複数人
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それは、数週間前から始まっていた予兆だった。
いつもなら誰よりも早く周りの変化に気づく大園玲が、自分の心にだけは深く鍵をかけてしまっている。
山崎天、守屋麗奈、田村保乃の3人は、そんな彼女のいつもと違う無理をした笑顔に気づいていた。
そしてある日、玲が珍しく仕事を無断で欠勤する。
連絡もつかない。
胸騒ぎを覚えた3人は仕事を終えるや否や、玲の自宅へと急いだ。
管理人から預かった合鍵でドアを開けると、部屋の中は異様なほど静まり返っていた。
リビングのテーブルには、空になった何本もの酒瓶。
ほの「……れいちゃん? おる?」
返事はない。
ただ、奥のバスルームからかすかにザーザーと激しい水音が聞こえてくる。
3人が顔を見合わせ恐る恐る脱衣所のドアを開けると、そこは真っ暗だった。
電気もつけられていない。
ただ、浴室の半透明のドアの向こうで水が激しく床を叩く音だけが響いている。
てん「電気もつけないで……何やってんのれい」
天が意を決して浴室の扉を開けた。
一気に流れ出す冷たい空気。
3人が目にしたのは、服を着たまま浴槽の縁に座り込んで頭から冷水のシャワーを浴び続けている玲の姿だった。
れい「……あ、みんな……なんで……?」
濡れそぼった髪の間から見える玲の瞳は、お酒のせいかそれとも泣いていたのか真っ赤に充血している。
れな「ちょっと、れいちゃん!! 何やってるの!?」
麗奈が叫ぶようにして浴室に飛び込み、シャワーの蛇口を乱暴にひねって止めた。
静寂が戻った浴室に玲の荒い息遣いだけが響く。
服のままびしょ濡れの玲はガタガタと激しく震えていた。
ほの「何してんの、自分! 服も脱がんと、こんな冷たい水浴びて……体壊したらどうするん!」
保乃が珍しく強い口調で怒鳴る。
その目は今にも涙がこぼれそうだった。
てん「仕事休んだって聞いて、みんながどれだけ心配したか分かってんの? お酒に逃げて、こんなところで自傷行為みたいなことして……れいらしくないよ!」
天の真っ直ぐな怒りと、保乃の震える声。
玲は膝を抱え込み、濡れた顔をさらに伏せた。
れい「……ごめん。……でも、もう、どうしたらいいか分からんくて……。みんなに格好悪いとこ見せたくなかったの……」
れな「バカ……ッ、本当にバカだよれいちゃんは……!」
麗奈がたまらず濡れるのも構わずに玲を床から引き剥がしきつく抱きしめた。
冷え切った玲の体とは対照的な麗奈の温かい体温が伝わっていく。
れな「格好悪いとか、そんなのどうでもいい! 辛いなら、しんどいなら、なんで私たちを頼ってくれないの……! 一緒にいる意味ないじゃん……!」
ほの「そうやよ、れいちゃん。うちら、何のためにずっと一緒にいると思ってんの。綺麗で完璧なれいちゃんだけを好きになったわけやないよ。ボロボロの時くらい、うちらに寄りかかってよ……」
保乃も2人を包み込むように抱きつき、玲の濡れた髪を何度も撫でる。
天は一歩近づき玲の冷たくなった手を両手でぎゅっと握りしめた。
てん「れいの大丈夫が嘘なことくらい、うちらには全部お見通しなんだから。……隠し事、禁止。次やったら、本気で怒るからね」
3人の温もりに包まれて玲の瞳からようやく本当の涙が溢れ出した。
冷たい水ではなく熱い涙がメンバーの服を濡らしていく。
れい「……ごめん、なさい……。寂しかった、……しんどかったよぉ……」
ようやく吐き出された本音に3人は愛おしそうに顔を見合わせさらに力を込めて玲を抱きしめた。
れな「うん、よく言えました。……ほらほのちゃん、てんちゃん、まずはれいちゃんをお風呂に浸からせて着替えさせよ。風邪ひいちゃう」
ほの「せやね! 湯船あっためるから、てんちゃんはバスタオル持ってきて!」
てん「了解。れい、もうどこにも行かないからね」
