長編
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——最初は、ただの冗談のつもりだった。
れな「かりんちゃん、男装似合いそうだよね」
衣装合わせの日、軽く言った一言。
“モテるよ”
“王子様みたい”
そんな言葉を、他の誰かが言うまでは。
文化祭準備が本格化してから、守屋麗奈は気づいてしまった。
——藤吉夏鈴の周りだけ、人が多い。
「夏鈴くーん! 写真撮ってもいい?」
「ちょっとだけでいいから!」
廊下でも、教室でも。
男装した夏鈴は、無表情なのに目を引く。
れな「……はぁ」
麗奈は無意識に、ため息をついていた。
れな(何これ)
胸の奥が、ざらっとする。
れい「れな?」
隣を歩いていた大園玲が首を傾げる。
れい「疲れてる?」
れな「……ううん」
嘘。
全然、疲れてない。
ただ——落ち着かない。
準備中、教室の隅。
夏鈴は壁にもたれ、スマホをいじりながら女子に囲まれていた。
井上「ねぇかりん、文化祭終わったら一緒に写真撮ろ」
かりん「……考えとく」
淡々とした返事。
なのに、それが逆に刺さる。
れな(あんな態度で……)
麗奈は視線を逸らした。
れな(なんで、嫌なの)
夏鈴が誰かに囲まれているだけ。
それだけのはずなのに。
かりん「れな」
声がして振り向く。
かりん「どうしたの?」
目の前に立っていたのは、夏鈴本人だった。
れな(……タイミング)
れな「別に」
そう言ったはずなのに、声が少し冷たくなってしまった。
かりん「ふーん」
夏鈴は一瞬、麗奈の顔を覗き込む。
かりん「機嫌悪い?」
その距離。
その目。
れな(やめて)
れな「……別にって言ってるでしょ」
少し強く言ってしまった。
一瞬、空気が張り詰める。
かりん「……ごめ」
夏鈴は小さく呟いて、離れていった。
その背中を見ながら、麗奈の胸がちくっと痛んだ。
れな(違うの……怒ってるんじゃない。……怖いだけ)
誰かに取られるかもしれない、なんて。
そんな感情、友達に抱くはずがないのに。
——文化祭当日が近づくにつれ、
“人気”は現実になっていく。
休み時間。
れな「かりんちゃん、今日も男装でしょ?」
かりん「放課後カフェ練習あるし」
そんな会話が当たり前になっていく。
麗奈は、夏鈴の隣に立つ理由を探してしまう自分に気づいた。
かりん「れな、看板一緒に持って」
声をかけたのは夏鈴だった。
れな「……うん」
並んで歩く廊下。
肩が触れそうで、触れない。
かりん「さっきさ」
夏鈴がぽつりと言う。
かりん「ひかるとほの、どう思う?」
唐突な話題。
れな「……どうって?」
かりん「完全に好き同士でしょ、あれ」
ドキッとする。
れな(それ、私にも刺さる)
れな「……そう、だね」
麗奈は視線を前に向けたまま答えた。
れな「かりんちゃんは、どうなの?」
かりん「何が」
れな「……モテるの」
少しだけ、勇気を出した。
かりん「別に」
夏鈴は即答する。
かりん「正直、めんどい」
れな「……え」
かりん「文化祭終わったら、元に戻るでしょ」
その言葉に、なぜか胸が痛くなった。
れな(元に戻る……)
“今”が、
誰かにとって特別でも、夏鈴にとっては通過点。
——それが、嫌だった。
かりん「れなは?」
不意に、夏鈴が聞く。
れな「何?」
かりん「……誰か、気になってる人いる?」
心臓が大きく跳ねた。
れな(ずるい)
こんなタイミングで。
れな「……いないよ」
嘘だった。
でも、言えなかった。
かりん「そっか」
夏鈴はそれ以上聞いてこなかった。
その無関心が、なぜか一番刺さる。
れな(気づいて。でも、気づかないで)
矛盾した願いが、胸に渦巻く。
その夜。
麗奈はベッドに横になりながら、スマホの画面を見つめていた。
文化祭の準備写真。
男装した夏鈴の横顔。
れな(……好き、なんだ)
やっと、認めてしまった。
認めた瞬間、もう戻れない場所に来た気がした。
——でも同時に、ひとつだけ確信する。
