小田倉麗奈
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最初の印象は、最悪だった。
れいな(なんか…怖い人)
初対面のゆめは、挨拶しても軽く頷くだけ。
視線も合わないし、言葉も少ない。
それどころか——
ゆめ「そこ、立ち位置ズレてる」
れいな「え、ごめん…」
ゆめ「謝る前に直せば」
れいな(言い方…)
ピリッとした空気。
周りも少しだけ静かになる。
それからというもの、距離はずっと遠かった。
話しかけても短い返事。
目もあまり見てくれない。
自然と、関わらないようにしていた。
れいな(苦手だな…)
そんな印象が、どんどん固まっていく。
でもある日、少しだけ違和感を覚えた。
リハーサル中、他のメンバーがミスをした時。
ゆめ「…今のとこ、こうした方がいいと思う」
いつもより柔らかい声。
相手の子も、ほっとした顔で頷いていた。
れいな(あれ…?)
さらに別の日。
重たい物を一人で運んでいるメンバーに、さりげなく近づいていく。
ゆめ「貸して」
りこ「え、大丈夫?」
ゆめ「いいから」
無言で半分持って、そのまま歩いていく。
れいな(…優しいじゃん)
でも、やっぱり本人は何も言わない。
褒められても、照れるでもなく、ただ「別に」と返すだけ。
そのギャップが、少しずつ気になり始めた。
ある日の帰り道。
疲れが溜まっていたのか、ふらついてしまう。
れいな「…っ」
思わずベンチに座り込む。
すると、足音。
ゆめ「……何してんの」
れいな「ちょっと、立ちくらみ…」
ゆめ「はあ…」
ため息。
やっぱり冷たい、と思った瞬間——
ゆめ「これ」
差し出されたペットボトル。
れいな「え…」
ゆめ「飲みなよ」
れいな「でもそれ…」
ゆめ「いいから」
半ば押し付けるように渡される。
口をつけると、少しぬるい。
れいな(これ…自分の分じゃん)
わざわざ買ったんじゃない。
持ってたものを、そのまま渡してくれた。
れいな「ありがとう」
ゆめ「…別に」
れいな「助かった」
ゆめ「倒れられたら迷惑だし」
れいな「ふふ」
ゆめ「何」
れいな「優しいなって思って」
ゆめ「は?」
露骨に顔をしかめる。
でも、その耳がほんの少し赤い。
それから少しずつ、れいなから話しかけるようになった。
最初はぎこちない会話。
でも、続けていくうちに気づく。
この人は——
ただ、言葉にするのが下手なだけ。
ある日、二人きりの空き時間。
れいな「ゆめってさ」
ゆめ「なに」
れいな「誤解されやすいよね」
ゆめ「……は?」
れいな「本当は優しいのに」
ゆめ「別に優しくない」
れいな「優しいよ」
少しだけ間が空く。
ゆめ「…なんで分かんの」
れいな「見てたから」
まっすぐ答える。
ゆめ「…そういうの、やめた方がいいよ」
れいな「なんで?」
ゆめ「勘違いする人いるから」
れいな「勘違いじゃないよ」
ゆめ「……」
その日を境に、二人の距離は少し変わった。
完全に打ち解けたわけじゃない。
でも、前よりも近い。
視線が合う回数も、少し増えた。
そして——
気づいたら、目で追うようになっていた。
れいな(あれ…)
他の人と話していると、少しだけ気になる。
笑っていると、安心する。
ある帰り道。
自然と二人で並んで歩いていた。
れいな「ねぇ」
ゆめ「なに」
れいな「最初、私のこと嫌いだったでしょ」
ゆめ「普通」
れいな「普通って何」
ゆめ「別に好きじゃないって意味」
れいな「正直だね」
少し笑う。
れいな「私はね」
ゆめ「うん」
れいな「最初、めっちゃ苦手だった」
ゆめ「知ってる」
れいな「でも今は」
少しだけ立ち止まる。
れいな「好きかもって思ってる」
空気が止まる。
ゆめ「……は?」
完全にフリーズしている。
れいな「ちゃんと考えて言ってるよ」
ゆめ「いや意味わかんない」
れいな「なんで?」
ゆめ「こんなやつ好きになる要素ないじゃん」
れいな「あるよ」
一歩、近づく。
れいな「不器用なとこも」
れいな「優しいとこも」
れいな「全部見て好きになった」
ゆめ「……」
言葉が出ない様子。
ゆめ「…後悔するよ」
れいな「しない」
ゆめ「なんで言い切れるの」
れいな「ゆめだから」
しばらくの沈黙。
そのあと、小さく息を吐く。
ゆめ「…ほんと変」
れいな「よく言われる」
ゆっくり、距離が縮まる。
ゆめ「…逃げるなら今だよ」
れいな「逃げない」
次の瞬間。
そっと、手を握られる。
ゆめ「…じゃあ、知らないから」
れいな「うん」
最悪だったはずの出会い。
でも今は——
誰よりも近くて、離れたくない存在になっていた。
れいな(なんか…怖い人)
初対面のゆめは、挨拶しても軽く頷くだけ。
視線も合わないし、言葉も少ない。
それどころか——
ゆめ「そこ、立ち位置ズレてる」
れいな「え、ごめん…」
ゆめ「謝る前に直せば」
れいな(言い方…)
ピリッとした空気。
周りも少しだけ静かになる。
それからというもの、距離はずっと遠かった。
話しかけても短い返事。
目もあまり見てくれない。
自然と、関わらないようにしていた。
れいな(苦手だな…)
そんな印象が、どんどん固まっていく。
でもある日、少しだけ違和感を覚えた。
リハーサル中、他のメンバーがミスをした時。
ゆめ「…今のとこ、こうした方がいいと思う」
いつもより柔らかい声。
相手の子も、ほっとした顔で頷いていた。
れいな(あれ…?)
