長編
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――春の朝は、いつも少しだけ残酷だ。
櫻坂学園の校門をくぐると、桜はまだ散りきっていない。
けれど、この景色を「最後の春」として見る者がいることを、
誰も口にはしない。
体育館の中。
全校生徒が整列し、ざわめきが徐々に消えていく。
壇上に立つのは、生徒会長・松田里奈(3年)。
背筋はまっすぐ、声はよく通る。
長い歴史の中で何度も繰り返されてきた始業式。
それでも、今年はどこか違った。
松田「櫻坂学園、令和8年度始業式を始めます」
拍手が起きる。
その音の中で、3年生たちはそれぞれ思う。
――これが、最後だ。
森田ひかるは、体育館の中央より少し後ろに立っていた。
表情はいつも通り落ち着いている。
けれど、胸の奥には小さなざわめきがある。
隣にいるのは、田村保乃。
そのさらに少し後ろ、壁にもたれるように立つのが藤吉夏鈴。
保乃「……静かだね」
ひかる「始業式だからね」
夏鈴「2年の時、こんな緊張したっけ」
ひかるは答えない。
それぞれ、違う形で“終わり”を意識している。
松田の挨拶が続く。
松田「この一年、皆さんが何を選び、どう過ごすかで、櫻坂学園の空気は変わります」
言葉は穏やかだが、重みがある。
松田「特に、学年を越えた関わりを大切にしてほしい」
その言葉に、視線が前方へ集まる。
生徒会役員。
•副会長:小田倉麗奈(2年)
•書記:遠藤光莉(3年)
•会計:武元唯衣(3年)
2年生で副会長という異例の存在。
小田倉は背筋を伸ばし、少し緊張した面持ちで立っている。
(ちゃんと、務めなきゃ)
その視線の先にいるのは、
同じ3年生――けれど、まるで別の“高さ”にいる人たちだった。
2年生の列。
向井純葉は、早くも落ち着きがない。
純葉(生徒会、やっぱかっこよ……あ、見ちゃった)
隣で腕を組む的野美青が、小声で言う。
美青「静かに」
純葉「無理!」
前の席、村山美羽は何も言わず、壇上を見ている。
美羽(3年生……)
その目に映るのは、
堂々と立つ守屋麗奈、余裕の笑みを浮かべる大園玲、そして、静かに全体を見渡す森田ひかる。
美羽(ああいう人に、なれるのかな)
1年生たちは、さらに緊張していた。
制服がまだ馴染まない。
立ち方も、視線も、どこか不安定。
目黒陽色(あの人たちが…先輩)
山川宇衣(空気が違う…)
そんな中、3年生の列から一人、ふと目立つ存在がいる。
山崎天。
腕を組み、じっと前を見つめている。
姿勢も、目も、すでに“完成されている”。
(ここが、櫻坂学園)
1年生たちは、その背中を無意識に刻み込む。
式の終盤。
松田「以上をもって、始業式を終わります」
礼。
拍手。
体育館に再びざわめきが戻る。
退場の流れの中で、森田ひかるは一瞬だけ振り返った。
そこには、期待と不安が混ざった無数の視線。
ひかる(私たちが、最後にできること)
隣で、保乃が小さく言う。
保乃「始まったね」
夏鈴「……終わりも、近いけど」
ひかるは、少しだけ笑った。
ひかる「だから、ちゃんとやろう」
櫻坂学園。
最後の一年。
この春は、
まだ何も知らない。
櫻坂学園の校門をくぐると、桜はまだ散りきっていない。
けれど、この景色を「最後の春」として見る者がいることを、
誰も口にはしない。
体育館の中。
全校生徒が整列し、ざわめきが徐々に消えていく。
壇上に立つのは、生徒会長・松田里奈(3年)。
背筋はまっすぐ、声はよく通る。
長い歴史の中で何度も繰り返されてきた始業式。
それでも、今年はどこか違った。
松田「櫻坂学園、令和8年度始業式を始めます」
拍手が起きる。
その音の中で、3年生たちはそれぞれ思う。
――これが、最後だ。
森田ひかるは、体育館の中央より少し後ろに立っていた。
表情はいつも通り落ち着いている。
けれど、胸の奥には小さなざわめきがある。
隣にいるのは、田村保乃。
そのさらに少し後ろ、壁にもたれるように立つのが藤吉夏鈴。
保乃「……静かだね」
ひかる「始業式だからね」
夏鈴「2年の時、こんな緊張したっけ」
ひかるは答えない。
それぞれ、違う形で“終わり”を意識している。
松田の挨拶が続く。
松田「この一年、皆さんが何を選び、どう過ごすかで、櫻坂学園の空気は変わります」
言葉は穏やかだが、重みがある。
松田「特に、学年を越えた関わりを大切にしてほしい」
その言葉に、視線が前方へ集まる。
生徒会役員。
•副会長:小田倉麗奈(2年)
•書記:遠藤光莉(3年)
•会計:武元唯衣(3年)
2年生で副会長という異例の存在。
小田倉は背筋を伸ばし、少し緊張した面持ちで立っている。
(ちゃんと、務めなきゃ)
その視線の先にいるのは、
同じ3年生――けれど、まるで別の“高さ”にいる人たちだった。
2年生の列。
向井純葉は、早くも落ち着きがない。
純葉(生徒会、やっぱかっこよ……あ、見ちゃった)
隣で腕を組む的野美青が、小声で言う。
美青「静かに」
純葉「無理!」
前の席、村山美羽は何も言わず、壇上を見ている。
美羽(3年生……)
その目に映るのは、
堂々と立つ守屋麗奈、余裕の笑みを浮かべる大園玲、そして、静かに全体を見渡す森田ひかる。
美羽(ああいう人に、なれるのかな)
1年生たちは、さらに緊張していた。
制服がまだ馴染まない。
立ち方も、視線も、どこか不安定。
目黒陽色(あの人たちが…先輩)
山川宇衣(空気が違う…)
そんな中、3年生の列から一人、ふと目立つ存在がいる。
山崎天。
腕を組み、じっと前を見つめている。
姿勢も、目も、すでに“完成されている”。
(ここが、櫻坂学園)
1年生たちは、その背中を無意識に刻み込む。
式の終盤。
松田「以上をもって、始業式を終わります」
礼。
拍手。
体育館に再びざわめきが戻る。
退場の流れの中で、森田ひかるは一瞬だけ振り返った。
そこには、期待と不安が混ざった無数の視線。
ひかる(私たちが、最後にできること)
隣で、保乃が小さく言う。
保乃「始まったね」
夏鈴「……終わりも、近いけど」
ひかるは、少しだけ笑った。
ひかる「だから、ちゃんとやろう」
櫻坂学園。
最後の一年。
この春は、
まだ何も知らない。