冷え切った暗闇の部屋にようやくいつもの温かい光が灯り始めていた。
いつもなら誰よりも早く周りの変化に気づく大園玲が、自分の心にだけは深く鍵をかけてしまっている。
山崎天、守屋麗奈、田村保乃の3人は、そんな彼女のいつもと違う無理をした笑顔に気づいていた。
そしてある日、玲が珍しく仕事を無断で欠勤する。
連絡もつかない。
胸騒ぎを覚えた3人は仕事を終えるや否や、玲の自宅へと急いだ。
管理人から預かった合鍵でドアを開けると、部屋の中は異様なほど静まり返っていた。
リビングのテーブルには、空になった何本もの酒瓶。
ほの「……れいちゃん? おる?」
返事はない。
ただ、奥のバスルームからかすかにザーザーと激しい水音が聞こえてくる。
3人が顔を見合わせ恐る恐る脱衣所のドアを開けると、そこは真っ暗だった。
電気もつけられていない。
ただ、浴室の半透明のドアの向こうで水が激しく床を叩く音だけが響いている。
てん「電気もつけないで……何やってんのれい」
天が意を決して浴室の扉を開けた。
一気に流れ出す冷たい空気。
3人が目にしたのは、服を着たまま浴槽の縁に座り込んで頭から冷水のシャワーを浴び続けている玲の姿だった。
れい「……あ、みんな……なんで……?」
濡れそぼった髪の間から見える玲の瞳は、お酒のせいかそれとも泣いていたのか真っ赤に充血している。
れな「ちょっと、れいちゃん!! 何やってるの!?」
麗奈が叫ぶようにして浴室に飛び込み、シャワーの蛇口を乱暴にひねって止めた。
静寂が戻った浴室に玲の荒い息遣いだけが響く。
服のままびしょ濡れの玲はガタガタと激しく震えていた。
ほの「何してんの、自分! 服も脱がんと、こんな冷たい水浴びて……体壊したらどうするん!」
保乃が珍しく強い口調で怒鳴る。
その目は今にも涙がこぼれそうだった。
てん「仕事休んだって聞いて、みんながどれだけ心配したか分かってんの? お酒に逃げて、こんなところで自傷行為みたいなことして……れいらしくないよ!」
天の真っ直ぐな怒りと、保乃の震える声。
玲は膝を抱え込み、濡れた顔をさらに伏せた。
れい「……ごめん。……でも、もう、どうしたらいいか分からんくて……。みんなに格好悪いとこ見せたくなかったの……」
れな「バカ……ッ、本当にバカだよれいちゃんは……!」
麗奈がたまらず濡れるのも構わずに玲を床から引き剥がしきつく抱きしめた。
冷え切った玲の体とは対照的な麗奈の温かい体温が伝わっていく。
れな「格好悪いとか、そんなのどうでもいい! 辛いなら、しんどいなら、なんで私たちを頼ってくれないの……! 一緒にいる意味ないじゃん……!」
ほの「そうやよ、れいちゃん。うちら、何のためにずっと一緒にいると思ってんの。綺麗で完璧なれいちゃんだけを好きになったわけやないよ。ボロボロの時くらい、うちらに寄りかかってよ……」
保乃も2人を包み込むように抱きつき、玲の濡れた髪を何度も撫でる。
天は一歩近づき玲の冷たくなった手を両手でぎゅっと握りしめた。
てん「れいの大丈夫が嘘なことくらい、うちらには全部お見通しなんだから。……隠し事、禁止。次やったら、本気で怒るからね」
3人の温もりに包まれて玲の瞳からようやく本当の涙が溢れ出した。
冷たい水ではなく熱い涙がメンバーの服を濡らしていく。
れい「……ごめん、なさい……。寂しかった、……しんどかったよぉ……」
ようやく吐き出された本音に3人は愛おしそうに顔を見合わせさらに力を込めて玲を抱きしめた。
れな「うん、よく言えました。……ほらほのちゃん、てんちゃん、まずはれいちゃんをお風呂に浸からせて着替えさせよ。風邪ひいちゃう」
ほの「せやね! 湯船あっためるから、てんちゃんはバスタオル持ってきて!」
てん「了解。れい、もうどこにも行かないからね」
冷え切った暗闇の部屋にようやくいつもの温かい光が灯り始めていた。