長編
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春の風は、少しだけあたたかくなっていた。
校舎の前に並ぶ桜は、まだ蕾が多い。
それでも、確実に季節は進んでいる。
ひかるは、校庭の端で立ち止まっていた。
ざわざわとした声。
笑い合うクラスメイト。
当たり前の、放課後。
ひかる(前の私ならきっと、この輪の外にいた)
でも今は違う。
いとは「ひかるー!」
向井純葉の声が、遠くから飛んでくる。
いとは「なにしてんのー!帰ろーよー!」
ひかる「今行く!」
ひかるは、自然に声を返していた。
その瞬間、ふっと気づく。
ひかる(声、出せてる)
教室では、大沼が誰かに絡んでいて、増本がそれを煽り、幸阪が的確に突っ込んでいる。
藤吉は、窓際で静かに本を読み、守屋と田村が小さく話している。
その輪の中に、ひかるも入った。
誰も、特別扱いしない。
でも、ちゃんと居場所はある。
ほの「ひーちゃん」
保乃が、隣に立った。
ほの「今日、どうする?」
ひかる「……みんなで、帰りたい」
保乃は、少し驚いたあと、やさしく笑った。
ほの「うん」
下校途中。
夕陽が、街をオレンジに染める。
ひかるは、ふと立ち止まった。
ひかる「ねえ、保乃」
ほの「なに?」
ひかる「前にさ」
ひかるは、空を見上げる。
ひかる「私、ここにいていい?って聞いたよね」
保乃は、静かに頷く。
ひかる「今は」
ひかるは、少し照れたように笑った。
ひかる「聞かなくても、わかる」
保乃の目が、少し潤む。
ほの「……そうだね」
ひかる「私ね」
ひかるは、言葉を選びながら続ける。
ひかる「失うのが怖くて、大切なものを持たないようにしてた」
ひかる「でも」
ひかるは、一歩踏み出した。
ひかる「誰かを大切にすることって、失う可能性を引き受けることなんだって」
保乃は、黙って聞いている。
ひかる「それでも」
ひかるは、真っ直ぐ保乃を見た。
ひかる「それでも、大事にしたいって思える人がいるなら」
ひかるは、胸に手を当てる。
ひかる「それは、逃げちゃだめなんだって」
しばらくの沈黙。
保乃は、そっとひかるの手を取った。
ほの「ひかるは、もう一人じゃないよ」
ひかる「うん」
ほの「壊れても、泣いても、立ち止まっても」
保乃は、一つずつ言葉を置く。
ほの「ここに戻ってきていい」
ひかるの目に、涙が滲んだ。
でも、零れなかった。
ひかる「……ここに、いていいんだ」
その言葉を、初めて自分に向けて言えた。
その夜。
ひかるは、部屋で一人、スマホを見つめていた。
画面には、
クラスのグループチャット。
何気ない会話。
くだらないスタンプ。
明日の約束。
ひかるは、少しだけ迷ってから、文字を打つ。
『明日、一緒にお弁当食べてもいい?』
すぐに、通知が鳴る。
『もちろん!』
『なんで聞くの?当たり前でしょ』
『場所取っとくね』
ひかるは、スマホを胸に抱きしめた。
ひかる(私は、ここにいる。誰かを大切にしていい)
窓の外。
夜空に、一つ星が光っていた。
ひかるは、静かに目を閉じる。
失ったものは、戻らない。
でも、新しく持っていいものはある。
それを、もう手放さないと決めた。
ひかる「……ありがとう」
誰にともなく、そう呟いて。
ひかるは、明日の朝を迎える準備をした。
ここにいていい。
そう思える場所が、ちゃんとあるから。
校舎の前に並ぶ桜は、まだ蕾が多い。
それでも、確実に季節は進んでいる。
ひかるは、校庭の端で立ち止まっていた。
ざわざわとした声。
笑い合うクラスメイト。
当たり前の、放課後。
ひかる(前の私ならきっと、この輪の外にいた)
でも今は違う。
いとは「ひかるー!」
向井純葉の声が、遠くから飛んでくる。
いとは「なにしてんのー!帰ろーよー!」
ひかる「今行く!」
ひかるは、自然に声を返していた。
その瞬間、ふっと気づく。
ひかる(声、出せてる)
教室では、大沼が誰かに絡んでいて、増本がそれを煽り、幸阪が的確に突っ込んでいる。
藤吉は、窓際で静かに本を読み、守屋と田村が小さく話している。
その輪の中に、ひかるも入った。
誰も、特別扱いしない。
でも、ちゃんと居場所はある。
ほの「ひーちゃん」
保乃が、隣に立った。
ほの「今日、どうする?」
ひかる「……みんなで、帰りたい」
保乃は、少し驚いたあと、やさしく笑った。
ほの「うん」
下校途中。
夕陽が、街をオレンジに染める。
ひかるは、ふと立ち止まった。
ひかる「ねえ、保乃」
ほの「なに?」
ひかる「前にさ」
ひかるは、空を見上げる。
ひかる「私、ここにいていい?って聞いたよね」
保乃は、静かに頷く。
ひかる「今は」
ひかるは、少し照れたように笑った。
ひかる「聞かなくても、わかる」
保乃の目が、少し潤む。
ほの「……そうだね」
ひかる「私ね」
ひかるは、言葉を選びながら続ける。
ひかる「失うのが怖くて、大切なものを持たないようにしてた」
ひかる「でも」
ひかるは、一歩踏み出した。
ひかる「誰かを大切にすることって、失う可能性を引き受けることなんだって」
保乃は、黙って聞いている。
ひかる「それでも」
ひかるは、真っ直ぐ保乃を見た。
ひかる「それでも、大事にしたいって思える人がいるなら」
ひかるは、胸に手を当てる。
ひかる「それは、逃げちゃだめなんだって」
しばらくの沈黙。
保乃は、そっとひかるの手を取った。
ほの「ひかるは、もう一人じゃないよ」
ひかる「うん」
ほの「壊れても、泣いても、立ち止まっても」
保乃は、一つずつ言葉を置く。
ほの「ここに戻ってきていい」
ひかるの目に、涙が滲んだ。
でも、零れなかった。
ひかる「……ここに、いていいんだ」
その言葉を、初めて自分に向けて言えた。
その夜。
ひかるは、部屋で一人、スマホを見つめていた。
画面には、
クラスのグループチャット。
何気ない会話。
くだらないスタンプ。
明日の約束。
ひかるは、少しだけ迷ってから、文字を打つ。
『明日、一緒にお弁当食べてもいい?』
すぐに、通知が鳴る。
『もちろん!』
『なんで聞くの?当たり前でしょ』
『場所取っとくね』
ひかるは、スマホを胸に抱きしめた。
ひかる(私は、ここにいる。誰かを大切にしていい)
窓の外。
夜空に、一つ星が光っていた。
ひかるは、静かに目を閉じる。
失ったものは、戻らない。
でも、新しく持っていいものはある。
それを、もう手放さないと決めた。
ひかる「……ありがとう」
誰にともなく、そう呟いて。
ひかるは、明日の朝を迎える準備をした。
ここにいていい。
そう思える場所が、ちゃんとあるから。