村井優
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リハーサル終わりのスタジオ。
床に座り込んで水を飲む優の隣に、ゆめも自然と腰を下ろす。
ゆう「は〜つかれた〜」
ゆめ「おつかれ」
ゆう「ゆめも今日いい感じだったよ」
ゆめ「……ありがと」
何気ない一言なのに、胸がじんわり熱くなる。
こういうところなんだよな、と思う。
無意識に優しいから、余計に困る。
帰り道。
気づけばまた隣を歩いている。
ゆう「ねぇ、今日さ」
ゆめ「なに」
ゆう「なんか距離近くない?」
ゆめ「……今さら?」
ゆう「いや、なんか今日特に」
ゆめ「気のせいでしょ」
本当は、ずっと近くにいたいだけ。
でも、それを言う勇気はない。
ゆう「そっか〜」
納得したように頷く優。
――ほんとに鈍い。
ゆめ(いや、気づいてよ……)
心の中でだけ、小さく文句を言う。
別の日の楽屋。
メンバーがいないタイミングで、ふたりきり。
ゆう「ねぇゆめ」
ゆめ「なに」
ゆう「最近さ、よく一緒にいるよね」
ゆめ「……そうだね」
ゆう「なんでだろ」
ゆめ「……は?」
思わず素で声が出る。
ゆう「なんかさ、気づいたら隣にいる」
ゆめ「……それは」
“好きだからだよ”なんて、言えるわけない。
ゆう「安心するんだよね」
ゆめ「……」
その一言で、全部どうでもよくなりそうになる。
ゆう「ゆめといるとさ、落ち着く」
ゆめ「……それ、ずるい」
ゆう「え、なんで?」
ゆめ「なんでもない」
ゆう「?」
やっぱり、全然気づいてない。
でも――
ゆうも同じ気持ちだって、どこかで分かってる。
だから余計に、もどかしい。
その日の帰り。
エレベーターの中、ふたりきり。
静かな空間。
ゆう「ねぇ」
ゆめ「なに」
ゆう「手、冷たくない?」
ゆめ「……普通」
ゆう「ほんと?」
次の瞬間、優の手が触れる。
ひやっとして、でもすぐに温かくなる。
ゆめ「……なにしてんの」
ゆう「確認」
ゆめ「確認ってなに」
ゆう「ほんとに冷たくないか」
ゆめ「……意味わかんない」
でも、手は離さない。
ゆうも、離さない。
ゆう「……やっぱ冷たい」
ゆめ「だから普通だって」
ゆう「じゃあ温める」
ぎゅっと、少し強く握られる。
心臓が一気にうるさくなる。
ゆめ「……優さ」
ゆう「なに?」
ゆめ「それ、誰にでもやってる?」
ゆう「え?」
ゆめ「こういうの」
ゆう「やらないよ」
即答だった。
ゆめ「……じゃあなんで」
ゆう「ゆめだから」
ゆめ「……」
一瞬、言葉が止まる。
でも優は、まだ気づいていない顔で続ける。
ゆう「なんかさ、ゆめだといいかなって思って」
ゆめ「……それさ」
ゆう「うん」
ゆめ「普通、好きな人にやるやつだよ」
ゆう「……え?」
やっと、優の動きが止まる。
ゆっくりと、こちらを見る。
ゆう「……好きな人?」
ゆめ「……そう」
ゆう「……」
数秒の沈黙。
その間に、心臓が壊れそうなくらい鳴る。
ゆう「……あ、そっか」
ゆめ「……え」
ゆう「これ、好きってことか」
ゆめ「……は?」
ゆう「今気づいた」
ゆめ「遅すぎ」
思わずため息が出る。
でも――
ゆう「ゆめのこと、好きだ」
あまりにもまっすぐに言われて、何も言えなくなる。
ゆめ「……今さら?」
ゆう「うん、今さら」
ゆめ「ほんとに鈍い」
ゆう「ごめん」
ゆめ「……でも」
ゆう「うん」
ゆめ「私も好きだから」
ゆう「……ほんと?」
ゆめ「ほんと」
エレベーターの扉が開く。
でも、どちらも動かない。
ゆう「じゃあさ」
ゆめ「なに」
ゆう「これからは、ちゃんと理由あって手繋ぐね」
ゆめ「……今までは?」
ゆう「無意識」
ゆめ「やば」
ふたりで小さく笑う。
ゆう「でもさ」
ゆめ「うん」
ゆう「無意識でも、ゆめのとこ行ってたんだよね」
ゆめ「……」
ゆう「それってさ、最初から好きだったってことじゃない?」
ゆめ「……今さら気づくな」
ゆう「ほんとだね」
ぎゅっと、もう一度手を握る。
今度は、ちゃんと意味を持って。
