長編
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春の朝。
まだ少し肌寒い風が、スタジオの外を吹き抜けていた。
櫻坂の楽屋は、いつも通り騒がしい。
まつり「おはよー!」
いとは「おはようございます!」
ゆづき「ねぇ聞いて、昨日さ——」
朝からメンバーたちの声が飛び交っている。
そのソファの端で、森田ひかるは小さく丸くなって座っていた。
膝の上にスマホを置いて、ぼーっと画面を眺めている。
そこへ、後ろからふわっと影が落ちた。
ほの「ひーちゃん」
ひかる「ん?」
次の瞬間。
ほのの腕が後ろからひかるの肩に回る。
ほの「おはよ」
ひかる「うわ、びっくりした」
振り返ると、田村保乃がにこにこ笑っていた。
ほの「びっくりしてないやん」
ひかる「してるって」
ほの「顔が冷静すぎるねん」
ひかるは軽く笑いながら、ほのの手をぽんと叩く。
ひかる「朝から元気やな」
ほの「ひーちゃんが暗いだけ」
ひかる「暗くないし」
そんな2人のやり取りを、近くで見ていたまつりが笑う。
まつり「はいはい」
ひかる「なに」
まつり「朝からカップル見せつけないでください」
ひかる「違うし」
ほの「違わんやろ」
ひかる「いや、普通に会話してるだけ」
ほの「普通に腕回してるだけやで?」
まつり「それが普通じゃないんだよ」
楽屋に笑いが広がる。
付き合って一年。
最初は隠していた2人の関係も、今ではメンバーのほとんどが知っていた。
もちろん公式ではない。
だけど、みんな暗黙で理解している。
ひかるとほのは、恋人だ。
ひかる「今日の収録長い?」
ほの「長いらしいで」
ひかる「えー」
ほの「3本撮り」
ひかる「最悪や」
ひかるはソファに倒れ込む。
ほの「でも終わったら」
ひかる「?」
ほの「ご飯行く?」
ひかるは顔を上げる。
ひかる「なに食べたいん」
ほの「焼肉」
ひかる「朝から重い話すんな」
ほの「ひーちゃんも好きやん」
ひかる「まぁ好きだけども」
まつり「ねぇ」
2人を見るまつり。
まつり「いちゃつくのは楽屋じゃなくて外でやって」
ひかる「してないって」
ほの「してるやん」
また笑いが起こる。
その時。
りか「森田さ~ん」
石森璃花が手を振る。
りか「ちょっと来てください!」
ひかる「なに?」
りか「ダンスの確認したいです」
ひかる「あー今?」
りか「今」
ひかるは立ち上がる。
その瞬間。
ほのが袖を軽く引いた。
ほの「ひーちゃん」
ひかる「ん?」
ほの「今日さ」
ひかる「?」
ほの「終わったらほんまにご飯行こ」
ひかる「行くって」
ほの「約束な」
ひかる「うん」
ひかるは軽く笑う。
そして、ほのの頭をぽんっと叩く。
ひかる「待っとけ」
ほの「なんで上からやねん」
ひかるはそのままりかの方へ歩いていった。
残されたほの。
まつりが隣に座る。
まつり「ほんと仲いいよね」
ほの「そう?」
まつり「そうだよ」
まつりは少し笑う。
まつり「ひかる、ほののことめちゃくちゃ好きじゃん」
ほの「……」
ほのは少し照れくさそうに笑う。
ほの「まぁ…うん」
まつり「なにその反応」
ほの「でもさ」
ほのはひかるの背中を見る。
ダンスの話をしながら笑っている。
ほの「好きなんよ」
まつり「知ってる」
ほの「めっちゃ好き」
まつり「はいはい」
ほの「ほんまに」
まつり「分かったって笑」
ほのは小さく笑った。
この時間が。
この空気が。
ずっと続くと思っていた。
何も変わらず。
当たり前に。
ひかると隣にいられると。
