長編
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2年生の教室は、昼休みになると一気に騒がしくなる。
椅子を引く音、机を叩く音、笑い声。
エネルギーだけなら、学園で一番だ。
向井純葉は、机の上に肘をついて前の席に身を乗り出していた。
純葉「ねえねえ!さっきの始業式見た!?
3年生やばくなかった!?オーラ!」
的野美青「……見たけど」
純葉「“けど”なに!?」
美青「まだ、遠いなって思っただけ」
純葉「え〜!?そこ!?」
その会話を、少し離れた席で聞いていたのが村山美羽。
美羽は、教科書を閉じたまま窓の外を見ている。
校庭では、1年生たちが慣れない様子で歩いていた。
美羽(去年は、私たちがああだった)
時間は確かに流れている。
でも、成長している実感は、まだ曖昧だ。
教室の後方。
石森璃花は、ノートをまとめながら静かに周囲を見ていた。
璃花(2年生になった、けど)
“中堅”と呼ばれるにはまだ足りない。
“後輩”でいるには、もう遅い。
璃花の視線は、無意識に生徒会室の方向へ向く。
璃花(森田先輩……)
言葉を交わしたのは、ほんの一瞬。
それでも、その距離感が忘れられない。
向井純葉が、急に立ち上がる。
純葉「ねぇさ!」
純葉「今年の合同ステージさ、私たち、ちゃんと目立てると思う?」
教室が、一瞬静かになる。
美青が、腕を組んだまま答える。
美青「目立つだけなら、できる。でも、“残る”かどうかは別」
純葉「……」
村山美羽が、ようやく口を開いた。
美羽「3年生みたいに、“見せる理由”がないと」
純葉「理由?」
美羽「ただ楽しいだけじゃ、足りない」
純葉は一瞬、ムッとした顔をする。
純葉「じゃあさ、美羽は理由あるの?」
美羽「……」
答えない。
それが、余計に空気を張り詰めさせる。
その時。
ガラッ、と扉が開いた。
現れたのは、3年生の大園玲。
玲「なんか、空気重くない?」
一瞬で教室の緊張がほどける。
玲「お邪魔してるよ〜」
純葉「玲先輩!」
美羽は、視線だけで挨拶する。
璃花は、少し背筋を伸ばした。
玲は、机に軽く腰をかける。
玲「2年生ってさ一番しんどい時期だと思うんだよね」
美青「……どういう意味ですか」
玲「上は遠いし、下は見える」
玲「だから焦る」
純葉「それ、今の私たちじゃん!」
玲「でしょ?」
玲は、笑いながらも真剣だった。
玲「でもね」
玲「焦ってるってことは、ちゃんと前を見てるってことだから」
美羽が、ぽつりと言う。
美羽「……先輩たちは、迷わないんですか」
玲「迷うよ」
即答だった。
玲「めちゃくちゃ迷う。でもね、3年生は“迷ってる時間が短い”だけ」
その言葉に、璃花の胸が少しだけ締めつけられる。
璃花(私たちは、まだ迷っていい)
でも、ずっと迷ってはいられない。
玲が立ち上がる。
玲「合同ステージ。2年生がどう出るか、私たちも楽しみにしてるよ」
そう言って、教室を出ていく。
しばらく、誰も喋らなかった。
やがて、純葉が小さく笑う。
純葉「……よし。じゃあさ、私たちもやろうよ」
純葉「“私たちの理由”」
美青がうなずく。
美青「中途半端は、やだ」
美羽は、ゆっくり息を吐いた。
美羽「……考える」
それは、逃げじゃない。
前に進むための言葉だった。
璃花は、ノートを閉じる。
璃花(先輩たちみたいに。いつか、誰かに影響を与えられる存在に)
その時はまだ、遠い未来の話だった。
2年生の教室に、少しだけ熱が戻る。
未完成で
不器用で
でも確かに前を向いている。
この学年は、まだ“途中”だ。
椅子を引く音、机を叩く音、笑い声。
エネルギーだけなら、学園で一番だ。
向井純葉は、机の上に肘をついて前の席に身を乗り出していた。
純葉「ねえねえ!さっきの始業式見た!?
