長編
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私立・櫻坂学園。
5時間目の教室は、いつもより少しだけ騒がしかった。
「はいはーい、次。文化祭の出し物決めるよ〜」
教卓の前に立つのは、文化祭実行委員の大園玲。
黒板にはすでにチョークで大きく「2年A組 文化祭企画」と書かれている。
れい「去年は喫茶店だったし、今年はもうちょい攻めたいよね」
その言葉に、後ろの席から村山美羽が身を乗り出した。
みう「お化け屋敷とか?」
れい「却下〜、準備大変すぎ」
即座に却下されて、教室に笑いが起きる。
その少し後ろ。
窓際の席で、森田ひかるは静かに頬杖をついていた。
ひかる(文化祭かぁ……)
特別楽しみでも、どうでもいいわけでもない。
ただ、ひかるの視線は自然と——斜め前の席に向いてしまう。
田村保乃。
友達として、クラスメイトとして、ずっと隣にいる存在。
でも最近、視線が合うたびに胸の奥がざわつく理由を、ひかるはまだ言葉にできていなかった。
松田「じゃあさ」
玲が黒板に新しく丸を描く。
松田「男装カフェとかどう?」
一瞬、教室が静まり返る。
次の瞬間——
いとは「え、絶対盛り上がるじゃん」
ゆづき「女子校だしアリでしょ」
れな「写真映えする!」
一気に賛成の声が広がった。
ひかる「男装……」
小さく呟いたのは、ひかる自身だった。
無意識に、また保乃を見てしまう。
ひかる(……ほのが男装したら)
その想像だけで、なぜか心臓が早くなる。
いとは「ほのちゃん、やりたい?」
隣から声をかけたのは向井純葉。
ほの「え? うーん……」
保乃は少し困ったように笑ってから、
ほの「みんながやるなら、やるよ」
そう言っただけなのに。
——胸の奥が、きゅっと締めつけられた。
ひかる(なんで今、こんな……)
ひかるは自分の感情に戸惑いながら、視線を逸らす。
一方、教室の反対側。
藤吉夏鈴は椅子にもたれ、腕を組んでいた。
かりん「……男装カフェね」
れな「かりんちゃん、似合いそう」
そう言って笑ったのは、守屋麗奈。
その言葉に、夏鈴はちらりと麗奈を見る。
かりん「別に」
てん「絶対モテるよ!」
軽い冗談のはずだった。
でも、その瞬間。
れな(……モテる)
という言葉が、麗奈の胸に妙に引っかかった。
夏鈴が誰かに見られる。
誰かに「かっこいい」って言われる。
——それ、なんで嫌なんだろ。
さらに前の席では、
れい「的野、男装どう?」
みお「……別に、いいけど」
淡々と答える的野美青の横で、石森璃花は少しだけ安心したように息を吐いた。
りか(美青ちゃんがやるなら……)
誰にも気づかれない、小さな決意。
そして——
いとは「天ちゃんも男装やるでしょ!?」
山崎天が目を丸くする。
てん「え、私!?」
れい「背高いし、絶対王子系」
その隣で、向井純葉は笑いながらも、胸の奥がざわついていた。
いとは(……王子)
その言葉が、思った以上に刺さる。
れい「じゃあ決まり!」
玲が手を叩く。
れい「2年A組、文化祭は男装カフェで!」
拍手と歓声が教室に響く中——
それぞれの胸に、まだ名前のつかない感情が静かに芽生えていた。
誰もこの時は知らない。
この文化祭が、友達だった関係を、戻れない場所まで連れていくなんて。
5時間目の教室は、いつもより少しだけ騒がしかった。
「はいはーい、次。文化祭の出し物決めるよ〜」
教卓の前に立つのは、文化祭実行委員の大園玲。
黒板にはすでにチョークで大きく「2年A組 文化祭企画」と書かれている。
れい「去年は喫茶店だったし、今年はもうちょい攻めたいよね」
その言葉に、後ろの席から村山美羽が身を乗り出した。
みう「お化け屋敷とか?」
れい「却下〜、準備大変すぎ」
即座に却下されて、教室に笑いが起きる。
その少し後ろ。
窓際の席で、森田ひかるは静かに頬杖をついていた。
ひかる(文化祭かぁ……)
特別楽しみでも、どうでもいいわけでもない。
ただ、ひかるの視線は自然と——斜め前の席に向いてしまう。
田村保乃。
友達として、クラスメイトとして、ずっと隣にいる存在。
でも最近、視線が合うたびに胸の奥がざわつく理由を、ひかるはまだ言葉にできていなかった。
松田「じゃあさ」
玲が黒板に新しく丸を描く。
松田「男装カフェとかどう?」
一瞬、教室が静まり返る。
次の瞬間——
いとは「え、絶対盛り上がるじゃん」
ゆづき「女子校だしアリでしょ」
れな「写真映えする!」
一気に賛成の声が広がった。
ひかる「男装……」
小さく呟いたのは、ひかる自身だった。
無意識に、また保乃を見てしまう。
ひかる(……ほのが男装したら)
その想像だけで、なぜか心臓が早くなる。
いとは「ほのちゃん、やりたい?」
隣から声をかけたのは向井純葉。
ほの「え? うーん……」
保乃は少し困ったように笑ってから、
ほの「みんながやるなら、やるよ」
そう言っただけなのに。
——胸の奥が、きゅっと締めつけられた。
ひかる(なんで今、こんな……)
ひかるは自分の感情に戸惑いながら、視線を逸らす。
一方、教室の反対側。
藤吉夏鈴は椅子にもたれ、腕を組んでいた。
かりん「……男装カフェね」
れな「かりんちゃん、似合いそう」
そう言って笑ったのは、守屋麗奈。
その言葉に、夏鈴はちらりと麗奈を見る。
かりん「別に」
てん「絶対モテるよ!」
軽い冗談のはずだった。
でも、その瞬間。
れな(……モテる)
という言葉が、麗奈の胸に妙に引っかかった。
夏鈴が誰かに見られる。
誰かに「かっこいい」って言われる。
——それ、なんで嫌なんだろ。
さらに前の席では、
れい「的野、男装どう?」
みお「……別に、いいけど」
淡々と答える的野美青の横で、石森璃花は少しだけ安心したように息を吐いた。
りか(美青ちゃんがやるなら……)
誰にも気づかれない、小さな決意。
そして——
いとは「天ちゃんも男装やるでしょ!?」
山崎天が目を丸くする。
てん「え、私!?」
れい「背高いし、絶対王子系」
その隣で、向井純葉は笑いながらも、胸の奥がざわついていた。
いとは(……王子)
その言葉が、思った以上に刺さる。
れい「じゃあ決まり!」
玲が手を叩く。
れい「2年A組、文化祭は男装カフェで!」
拍手と歓声が教室に響く中——
それぞれの胸に、まだ名前のつかない感情が静かに芽生えていた。
誰もこの時は知らない。
この文化祭が、友達だった関係を、戻れない場所まで連れていくなんて。