
今までは「壁」にしか見えなかった彼女たちの視線が、今は自分を支えてくれる「光」のように感じられた。
その日の練習帰り、ゆめは三期生の谷口と山下に呼び止められた。
あいり「ゆめさん、さっきの言葉、すごく嬉しかったです。……あの、これからは『ごめん』じゃなくて、『ありがとう』をいっぱい言い合いませんか?」
しづき「そうです。あと、敬語も少しずつ、やめていきましょう? 私たち仲間なんですから」
ゆめ「……うん。わかった。……あいり、しづき。……ありがとう」
少し照れくさそうに、けれどはっきりと名前を呼んだゆめ。
彼女の口から溢れた「ありがとう」の響きは、かつてのどの言葉よりも美しく、櫻の花びらのように柔らかだった。
今までは「傷つかないこと」だけを考えて他人との距離を測っていたけれど、今は「この人たちのために何ができるか」を考えるようになっている自分に気づいたからだ。
けれど、心が開けば開くほど、これまでの自分の態度が申し訳なくてたまらなくなった。
差し伸べられた手を払い、優しい言葉を無視し、冷たい仮面で相手を拒絶してきた日々。
ゆめは決心し、レッスンの終わりのミーティングで、キャプテンの松田に「少しだけ時間をください」と願い出た。
まつだ「いいよ。みんな、注目! ゆめちゃんからお話があるって」
円陣になったメンバーたちの中心で、ゆめは震える手で一枚の便箋を握りしめた。
口で話そうとすると、どうしても言葉が詰まってしまうから、昨夜一生懸命、ひらがなで想いを書き出してきたのだ。
ゆめ「……みなさん、きいてください」
スタジオが静まり返る。
ゆめ「わたしは、ずっと、ひとりでいるのが、いちばんあんぜんだと、おもってきました。だれかをしんじたら、あとで、もっとかなしくなるって、しっていたからです」
彼女の声は小さかったけれど、一音一音が丁寧に紡がれていた。
ゆめ「だから、みんなが、わらいかけてくれても、むししたり、ひどいことを、いったりしました。……本当に、ごめんなさい。……みんなの、やさしさを、わざと、きずつけました」
深々と頭を下げるゆめ。
メンバーたちは、誰も言葉を発さずに彼女の告白を見守っている。
ゆめ「でも、みんなが、わたしの、きたないところも、かなしいところも、全部、つつんでくれました。……だから、わたし、もう、にげたくありません。みんなと、おなじ景色を、みたいです」
顔を上げたゆめの瞳には、もう迷いはなかった。
ほの「ゆめちゃん、顔あげて。……謝らんといて。うちらは、ゆめちゃんが来てくれて、本当に嬉しいんやから」
田村保乃が、涙を拭いながら優しく声をかける。
まつだ「『ごめん』じゃなくて、これから一緒にたくさん笑おう? それで全部、チャラだよ」
松田の明るい声に、スタジオの緊張がふわっと解けた。
ゆめ「……はい。……ありがとうございます。……まつださん、ほのさん。……みんな」
ゆめは、初めて自分の意志で、メンバー一人一人の目を見つめた。
今までは「壁」にしか見えなかった彼女たちの視線が、今は自分を支えてくれる「光」のように感じられた。
その日の練習帰り、ゆめは三期生の谷口と山下に呼び止められた。
あいり「ゆめさん、さっきの言葉、すごく嬉しかったです。……あの、これからは『ごめん』じゃなくて、『ありがとう』をいっぱい言い合いませんか?」
しづき「そうです。あと、敬語も少しずつ、やめていきましょう? 私たち仲間なんですから」
ゆめ「……うん。わかった。……あいり、しづき。……ありがとう」
少し照れくさそうに、けれどはっきりと名前を呼んだゆめ。
彼女の口から溢れた「ありがとう」の響きは、かつてのどの言葉よりも美しく、櫻の花びらのように柔らかだった。