小田倉麗奈
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晴れた休日。
オフが重なったことで、ふたりで出かけることになった。
れいな「ここ、来てみたかったんだよね」
柔らかく笑う小田倉麗奈――れいなを横目に、ゆめはカメラをぎゅっと握る。
ゆめ「……うん、いい場所だね」
本当は、場所なんてどうでもよかった。
こうして、れいなとふたりでいる時間のほうがずっと大事で。
そして今日は――カメラを持ってきた理由も、ひとつだけだった。
れいなを、残したい。
れいな「ねぇ、せっかくだし写真撮ってよ」
ゆめ「……いいの?」
れいな「いいに決まってるじゃん」
風がふわっと吹いて、れいなの髪が揺れる。
その瞬間、反射的にシャッターを切る。
――カシャッ。
液晶に映るれなは、思わず息を呑むくらい綺麗で。
ゆめ「……やば」
れいな「え、なにその反応」
ゆめ「いや……普通に、綺麗すぎて」
れいな「ふふ、ありがと」
照れたように笑うその顔に、また心が持っていかれる。
――カシャッ。
気づけば、何枚も撮っていた。
れいな「そんなに撮る?」
ゆめ「……止まんない」
れいな「え?」
ゆめ「……シャッターが」
本当は、“気持ち”が止まらないだけ。
でもそれは、言えない。
れいなは少しだけ首を傾げてから、ふっと優しく笑った。
れいな「じゃあさ、もっといい顔するね」
ゆめ「……え」
れいな「ちゃんと撮ってよ?」
次の瞬間、ほんの少しだけ距離が縮まる。
近い。
近すぎる。
心臓の音がうるさくなる。
――カシャッ。
ブレないように必死にシャッターを切る。
でも、指が震えているのがわかる。
れいな「ねぇ」
ゆめ「……なに」
れいな「なんでそんな顔してるの?」
ゆめ「どんな顔」
れいな「……好きな人見てる顔」
――ドクン。
一瞬で、時間が止まった気がした。
ゆめ「……違うよ」
れいな「ほんとに?」
ゆめ「……」
言葉が出てこない。
誤魔化すことも、否定することも、全部中途半端で。
その沈黙が、答えみたいになってしまう。
れいな「……そっか」
小さく呟いて、少しだけ視線を逸らす。
その表情に、胸が締めつけられた。
終わったかもしれない。
そう思った瞬間――
れいな「じゃあさ」
ゆめ「……え」
れいな「その好きな人って、誰?」
ゆめ「……」
逃げ場がない。
カメラを握る手に、力が入る。
れいなはじっと、まっすぐ見てくる。
その瞳から、目を逸らせなかった。
ゆめ「……れいな」
れいな「……うん」
ゆめ「れいな、だよ」
言ってしまった。
空気が、静かに張り詰める。
怖い。
でも、もう引き返せない。
れいな「……そっか」
一歩、近づいてくる。
ゆめは思わず後ろに下がりそうになるが、足が動かない。
れいな「ねぇ」
ゆめ「……なに」
れいな「もう一枚、撮って?」
ゆめ「……今?」
れいな「うん、今」
言われるままにカメラを構える。
ファインダー越しに見えるれなは――
さっきまでよりも、ずっと近くて。
ずっと、柔らかい表情をしていた。
れいな「ちゃんと、見ててね」
ゆめ「……見てる」
その瞬間――
れいなが、ふっと笑う。
今までで一番、優しい笑顔で。
――カシャッ。
シャッター音が響く。
その直後。
れいな「ねぇ」
ゆめ「……?」
れいな「私も、撮ってほしいな」
ゆめ「……もう撮ってるけど」
れいな「違うよ~」
そっと、カメラを下げられる。
視線が、ぶつかる。
れいな「“そういう意味”で」
ゆめ「……え」
れいな「私のこと、ちゃんと見ててよ」
その言葉の意味を理解するまで、少し時間がかかった。
そして――
胸の奥が、じんわり熱くなる。
ゆめ「……それって」
れいな「……どう思う?」
少しだけ照れた顔。
でも、逃げない目。
ゆめは、ゆっくり頷いた。
ゆめ「……ちゃんと、見る」
れいな「うん」
ゆめ「ずっと、撮り続ける」
れいな「……ふふ」
今度は、カメラ越しじゃない。
ちゃんと、直接見る。
その美しさも、その優しさも、その全部を。
もう、シャッター越しじゃ足りないくらいに。
れいな「ねぇ、あとで写真見せてね」
ゆめ「……うん」
れいな「変なの撮ってたら怒るから」
ゆめ「全部かわいいよ」
れいな「それは盛りすぎ」
ゆめ「盛ってない」
れいな「……ほんと?」
ゆめ「ほんと」
少しだけ、距離が近づく。
今度は、自然に。
れいな「……じゃあ、信じる」