鈍感な恋は、少し遠回りして。
でもその分、確かに繋がった。
床に座り込んで水を飲む優の隣に、ゆめも自然と腰を下ろす。
ゆう「は〜つかれた〜」
ゆめ「おつかれ」
ゆう「ゆめも今日いい感じだったよ」
ゆめ「……ありがと」
何気ない一言なのに、胸がじんわり熱くなる。
こういうところなんだよな、と思う。
無意識に優しいから、余計に困る。
帰り道。
気づけばまた隣を歩いている。
ゆう「ねぇ、今日さ」
ゆめ「なに」
ゆう「なんか距離近くない?」
ゆめ「……今さら?」
ゆう「いや、なんか今日特に」
ゆめ「気のせいでしょ」
本当は、ずっと近くにいたいだけ。
でも、それを言う勇気はない。
ゆう「そっか〜」
納得したように頷く優。
――ほんとに鈍い。
ゆめ(いや、気づいてよ……)
心の中でだけ、小さく文句を言う。
別の日の楽屋。
メンバーがいないタイミングで、ふたりきり。
ゆう「ねぇゆめ」
ゆめ「なに」
ゆう「最近さ、よく一緒にいるよね」
ゆめ「……そうだね」
ゆう「なんでだろ」
ゆめ「……は?」
思わず素で声が出る。
ゆう「なんかさ、気づいたら隣にいる」
ゆめ「……それは」
“好きだからだよ”なんて、言えるわけない。
ゆう「安心するんだよね」
ゆめ「……」
その一言で、全部どうでもよくなりそうになる。
ゆう「ゆめといるとさ、落ち着く」
ゆめ「……それ、ずるい」
ゆう「え、なんで?」
ゆめ「なんでもない」
ゆう「?」
やっぱり、全然気づいてない。
でも――
ゆうも同じ気持ちだって、どこかで分かってる。
だから余計に、もどかしい。
その日の帰り。
エレベーターの中、ふたりきり。
静かな空間。
ゆう「ねぇ」
ゆめ「なに」
ゆう「手、冷たくない?」
ゆめ「……普通」
ゆう「ほんと?」
次の瞬間、優の手が触れる。
ひやっとして、でもすぐに温かくなる。
ゆめ「……なにしてんの」
ゆう「確認」
ゆめ「確認ってなに」
ゆう「ほんとに冷たくないか」
ゆめ「……意味わかんない」
でも、手は離さない。
ゆうも、離さない。
ゆう「……やっぱ冷たい」
ゆめ「だから普通だって」
ゆう「じゃあ温める」
ぎゅっと、少し強く握られる。
心臓が一気にうるさくなる。
ゆめ「……優さ」
ゆう「なに?」
ゆめ「それ、誰にでもやってる?」
ゆう「え?」
ゆめ「こういうの」
ゆう「やらないよ」
即答だった。
ゆめ「……じゃあなんで」
ゆう「ゆめだから」
ゆめ「……」
一瞬、言葉が止まる。
でも優は、まだ気づいていない顔で続ける。
ゆう「なんかさ、ゆめだといいかなって思って」
ゆめ「……それさ」
ゆう「うん」
ゆめ「普通、好きな人にやるやつだよ」
ゆう「……え?」
やっと、優の動きが止まる。
ゆっくりと、こちらを見る。
ゆう「……好きな人?」
ゆめ「……そう」
ゆう「……」
数秒の沈黙。
その間に、心臓が壊れそうなくらい鳴る。
ゆう「……あ、そっか」
ゆめ「……え」
ゆう「これ、好きってことか」
ゆめ「……は?」
ゆう「今気づいた」
ゆめ「遅すぎ」
思わずため息が出る。
でも――
ゆう「ゆめのこと、好きだ」
あまりにもまっすぐに言われて、何も言えなくなる。
ゆめ「……今さら?」
ゆう「うん、今さら」
ゆめ「ほんとに鈍い」
ゆう「ごめん」
ゆめ「……でも」
ゆう「うん」
ゆめ「私も好きだから」
ゆう「……ほんと?」
ゆめ「ほんと」
エレベーターの扉が開く。
でも、どちらも動かない。
ゆう「じゃあさ」
ゆめ「なに」
ゆう「これからは、ちゃんと理由あって手繋ぐね」
ゆめ「……今までは?」
ゆう「無意識」
ゆめ「やば」
ふたりで小さく笑う。
ゆう「でもさ」
ゆめ「うん」
ゆう「無意識でも、ゆめのとこ行ってたんだよね」
ゆめ「……」
ゆう「それってさ、最初から好きだったってことじゃない?」
ゆめ「……今さら気づくな」
ゆう「ほんとだね」
ぎゅっと、もう一度手を握る。
今度は、ちゃんと意味を持って。
鈍感な恋は、少し遠回りして。
でもその分、確かに繋がった。