りかみお
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夜のキャンパスは、昼間のざわめきが嘘みたいに静かだった。
講義終わり、駅へ向かう人の波から少し遅れて、二人は並んで歩いていた。
みおはポケットに手を突っ込み、いつもの軽い笑みを浮かべている。
それがどれだけ無責任で、どれだけ人を振り回す笑顔なのか、本人だけがわかっていて、そして見ないふりをしていた。
りかは、その横顔を盗み見る。
振り回されているって、ちゃんとわかっているのに。
みお「ねえ、終電まだだよね」
みおが何でもない調子で言う。
りかは一瞬だけスマホを見るふりをして、視線を落とした。
りか「……まだ、あるけど」
みお「そっか。じゃあ、少し寄っていかない?」
“少し”なんて嘘だって、今までの経験でわかってる。
終電で帰れた試しなんて、ほとんどない。
りかは笑ってごまかした。
りか「みおちゃんってさ、ほんと悪いよね」
みお「え、今さら?」
みおは肩をすくめる。その軽さが、りかの胸をちくっと刺した。
歩道橋を降りたところで、人通りが途切れる。
みおはふいに立ち止まり、りかの手首を取った。
りか「ちょ、みおちゃん…」
みお「大丈夫」
その「大丈夫」が、何に対してなのか、わからない。
自分に? それとも、りかに?
引かれるまま、りかは一歩踏み出してしまう。
拒めばいいのに、声にすればいいのに、身体が言うことを聞かない。
みおは立ち止まったまま、りかを見下ろした。
一瞬だけ、迷うような目をする。
みお「……やめたほうがいいって、思ってる」
りか「じゃあ、やめてよ」
りかの声は震えていた。
それでも離れようとしない自分が、何よりも嫌だった。
みおは小さく息を吐く。
みお「ごめん」
そう言いながら、距離を詰めるのは、いつものことだ。
りかが逃げないのを知っているから。
唇が触れたのは一瞬だった。
奪うようで、逃げるようでもあって、ちゃんと向き合ってなんていなかった。
りかは唇を噛みしめる。
りか「……最低」
みお「うん。自覚ある」
みおは目を逸らした。
本当は、“ちょむ”に悪いと思っている。
自分が誰かを大事にできない人間だって、ちゃんとわかっている。
それでも、手を離さない。
みお「帰る?」
そう聞くくせに、引く力は緩めない。
りかは少しだけ笑った。
りか「……ずるいよ」
みお「知ってる」
みおの声は、さっきより低かった。
終電の時間は、静かに過ぎていく。
りかはまた、みおの隣を選んでしまう。
振り回されて、傷つくかもしれない未来より、今この瞬間に手を引かれる温度を、選んでしまう自分を、りかはどうしても嫌いになれなかった。
みおは、そんなりかの弱さを利用している自分を、
嫌になるほど理解していた。
それでも、夜は続いていく。
講義終わり、駅へ向かう人の波から少し遅れて、二人は並んで歩いていた。
みおはポケットに手を突っ込み、いつもの軽い笑みを浮かべている。
それがどれだけ無責任で、どれだけ人を振り回す笑顔なのか、本人だけがわかっていて、そして見ないふりをしていた。
りかは、その横顔を盗み見る。
振り回されているって、ちゃんとわかっているのに。
みお「ねえ、終電まだだよね」
みおが何でもない調子で言う。
りかは一瞬だけスマホを見るふりをして、視線を落とした。
りか「……まだ、あるけど」
みお「そっか。じゃあ、少し寄っていかない?」
“少し”なんて嘘だって、今までの経験でわかってる。
終電で帰れた試しなんて、ほとんどない。
りかは笑ってごまかした。
りか「みおちゃんってさ、ほんと悪いよね」
みお「え、今さら?」
みおは肩をすくめる。その軽さが、りかの胸をちくっと刺した。
歩道橋を降りたところで、人通りが途切れる。
みおはふいに立ち止まり、りかの手首を取った。
りか「ちょ、みおちゃん…」
みお「大丈夫」
その「大丈夫」が、何に対してなのか、わからない。
自分に? それとも、りかに?
引かれるまま、りかは一歩踏み出してしまう。
拒めばいいのに、声にすればいいのに、身体が言うことを聞かない。
みおは立ち止まったまま、りかを見下ろした。
一瞬だけ、迷うような目をする。
みお「……やめたほうがいいって、思ってる」
りか「じゃあ、やめてよ」
りかの声は震えていた。
それでも離れようとしない自分が、何よりも嫌だった。
みおは小さく息を吐く。
みお「ごめん」
そう言いながら、距離を詰めるのは、いつものことだ。
りかが逃げないのを知っているから。
唇が触れたのは一瞬だった。
奪うようで、逃げるようでもあって、ちゃんと向き合ってなんていなかった。
りかは唇を噛みしめる。
りか「……最低」
みお「うん。自覚ある」
みおは目を逸らした。
本当は、“ちょむ”に悪いと思っている。
自分が誰かを大事にできない人間だって、ちゃんとわかっている。
それでも、手を離さない。
みお「帰る?」
そう聞くくせに、引く力は緩めない。
りかは少しだけ笑った。
りか「……ずるいよ」
みお「知ってる」
みおの声は、さっきより低かった。
終電の時間は、静かに過ぎていく。
りかはまた、みおの隣を選んでしまう。
振り回されて、傷つくかもしれない未来より、今この瞬間に手を引かれる温度を、選んでしまう自分を、りかはどうしても嫌いになれなかった。
みおは、そんなりかの弱さを利用している自分を、
嫌になるほど理解していた。
それでも、夜は続いていく。