長編
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文化祭二日目の夜。
校内放送で、閉場まで残り一時間だと告げられた。
男装カフェも少しずつ落ち着きを取り戻し、
教室の照明が、柔らかい色に変わっている。
村山美羽は、カウンターの内側で手を止めていた。
みう(……楽しいはずなのに)
胸の奥が、少しだけ重い。
その理由は、すぐそばにいた。
大園玲。
男装姿で、静かに客を案内している。
言葉は少ないけれど、所作は丁寧で、安心感があった。
——守られている、って感じ。
みう(でも、それだけでいいのかな)
片付けの時間。
美羽はトレーを持って裏へ向かった。
れい「一人で大丈夫?」
みう「……うん」
反射的に答えてしまう。
本当は、一緒に来てほしかった。
裏の廊下。
美羽は、壁にもたれて深呼吸した。
みう(私ばっかりだ)
好きになって、意識して、距離を縮めたくて。
でも玲は、いつも一歩引いたところにいる。
れい(優しいけど……近づいてこない)
れい「みう」
名前を呼ばれて、振り返る。
玲は、少し迷ったような表情をしていた。
れい「さっき、一人で大丈夫って言ってたけど」
みう「……言ったね」
れい「本当に?」
美羽は、一瞬言葉に詰まる。
みう「……大丈夫じゃないって言ったら」
みう「来てくれる?」
玲は、少し驚いた顔をした。
れい「……来るよ」
即答だった。
その答えに、胸が痛くなる。
みう(そういうとこ)
みう「れいはさ」
ゆっくり言葉を選ぶ。
みう「私のこと、どう思ってる?」
玲は、すぐには答えなかった。
れい「……大事だよ」
みう「それって……“好き”とは違う?」
玲は視線を落とす。
れい「同じだと思ってた」
美羽の指が、ぎゅっと握られる。
みう「ねぇ」
声が少し震える。
みう「私、守られるだけの位置にいたくない」
玲が顔を上げる。
みう「隣に立ちたい」
みう「同じ目線で、同じ場所で、文化祭終わったあとも」
れい「……私」
ゆっくり言葉を紡ぐ。
れい「好きな人には、嫌な思いさせたくなくて」
れい「だから、前に出るより、後ろにいた」
美羽は、はっとする。
みう「それって……」
れい「臆病なんだと思う」
玲は、苦笑した。
れい「好きって言って、関係が変わるのが怖かった」
美羽は、一歩近づいた。
みう「私はね」
みう「変わらない方が、ずっと怖かった」
玲の目が揺れる。
みう「このまま“優しい人”で終わるの、嫌だった」
玲は、しばらく黙っていたが、
やがて、小さく息を吐いた。
れい「……隣に立つって私にとっては、守るよりずっと勇気がいる」
みう「うん」
れい「でも」
顔を上げる。
れい「みうとなら、やってみたい」
美羽の胸が、熱くなる。
みう「……じゃあ」
少し照れながら。
みう「逃げないでね」
玲は、静かにうなずいた。
れい「逃げない」
二人の距離が、自然と近づいた。
校内放送が、「まもなく閉場です」と告げる。
文化祭は終わりに向かっている。
でも。
守るだけの関係から、隣に立つ関係へ。
二人は、同じ一歩を踏み出した。
校内放送で、閉場まで残り一時間だと告げられた。
男装カフェも少しずつ落ち着きを取り戻し、
教室の照明が、柔らかい色に変わっている。
村山美羽は、カウンターの内側で手を止めていた。
みう(……楽しいはずなのに)
胸の奥が、少しだけ重い。
その理由は、すぐそばにいた。
大園玲。
男装姿で、静かに客を案内している。
言葉は少ないけれど、所作は丁寧で、安心感があった。
——守られている、って感じ。
みう(でも、それだけでいいのかな)
片付けの時間。
美羽はトレーを持って裏へ向かった。
れい「一人で大丈夫?」
みう「……うん」
反射的に答えてしまう。
本当は、一緒に来てほしかった。
裏の廊下。
美羽は、壁にもたれて深呼吸した。
みう(私ばっかりだ)
好きになって、意識して、距離を縮めたくて。
でも玲は、いつも一歩引いたところにいる。
れい(優しいけど……近づいてこない)
れい「みう」
名前を呼ばれて、振り返る。
玲は、少し迷ったような表情をしていた。
れい「さっき、一人で大丈夫って言ってたけど」
みう「……言ったね」
れい「本当に?」
美羽は、一瞬言葉に詰まる。
みう「……大丈夫じゃないって言ったら」
みう「来てくれる?」
玲は、少し驚いた顔をした。
れい「……来るよ」
即答だった。
その答えに、胸が痛くなる。
みう(そういうとこ)
みう「れいはさ」
ゆっくり言葉を選ぶ。
みう「私のこと、どう思ってる?」
玲は、すぐには答えなかった。
れい「……大事だよ」
みう「それって……“好き”とは違う?」
玲は視線を落とす。
れい「同じだと思ってた」
美羽の指が、ぎゅっと握られる。
みう「ねぇ」
声が少し震える。
みう「私、守られるだけの位置にいたくない」
玲が顔を上げる。
みう「隣に立ちたい」
みう「同じ目線で、同じ場所で、文化祭終わったあとも」
れい「……私」
ゆっくり言葉を紡ぐ。
れい「好きな人には、嫌な思いさせたくなくて」
れい「だから、前に出るより、後ろにいた」
美羽は、はっとする。
みう「それって……」
れい「臆病なんだと思う」
玲は、苦笑した。
れい「好きって言って、関係が変わるのが怖かった」
美羽は、一歩近づいた。
みう「私はね」
みう「変わらない方が、ずっと怖かった」
玲の目が揺れる。
みう「このまま“優しい人”で終わるの、嫌だった」
玲は、しばらく黙っていたが、
やがて、小さく息を吐いた。
れい「……隣に立つって私にとっては、守るよりずっと勇気がいる」
みう「うん」
れい「でも」
顔を上げる。
れい「みうとなら、やってみたい」
美羽の胸が、熱くなる。
みう「……じゃあ」
少し照れながら。
みう「逃げないでね」
玲は、静かにうなずいた。
れい「逃げない」
二人の距離が、自然と近づいた。
校内放送が、「まもなく閉場です」と告げる。
文化祭は終わりに向かっている。
でも。
守るだけの関係から、隣に立つ関係へ。
二人は、同じ一歩を踏み出した。