長編
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「ねぇれい、これどこ置く?」
振り向く前から分かる声。
れい「……そこ、壁際」
そう答えながら、大園玲は無意識に視線を追っていた。
村山美羽。
男装用の衣装を着て、いつもより少しだけ背筋を伸ばして歩く姿。
れい(……なんで)
胸の奥が、ざわつく。
男装カフェの準備が進むにつれて、美羽に向けられる視線が、明らかに増えていた。
「美羽くん、めっちゃ王子じゃん」
「一緒に写真撮りたい!」
「……」
玲は、ペンを持つ手に力が入る。
れい(軽いノリのはずだったのに)
最初は、楽しい企画だった。
文化祭を盛り上げるための、ただそれだけ。
——なのに。
「みう、ちょっといい?」
知らないクラスの子に呼び止められる美羽。
みう「え? あ、うん」
素直に応じるその感じが、余計に嫌だった。
れい(行くな)
喉まで出かかった言葉を、玲は飲み込む。
れい(……私、何様)
そんな権利、ない。
「れいちゃん?」
背後から、向井純葉の声。
いとは「顔怖いよ」
れい「……してない」
してる。
めちゃくちゃ。
いとは「みうのこと?」
図星すぎて、返事が詰まる。
れい「……別に」
いとは「はいはい」
純葉は小さく笑う。
いとは「でもさ」
少し真面目な声。
いとは「独占欲って、分かりやすいよ」
れい「は?」
いとは「自覚、したほうが楽かもね〜」
言い捨てるように去っていく純葉。
れい(自覚……)
そんな言葉、考えたこともなかった。
夕方。
衣装チェックのため、二人で鏡の前に立つ。
れい「ネクタイ、曲がってる」
玲が直そうと手を伸ばす。
距離が、近い。
みう「ありがと」
美羽が笑う。
その笑顔が、他の誰かに向けられるのを想像してしまう。
——耐えられなかった。
れい「……みう」
思わず、名前を呼ぶ。
みう「なに?」
れい「文化祭の間さ」
一瞬、言葉に詰まる。
れい「……あんまり、他の人と喋らないで」
言ってしまった。
美羽は目を瞬かせてから、少し困ったように笑った。
みう「え、それって……」
れい「冗談!」
即座に被せる。
れい「カフェ回らなくなるでしょ」
れい(最低)
逃げた。
みう「……びっくりした」
美羽はそう言いながらも、どこか楽しそうだった。
れい(なんで)
玲は、自分の感情が分からなくなる。
夜。
帰り道。
二人並んで歩く。
みう「ねぇれい」
美羽がぽつりと言う。
みう「今日、なんか変だった」
心臓が跳ねる。
れい「……そう?」
みう「うん」
少し間が空く。
みう「でも」
美羽は前を向いたまま言った。
みう「嫌じゃなかったよ」
その一言で、玲の世界が一瞬止まった。
れい(……え)
みう「じゃ、また明日」
軽く手を振って、美羽は先に行ってしまう。
取り残された玲は、その背中を見つめることしかできなかった。
れい(……渡したくない)
はっきりと、思った。
冗談でも、ノリでもなく。
この気持ちは、友達に向けるものじゃない。
——そう気づいてしまった瞬間、
もう引き返せなくなっていた。
振り向く前から分かる声。
れい「……そこ、壁際」
そう答えながら、大園玲は無意識に視線を追っていた。
村山美羽。
男装用の衣装を着て、いつもより少しだけ背筋を伸ばして歩く姿。
れい(……なんで)
胸の奥が、ざわつく。
男装カフェの準備が進むにつれて、美羽に向けられる視線が、明らかに増えていた。
「美羽くん、めっちゃ王子じゃん」
「一緒に写真撮りたい!」
「……」
玲は、ペンを持つ手に力が入る。
れい(軽いノリのはずだったのに)
最初は、楽しい企画だった。
文化祭を盛り上げるための、ただそれだけ。
——なのに。
「みう、ちょっといい?」
知らないクラスの子に呼び止められる美羽。
みう「え? あ、うん」
素直に応じるその感じが、余計に嫌だった。
れい(行くな)
喉まで出かかった言葉を、玲は飲み込む。
れい(……私、何様)
そんな権利、ない。
「れいちゃん?」
背後から、向井純葉の声。
いとは「顔怖いよ」
れい「……してない」
してる。
めちゃくちゃ。
いとは「みうのこと?」
図星すぎて、返事が詰まる。
れい「……別に」
いとは「はいはい」
純葉は小さく笑う。
いとは「でもさ」
少し真面目な声。
いとは「独占欲って、分かりやすいよ」
れい「は?」
いとは「自覚、したほうが楽かもね〜」
言い捨てるように去っていく純葉。
れい(自覚……)
そんな言葉、考えたこともなかった。
夕方。
衣装チェックのため、二人で鏡の前に立つ。
れい「ネクタイ、曲がってる」
玲が直そうと手を伸ばす。
距離が、近い。
みう「ありがと」
美羽が笑う。
その笑顔が、他の誰かに向けられるのを想像してしまう。
——耐えられなかった。
れい「……みう」
思わず、名前を呼ぶ。
みう「なに?」
れい「文化祭の間さ」
一瞬、言葉に詰まる。
れい「……あんまり、他の人と喋らないで」
言ってしまった。
美羽は目を瞬かせてから、少し困ったように笑った。
みう「え、それって……」
れい「冗談!」
即座に被せる。
れい「カフェ回らなくなるでしょ」
れい(最低)
逃げた。
みう「……びっくりした」
美羽はそう言いながらも、どこか楽しそうだった。
れい(なんで)
玲は、自分の感情が分からなくなる。
夜。
帰り道。
二人並んで歩く。
みう「ねぇれい」
美羽がぽつりと言う。
みう「今日、なんか変だった」
心臓が跳ねる。
れい「……そう?」
みう「うん」
少し間が空く。
みう「でも」
美羽は前を向いたまま言った。
みう「嫌じゃなかったよ」
その一言で、玲の世界が一瞬止まった。
れい(……え)
みう「じゃ、また明日」
軽く手を振って、美羽は先に行ってしまう。
取り残された玲は、その背中を見つめることしかできなかった。
れい(……渡したくない)
はっきりと、思った。
冗談でも、ノリでもなく。
この気持ちは、友達に向けるものじゃない。
——そう気づいてしまった瞬間、
もう引き返せなくなっていた。