小田倉麗奈
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休日の表参道。私は一足先に買い物を終え、待ち合わせの時間までカフェで本を読もうと歩いていた。
初夏の風が通り抜ける大通り。
そこで、見覚えのある後ろ姿を見つけた。
れいな「……ゆめ?」
声をかけようとして、言葉が喉の奥に張り付く。
ゆめの隣には、私ではない女の子がいた。
二人は親しげに笑い合い、時折、肩が触れそうな距離まで近づいている。
まるで、私に見せるような、柔らかくて親密な空気感。
数分ほど話した後、二人は手を振って別れていった。
あとに残された私は、足が地面に縫い付けられたように動けなかった。
「あの距離は、ただの友達じゃない」
頭の片隅で、冷静な私がそう告げている。
その日の夜。
私の家で夕食を済ませた後、私は意を決して切り出した。
れいな「ねぇ、ゆめ。今日、表参道にいたでしょう?」
ゆめ「あ、バレちゃった? 麗奈、いたんだ」
れいな「……女の子と一緒にいたのも、見たよ。……あれ、誰だったの?」
お気に入りの紅茶を淹れたはずなのに、今はその香りでさえ鼻につく。
ゆめはソファに深く腰掛けたまま、悪びれる様子もなく、むしろあっけらかんとした表情で答えた。
ゆめ「あ〜! あれ、元カノだよ! 偶然会ってさ、ちょっと近況報告してただけ」
れいな「……もと、かの……?」
私の心臓が、嫌な音を立てて波打つ。
彼女にとって、それは過去の思い出の一部かもしれない。
でも私にとっては、今この瞬間、私の心をズタズタに引き裂く毒物でしかなかった。
れいな「どうして、そんなに平気そうなの?」
ゆめ「えっ? だって、もう終わったことだし。今は麗奈がいるんだから、関係ないじゃん」
れいな「関係……あるよ。大ありだよ」
私は立ち上がり、ゆめの前にゆっくりと歩み寄った。
彼女を見下ろす私の瞳は、自分でも驚くほど冷たく、熱く、澱んでいたと思う。
れいな「その人が、かつてゆめの隣にいた。……私と同じように、ゆめの温度を知っている。そう思うだけで、私は……その記憶ごと、彼女を消してしまいたいって思っちゃうのに」
ゆめ「……麗奈? ちょっと、顔怖いよ……」
れいな「怖くていいよ。私、今、全然『お嬢様』なんかじゃないもん」
私はゆめの膝の間に割り込むようにして座り、彼女の両手首を強く掴んだ。
逃げられないように。私の所有物であることを刻みつけるように。
れいな「……あの時の笑顔、私に見せるのと同じだった。あんな顔、他の誰にも見せないで。過去の人なんて、もう二度と視界に入れないでよ……」
ゆめ「麗奈……ごめん、そこまで嫌だったなんて……」
れいな「……ごめんで済ませないで。……ねぇ、上書きさせて」
私は彼女の返事を待たずに、無理やり唇を奪った。
いつもより強引で、少し痛いくらいのキス。
ゆめの口内から、私以外の記憶をすべて追い出すように、何度も、何度も。
れいな「……ん、っ……。……はぁ。……ゆめの心も、身体も、過去も。全部私だけのものにしておきたいの。……わがままだって、軽蔑してもいいよ」
ゆめ「……軽蔑なんて、しないよ。麗奈のそんなに激しいところ、初めて見た……」
ゆめが少し怯えたように、でも愛おしそうに私を見つめる。
私は彼女の首筋に顔を埋め、わざと消えないくらいの紅い痕を残した。
れいな「明日、これを見て思い出して。……ゆめが誰のものか。……元カノさんにも、これが見えればよかったのに」
そう囁く私の声は、自分でも引くほど執着に満ちていたけれど。