れな(かりんちゃんを、他の誰かに取られるのだけは……)
それだけは、絶対に嫌だった。
れな「かりんちゃん、男装似合いそうだよね」
衣装合わせの日、軽く言った一言。
“モテるよ”
“王子様みたい”
そんな言葉を、他の誰かが言うまでは。
文化祭準備が本格化してから、守屋麗奈は気づいてしまった。
——藤吉夏鈴の周りだけ、人が多い。
「夏鈴くーん! 写真撮ってもいい?」
「ちょっとだけでいいから!」
廊下でも、教室でも。
男装した夏鈴は、無表情なのに目を引く。
れな「……はぁ」
麗奈は無意識に、ため息をついていた。
れな(何これ)
胸の奥が、ざらっとする。
れい「れな?」
隣を歩いていた大園玲が首を傾げる。
れい「疲れてる?」
れな「……ううん」
嘘。
全然、疲れてない。
ただ——落ち着かない。
準備中、教室の隅。
夏鈴は壁にもたれ、スマホをいじりながら女子に囲まれていた。
井上「ねぇかりん、文化祭終わったら一緒に写真撮ろ」
かりん「……考えとく」
淡々とした返事。
なのに、それが逆に刺さる。
れな(あんな態度で……)
麗奈は視線を逸らした。
れな(なんで、嫌なの)
夏鈴が誰かに囲まれているだけ。
それだけのはずなのに。
かりん「れな」
声がして振り向く。
かりん「どうしたの?」
目の前に立っていたのは、夏鈴本人だった。
れな(……タイミング)
れな「別に」
そう言ったはずなのに、声が少し冷たくなってしまった。
かりん「ふーん」
夏鈴は一瞬、麗奈の顔を覗き込む。
かりん「機嫌悪い?」
その距離。
その目。
れな(やめて)
れな「……別にって言ってるでしょ」
少し強く言ってしまった。
一瞬、空気が張り詰める。
かりん「……ごめ」
夏鈴は小さく呟いて、離れていった。
その背中を見ながら、麗奈の胸がちくっと痛んだ。
れな(違うの……怒ってるんじゃない。……怖いだけ)
誰かに取られるかもしれない、なんて。
そんな感情、友達に抱くはずがないのに。
——文化祭当日が近づくにつれ、
“人気”は現実になっていく。
休み時間。
れな「かりんちゃん、今日も男装でしょ?」
かりん「放課後カフェ練習あるし」
そんな会話が当たり前になっていく。
麗奈は、夏鈴の隣に立つ理由を探してしまう自分に気づいた。
かりん「れな、看板一緒に持って」
声をかけたのは夏鈴だった。
れな「……うん」
並んで歩く廊下。
肩が触れそうで、触れない。
かりん「さっきさ」
夏鈴がぽつりと言う。
かりん「ひかるとほの、どう思う?」
唐突な話題。
れな「……どうって?」
かりん「完全に好き同士でしょ、あれ」
ドキッとする。
れな(それ、私にも刺さる)
れな「……そう、だね」
麗奈は視線を前に向けたまま答えた。
れな「かりんちゃんは、どうなの?」
かりん「何が」
れな「……モテるの」
少しだけ、勇気を出した。
かりん「別に」
夏鈴は即答する。
かりん「正直、めんどい」
れな「……え」
かりん「文化祭終わったら、元に戻るでしょ」
その言葉に、なぜか胸が痛くなった。
れな(元に戻る……)
“今”が、
誰かにとって特別でも、夏鈴にとっては通過点。
——それが、嫌だった。
かりん「れなは?」
不意に、夏鈴が聞く。
れな「何?」
かりん「……誰か、気になってる人いる?」
心臓が大きく跳ねた。
れな(ずるい)
こんなタイミングで。
れな「……いないよ」
嘘だった。
でも、言えなかった。
かりん「そっか」
夏鈴はそれ以上聞いてこなかった。
その無関心が、なぜか一番刺さる。
れな(気づいて。でも、気づかないで)
矛盾した願いが、胸に渦巻く。
その夜。
麗奈はベッドに横になりながら、スマホの画面を見つめていた。
文化祭の準備写真。
男装した夏鈴の横顔。
れな(……好き、なんだ)
やっと、認めてしまった。
認めた瞬間、もう戻れない場所に来た気がした。
——でも同時に、ひとつだけ確信する。
れな(かりんちゃんを、他の誰かに取られるのだけは……)
それだけは、絶対に嫌だった。