3年生やばくなかった!?オーラ!」
的野美青「……見たけど」
純葉「“けど”なに!?」
美青「まだ、遠いなって思っただけ」
純葉「え〜!?そこ!?」
その会話を、少し離れた席で聞いていたのが村山美羽。
美羽は、教科書を閉じたまま窓の外を見ている。
校庭では、1年生たちが慣れない様子で歩いていた。
美羽(去年は、私たちがああだった)
時間は確かに流れている。
でも、成長している実感は、まだ曖昧だ。
教室の後方。
石森璃花は、ノートをまとめながら静かに周囲を見ていた。
璃花(2年生になった、けど)
“中堅”と呼ばれるにはまだ足りない。
“後輩”でいるには、もう遅い。
璃花の視線は、無意識に生徒会室の方向へ向く。
璃花(森田先輩……)
言葉を交わしたのは、ほんの一瞬。
それでも、その距離感が忘れられない。
向井純葉が、急に立ち上がる。
純葉「ねぇさ!」
純葉「今年の合同ステージさ、私たち、ちゃんと目立てると思う?」
教室が、一瞬静かになる。
美青が、腕を組んだまま答える。
美青「目立つだけなら、できる。でも、“残る”かどうかは別」
純葉「……」
村山美羽が、ようやく口を開いた。
美羽「3年生みたいに、“見せる理由”がないと」
純葉「理由?」
美羽「ただ楽しいだけじゃ、足りない」
純葉は一瞬、ムッとした顔をする。
純葉「じゃあさ、美羽は理由あるの?」
美羽「……」
答えない。
それが、余計に空気を張り詰めさせる。
その時。
ガラッ、と扉が開いた。
現れたのは、3年生の大園玲。
玲「なんか、空気重くない?」
一瞬で教室の緊張がほどける。
玲「お邪魔してるよ〜」
純葉「玲先輩!」
美羽は、視線だけで挨拶する。
璃花は、少し背筋を伸ばした。
玲は、机に軽く腰をかける。
玲「2年生ってさ一番しんどい時期だと思うんだよね」
美青「……どういう意味ですか」
玲「上は遠いし、下は見える」
玲「だから焦る」
純葉「それ、今の私たちじゃん!」
玲「でしょ?」
玲は、笑いながらも真剣だった。
玲「でもね」
玲「焦ってるってことは、ちゃんと前を見てるってことだから」
美羽が、ぽつりと言う。
美羽「……先輩たちは、迷わないんですか」
玲「迷うよ」
即答だった。
玲「めちゃくちゃ迷う。でもね、3年生は“迷ってる時間が短い”だけ」
その言葉に、璃花の胸が少しだけ締めつけられる。
璃花(私たちは、まだ迷っていい)
でも、ずっと迷ってはいられない。
玲が立ち上がる。
玲「合同ステージ。2年生がどう出るか、私たちも楽しみにしてるよ」
そう言って、教室を出ていく。
しばらく、誰も喋らなかった。
やがて、純葉が小さく笑う。
純葉「……よし。じゃあさ、私たちもやろうよ」
純葉「“私たちの理由”」
美青がうなずく。
美青「中途半端は、やだ」
美羽は、ゆっくり息を吐いた。
美羽「……考える」
それは、逃げじゃない。
前に進むための言葉だった。
璃花は、ノートを閉じる。
璃花(先輩たちみたいに。いつか、誰かに影響を与えられる存在に)
その時はまだ、遠い未来の話だった。
2年生の教室に、少しだけ熱が戻る。
未完成で
不器用で
でも確かに前を向いている。
この学年は、まだ“途中”だ。