腕の中で困ったように笑うゆめを見ていると、このどろどろとした嫉妬さえ、彼女を愛するためのスパイスのように思えてしまうのだった。
初夏の風が通り抜ける大通り。
そこで、見覚えのある後ろ姿を見つけた。
れいな「……ゆめ?」
声をかけようとして、言葉が喉の奥に張り付く。
ゆめの隣には、私ではない女の子がいた。
二人は親しげに笑い合い、時折、肩が触れそうな距離まで近づいている。
まるで、私に見せるような、柔らかくて親密な空気感。
数分ほど話した後、二人は手を振って別れていった。
あとに残された私は、足が地面に縫い付けられたように動けなかった。
「あの距離は、ただの友達じゃない」
頭の片隅で、冷静な私がそう告げている。
その日の夜。
私の家で夕食を済ませた後、私は意を決して切り出した。
れいな「ねぇ、ゆめ。今日、表参道にいたでしょう?」
ゆめ「あ、バレちゃった? 麗奈、いたんだ」
れいな「……女の子と一緒にいたのも、見たよ。……あれ、誰だったの?」
お気に入りの紅茶を淹れたはずなのに、今はその香りでさえ鼻につく。
ゆめはソファに深く腰掛けたまま、悪びれる様子もなく、むしろあっけらかんとした表情で答えた。
ゆめ「あ〜! あれ、元カノだよ! 偶然会ってさ、ちょっと近況報告してただけ」
れいな「……もと、かの……?」
私の心臓が、嫌な音を立てて波打つ。
彼女にとって、それは過去の思い出の一部かもしれない。
でも私にとっては、今この瞬間、私の心をズタズタに引き裂く毒物でしかなかった。
れいな「どうして、そんなに平気そうなの?」
ゆめ「えっ? だって、もう終わったことだし。今は麗奈がいるんだから、関係ないじゃん」
れいな「関係……あるよ。大ありだよ」
私は立ち上がり、ゆめの前にゆっくりと歩み寄った。
彼女を見下ろす私の瞳は、自分でも驚くほど冷たく、熱く、澱んでいたと思う。
れいな「その人が、かつてゆめの隣にいた。……私と同じように、ゆめの温度を知っている。そう思うだけで、私は……その記憶ごと、彼女を消してしまいたいって思っちゃうのに」
ゆめ「……麗奈? ちょっと、顔怖いよ……」
れいな「怖くていいよ。私、今、全然『お嬢様』なんかじゃないもん」
私はゆめの膝の間に割り込むようにして座り、彼女の両手首を強く掴んだ。
逃げられないように。私の所有物であることを刻みつけるように。
れいな「……あの時の笑顔、私に見せるのと同じだった。あんな顔、他の誰にも見せないで。過去の人なんて、もう二度と視界に入れないでよ……」
ゆめ「麗奈……ごめん、そこまで嫌だったなんて……」
れいな「……ごめんで済ませないで。……ねぇ、上書きさせて」
私は彼女の返事を待たずに、無理やり唇を奪った。
いつもより強引で、少し痛いくらいのキス。
ゆめの口内から、私以外の記憶をすべて追い出すように、何度も、何度も。
れいな「……ん、っ……。……はぁ。……ゆめの心も、身体も、過去も。全部私だけのものにしておきたいの。……わがままだって、軽蔑してもいいよ」
ゆめ「……軽蔑なんて、しないよ。麗奈のそんなに激しいところ、初めて見た……」
ゆめが少し怯えたように、でも愛おしそうに私を見つめる。
私は彼女の首筋に顔を埋め、わざと消えないくらいの紅い痕を残した。
れいな「明日、これを見て思い出して。……ゆめが誰のものか。……元カノさんにも、これが見えればよかったのに」
そう囁く私の声は、自分でも引くほど執着に満ちていたけれど。
腕の中で困ったように笑うゆめを見ていると、このどろどろとした嫉妬さえ、彼女を愛するためのスパイスのように思えてしまうのだった。