でも。
その日の夜。
その“当たり前”は、
突然壊れてしまう。
まだ少し肌寒い風が、スタジオの外を吹き抜けていた。
櫻坂の楽屋は、いつも通り騒がしい。
まつり「おはよー!」
いとは「おはようございます!」
ゆづき「ねぇ聞いて、昨日さ——」
朝からメンバーたちの声が飛び交っている。
そのソファの端で、森田ひかるは小さく丸くなって座っていた。
膝の上にスマホを置いて、ぼーっと画面を眺めている。
そこへ、後ろからふわっと影が落ちた。
ほの「ひーちゃん」
ひかる「ん?」
次の瞬間。
ほのの腕が後ろからひかるの肩に回る。
ほの「おはよ」
ひかる「うわ、びっくりした」
振り返ると、田村保乃がにこにこ笑っていた。
ほの「びっくりしてないやん」
ひかる「してるって」
ほの「顔が冷静すぎるねん」
ひかるは軽く笑いながら、ほのの手をぽんと叩く。
ひかる「朝から元気やな」
ほの「ひーちゃんが暗いだけ」
ひかる「暗くないし」
そんな2人のやり取りを、近くで見ていたまつりが笑う。
まつり「はいはい」
ひかる「なに」
まつり「朝からカップル見せつけないでください」
ひかる「違うし」
ほの「違わんやろ」
ひかる「いや、普通に会話してるだけ」
ほの「普通に腕回してるだけやで?」
まつり「それが普通じゃないんだよ」
楽屋に笑いが広がる。
付き合って一年。
最初は隠していた2人の関係も、今ではメンバーのほとんどが知っていた。
もちろん公式ではない。
だけど、みんな暗黙で理解している。
ひかるとほのは、恋人だ。
ひかる「今日の収録長い?」
ほの「長いらしいで」
ひかる「えー」
ほの「3本撮り」
ひかる「最悪や」
ひかるはソファに倒れ込む。
ほの「でも終わったら」
ひかる「?」
ほの「ご飯行く?」
ひかるは顔を上げる。
ひかる「なに食べたいん」
ほの「焼肉」
ひかる「朝から重い話すんな」
ほの「ひーちゃんも好きやん」
ひかる「まぁ好きだけども」
まつり「ねぇ」
2人を見るまつり。
まつり「いちゃつくのは楽屋じゃなくて外でやって」
ひかる「してないって」
ほの「してるやん」
また笑いが起こる。
その時。
りか「森田さ~ん」
石森璃花が手を振る。
りか「ちょっと来てください!」
ひかる「なに?」
りか「ダンスの確認したいです」
ひかる「あー今?」
りか「今」
ひかるは立ち上がる。
その瞬間。
ほのが袖を軽く引いた。
ほの「ひーちゃん」
ひかる「ん?」
ほの「今日さ」
ひかる「?」
ほの「終わったらほんまにご飯行こ」
ひかる「行くって」
ほの「約束な」
ひかる「うん」
ひかるは軽く笑う。
そして、ほのの頭をぽんっと叩く。
ひかる「待っとけ」
ほの「なんで上からやねん」
ひかるはそのままりかの方へ歩いていった。
残されたほの。
まつりが隣に座る。
まつり「ほんと仲いいよね」
ほの「そう?」
まつり「そうだよ」
まつりは少し笑う。
まつり「ひかる、ほののことめちゃくちゃ好きじゃん」
ほの「……」
ほのは少し照れくさそうに笑う。
ほの「まぁ…うん」
まつり「なにその反応」
ほの「でもさ」
ほのはひかるの背中を見る。
ダンスの話をしながら笑っている。
ほの「好きなんよ」
まつり「知ってる」
ほの「めっちゃ好き」
まつり「はいはい」
ほの「ほんまに」
まつり「分かったって笑」
ほのは小さく笑った。
この時間が。
この空気が。
ずっと続くと思っていた。
何も変わらず。
当たり前に。
ひかると隣にいられると。
でも。
その日の夜。
その“当たり前”は、
突然壊れてしまう。