長編
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昼下がりの校舎は、不思議と音が少ない。
授業の合間。
廊下を歩く足音だけが、やけに響く。
森田ひかるは、資料を抱えて生徒会室へ向かっていた。
合同ステージの構成案。
学年混合の班割り。
考えることは多い。
ひかる(ちゃんと、伝わってるかな)
廊下の角で、誰かとぶつかりそうになる。
ひかる「あ、ごめ——」
石森璃花だった。
璃花「あっ……すみません!」
二人同時に止まる。
一瞬の沈黙。
ひかる「……この前は、ありがとう」
璃花「え?」
ひかる「音楽室。ちゃんと参加してくれて」
璃花は、少し驚いた顔をしてから、うなずく。
璃花「……いえ。楽しかったです」
⸻
ひかるは、ほんの少しだけ笑った。
ひかる「それなら、よかった」
短い会話。
でも、璃花の胸は妙に熱くなる。
璃花(ちゃんと、見てくれてる)
その様子を、少し離れた場所から見ていた人物がいた。
藤吉夏鈴。
夏鈴(……ああいうの、自然だな)
ひかるは、誰に対しても距離が一定だ。
でも、冷たいわけじゃない。
だからこそ、人が集まる。
放課後。
音楽室。
今日は学年混合での軽い確認だけ。
村山美羽は、譜面台の前で腕を組んでいた。
美羽「……ここ、間、空けた方がいいと思う」
的野美青「理由は?」
美羽「感情が、追いつかない」
その言葉に、夏鈴が視線を向ける。
夏鈴「……いい感覚」
美羽「え?」
夏鈴「ちゃんと“伝えよう”としてる」
美羽は、少しだけ驚く。
美羽(評価された…?)
一方、向井純葉は落ち着かない。
純葉(なんか、静かすぎない!?)
場を和ませようと、あえて声を出す。
純葉「ねえ!1年生たち、どう?」
山川宇衣が、少し戸惑いながら答える。
宇衣「……楽しいです」
純葉「よし!それ大事!」
その様子を、ひかるは後ろから見ていた。
ひかる(ちゃんと、混ざってきてる)
練習が一段落し、休憩時間。
璃花は、ペットボトルを手に廊下へ出る。
そこに、ひかるがいた。
ひかる「お疲れさま」
璃花「……お疲れさまです」
ひかる「無理してない?」
璃花「……少しだけ」
正直な答え。
ひかるは、うなずいた。
ひかる「それでいい。無理しない人は、長く続く」
璃花は、その言葉を噛みしめる。
璃花(この人みたいに)
その二人の距離を、
遠くから夏鈴が見ていた。
夏鈴(……なんだろ)
胸の奥が、少しだけざわつく。
焦り。
置いていかれるような感覚。
夜。
夏鈴は、一人で校舎の屋上にいた。
フェンス越しの街の光。
夏鈴(3年生……終わりが見えてる)
そこへ、田村保乃が現れる。
保乃「……やっぱり、ここにいた」
夏鈴「……バレた?」
保乃「顔に出てた」
夏鈴は、しばらく黙ってから言う。
夏鈴「ひかる、遠くない?」
保乃は、少し考える。
保乃「……近いよ。でも、みんなにとってね」
夏鈴は、小さく息を吐いた。
夏鈴「それが、ちょっと……」
言葉を探して、止まる。
保乃は、何も言わず隣に立った。
風が、二人の間を通り抜ける。
音楽室では、まだ明かりがついている。
誰かが、未来を考えている。
誰かが、憧れている。
誰かが、置いていかれそうになっている。
視線は交わる。
でも、言葉にはならない。
この静かな揺れが、やがて大きな波になることを、まだ誰も知らない。
授業の合間。
廊下を歩く足音だけが、やけに響く。
森田ひかるは、資料を抱えて生徒会室へ向かっていた。
合同ステージの構成案。
学年混合の班割り。
考えることは多い。
ひかる(ちゃんと、伝わってるかな)
廊下の角で、誰かとぶつかりそうになる。
ひかる「あ、ごめ——」
石森璃花だった。
璃花「あっ……すみません!」
二人同時に止まる。
一瞬の沈黙。
ひかる「……この前は、ありがとう」
璃花「え?」
ひかる「音楽室。ちゃんと参加してくれて」
璃花は、少し驚いた顔をしてから、うなずく。
璃花「……いえ。楽しかったです」
⸻
ひかるは、ほんの少しだけ笑った。
ひかる「それなら、よかった」
短い会話。
でも、璃花の胸は妙に熱くなる。
璃花(ちゃんと、見てくれてる)
その様子を、少し離れた場所から見ていた人物がいた。
藤吉夏鈴。
夏鈴(……ああいうの、自然だな)
ひかるは、誰に対しても距離が一定だ。
でも、冷たいわけじゃない。
だからこそ、人が集まる。
放課後。
音楽室。
今日は学年混合での軽い確認だけ。
村山美羽は、譜面台の前で腕を組んでいた。
美羽「……ここ、間、空けた方がいいと思う」
的野美青「理由は?」
美羽「感情が、追いつかない」
その言葉に、夏鈴が視線を向ける。
夏鈴「……いい感覚」
美羽「え?」
夏鈴「ちゃんと“伝えよう”としてる」
美羽は、少しだけ驚く。
美羽(評価された…?)
一方、向井純葉は落ち着かない。
純葉(なんか、静かすぎない!?)
場を和ませようと、あえて声を出す。
純葉「ねえ!1年生たち、どう?」
山川宇衣が、少し戸惑いながら答える。
宇衣「……楽しいです」
純葉「よし!それ大事!」
その様子を、ひかるは後ろから見ていた。
ひかる(ちゃんと、混ざってきてる)
練習が一段落し、休憩時間。
璃花は、ペットボトルを手に廊下へ出る。
そこに、ひかるがいた。
ひかる「お疲れさま」
璃花「……お疲れさまです」
ひかる「無理してない?」
璃花「……少しだけ」
正直な答え。
ひかるは、うなずいた。
ひかる「それでいい。無理しない人は、長く続く」
璃花は、その言葉を噛みしめる。
璃花(この人みたいに)
その二人の距離を、
遠くから夏鈴が見ていた。
夏鈴(……なんだろ)
胸の奥が、少しだけざわつく。
焦り。
置いていかれるような感覚。
夜。
夏鈴は、一人で校舎の屋上にいた。
フェンス越しの街の光。
夏鈴(3年生……終わりが見えてる)
そこへ、田村保乃が現れる。
保乃「……やっぱり、ここにいた」
夏鈴「……バレた?」
保乃「顔に出てた」
夏鈴は、しばらく黙ってから言う。
夏鈴「ひかる、遠くない?」
保乃は、少し考える。
保乃「……近いよ。でも、みんなにとってね」
夏鈴は、小さく息を吐いた。
夏鈴「それが、ちょっと……」
言葉を探して、止まる。
保乃は、何も言わず隣に立った。
風が、二人の間を通り抜ける。
音楽室では、まだ明かりがついている。
誰かが、未来を考えている。
誰かが、憧れている。
誰かが、置いていかれそうになっている。
視線は交わる。
でも、言葉にはならない。
この静かな揺れが、やがて大きな波になることを、まだ誰も知らない。