さらに別の日。
重たい物を一人で運んでいるメンバーに、さりげなく近づいていく。
ゆめ「貸して」
りこ「え、大丈夫?」
ゆめ「いいから」
無言で半分持って、そのまま歩いていく。
れいな(…優しいじゃん)
でも、やっぱり本人は何も言わない。
褒められても、照れるでもなく、ただ「別に」と返すだけ。
そのギャップが、少しずつ気になり始めた。
ある日の帰り道。
疲れが溜まっていたのか、ふらついてしまう。
れいな「…っ」
思わずベンチに座り込む。
すると、足音。
ゆめ「……何してんの」
れいな「ちょっと、立ちくらみ…」
ゆめ「はあ…」
ため息。
やっぱり冷たい、と思った瞬間——
ゆめ「これ」
差し出されたペットボトル。
れいな「え…」
ゆめ「飲みなよ」
れいな「でもそれ…」
ゆめ「いいから」
半ば押し付けるように渡される。
口をつけると、少しぬるい。
れいな(これ…自分の分じゃん)
わざわざ買ったんじゃない。
持ってたものを、そのまま渡してくれた。
れいな「ありがとう」
ゆめ「…別に」
れいな「助かった」
ゆめ「倒れられたら迷惑だし」
れいな「ふふ」
ゆめ「何」
れいな「優しいなって思って」
ゆめ「は?」
露骨に顔をしかめる。
でも、その耳がほんの少し赤い。
それから少しずつ、れいなから話しかけるようになった。
最初はぎこちない会話。
でも、続けていくうちに気づく。
この人は——
ただ、言葉にするのが下手なだけ。
ある日、二人きりの空き時間。
れいな「ゆめってさ」
ゆめ「なに」
れいな「誤解されやすいよね」
ゆめ「……は?」
れいな「本当は優しいのに」
ゆめ「別に優しくない」
れいな「優しいよ」
少しだけ間が空く。
ゆめ「…なんで分かんの」
れいな「見てたから」
まっすぐ答える。
ゆめ「…そういうの、やめた方がいいよ」
れいな「なんで?」
ゆめ「勘違いする人いるから」
れいな「勘違いじゃないよ」
ゆめ「……」
その日を境に、二人の距離は少し変わった。
完全に打ち解けたわけじゃない。
でも、前よりも近い。
視線が合う回数も、少し増えた。
そして——
気づいたら、目で追うようになっていた。
れいな(あれ…)
他の人と話していると、少しだけ気になる。
笑っていると、安心する。
ある帰り道。
自然と二人で並んで歩いていた。
れいな「ねぇ」
ゆめ「なに」
れいな「最初、私のこと嫌いだったでしょ」
ゆめ「普通」
れいな「普通って何」
ゆめ「別に好きじゃないって意味」
れいな「正直だね」
少し笑う。
れいな「私はね」
ゆめ「うん」
れいな「最初、めっちゃ苦手だった」
ゆめ「知ってる」
れいな「でも今は」
少しだけ立ち止まる。
れいな「好きかもって思ってる」
空気が止まる。
ゆめ「……は?」
完全にフリーズしている。
れいな「ちゃんと考えて言ってるよ」
ゆめ「いや意味わかんない」
れいな「なんで?」
ゆめ「こんなやつ好きになる要素ないじゃん」
れいな「あるよ」
一歩、近づく。
れいな「不器用なとこも」
れいな「優しいとこも」
れいな「全部見て好きになった」
ゆめ「……」
言葉が出ない様子。
ゆめ「…後悔するよ」
れいな「しない」
ゆめ「なんで言い切れるの」
れいな「ゆめだから」
しばらくの沈黙。
そのあと、小さく息を吐く。
ゆめ「…ほんと変」
れいな「よく言われる」
ゆっくり、距離が縮まる。
ゆめ「…逃げるなら今だよ」
れいな「逃げない」
次の瞬間。
そっと、手を握られる。
ゆめ「…じゃあ、知らないから」
れいな「うん」
最悪だったはずの出会い。
でも今は——
誰よりも近くて、離れたくない存在になっていた。