その言葉と一緒に、そっと指先が触れた。
カメラじゃ収めきれない瞬間が、そこにあった。
オフが重なったことで、ふたりで出かけることになった。
れいな「ここ、来てみたかったんだよね」
柔らかく笑う小田倉麗奈――れいなを横目に、ゆめはカメラをぎゅっと握る。
ゆめ「……うん、いい場所だね」
本当は、場所なんてどうでもよかった。
こうして、れいなとふたりでいる時間のほうがずっと大事で。
そして今日は――カメラを持ってきた理由も、ひとつだけだった。
れいなを、残したい。
れいな「ねぇ、せっかくだし写真撮ってよ」
ゆめ「……いいの?」
れいな「いいに決まってるじゃん」
風がふわっと吹いて、れいなの髪が揺れる。
その瞬間、反射的にシャッターを切る。
――カシャッ。
液晶に映るれなは、思わず息を呑むくらい綺麗で。
ゆめ「……やば」
れいな「え、なにその反応」
ゆめ「いや……普通に、綺麗すぎて」
れいな「ふふ、ありがと」
照れたように笑うその顔に、また心が持っていかれる。
――カシャッ。
気づけば、何枚も撮っていた。
れいな「そんなに撮る?」
ゆめ「……止まんない」
れいな「え?」
ゆめ「……シャッターが」
本当は、“気持ち”が止まらないだけ。
でもそれは、言えない。
れいなは少しだけ首を傾げてから、ふっと優しく笑った。
れいな「じゃあさ、もっといい顔するね」
ゆめ「……え」
れいな「ちゃんと撮ってよ?」
次の瞬間、ほんの少しだけ距離が縮まる。
近い。
近すぎる。
心臓の音がうるさくなる。
――カシャッ。
ブレないように必死にシャッターを切る。
でも、指が震えているのがわかる。
れいな「ねぇ」
ゆめ「……なに」
れいな「なんでそんな顔してるの?」
ゆめ「どんな顔」
れいな「……好きな人見てる顔」
――ドクン。
一瞬で、時間が止まった気がした。
ゆめ「……違うよ」
れいな「ほんとに?」
ゆめ「……」
言葉が出てこない。
誤魔化すことも、否定することも、全部中途半端で。
その沈黙が、答えみたいになってしまう。
れいな「……そっか」
小さく呟いて、少しだけ視線を逸らす。
その表情に、胸が締めつけられた。
終わったかもしれない。
そう思った瞬間――
れいな「じゃあさ」
ゆめ「……え」
れいな「その好きな人って、誰?」
ゆめ「……」
逃げ場がない。
カメラを握る手に、力が入る。
れいなはじっと、まっすぐ見てくる。
その瞳から、目を逸らせなかった。
ゆめ「……れいな」
れいな「……うん」
ゆめ「れいな、だよ」
言ってしまった。
空気が、静かに張り詰める。
怖い。
でも、もう引き返せない。
れいな「……そっか」
一歩、近づいてくる。
ゆめは思わず後ろに下がりそうになるが、足が動かない。
れいな「ねぇ」
ゆめ「……なに」
れいな「もう一枚、撮って?」
ゆめ「……今?」
れいな「うん、今」
言われるままにカメラを構える。
ファインダー越しに見えるれなは――
さっきまでよりも、ずっと近くて。
ずっと、柔らかい表情をしていた。
れいな「ちゃんと、見ててね」
ゆめ「……見てる」
その瞬間――
れいなが、ふっと笑う。
今までで一番、優しい笑顔で。
――カシャッ。
シャッター音が響く。
その直後。
れいな「ねぇ」
ゆめ「……?」
れいな「私も、撮ってほしいな」
ゆめ「……もう撮ってるけど」
れいな「違うよ~」
そっと、カメラを下げられる。
視線が、ぶつかる。
れいな「“そういう意味”で」
ゆめ「……え」
れいな「私のこと、ちゃんと見ててよ」
その言葉の意味を理解するまで、少し時間がかかった。
そして――
胸の奥が、じんわり熱くなる。
ゆめ「……それって」
れいな「……どう思う?」
少しだけ照れた顔。
でも、逃げない目。
ゆめは、ゆっくり頷いた。
ゆめ「……ちゃんと、見る」
れいな「うん」
ゆめ「ずっと、撮り続ける」
れいな「……ふふ」
今度は、カメラ越しじゃない。
ちゃんと、直接見る。
その美しさも、その優しさも、その全部を。
もう、シャッター越しじゃ足りないくらいに。
れいな「ねぇ、あとで写真見せてね」
ゆめ「……うん」
れいな「変なの撮ってたら怒るから」
ゆめ「全部かわいいよ」
れいな「それは盛りすぎ」
ゆめ「盛ってない」
れいな「……ほんと?」
ゆめ「ほんと」
少しだけ、距離が近づく。
今度は、自然に。
れいな「……じゃあ、信じる」
その言葉と一緒に、そっと指先が触れた。
カメラじゃ収めきれない瞬間が、そこにあった。