村山美羽
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講義終わりの教室。
みうはいつも通り、静かに荷物をまとめていた。
その隣に、知らない女子が立っている。
「村山さん、このあと時間ある?」
みう「…なに」
素っ気ない返事。
でも女子は気にしてない様子で続ける。
「この前のレポート、教えてほしくてさ」
みう「別にいいけど」
そのやり取りを、少し離れた席から見ている人がひとり。
ゆめ「……」
胸の奥が、じわっと熱くなる。
ゆめ(なにあれ)
ただの会話。
それだけなのに、やけに引っかかる。
ゆめ(距離、近くない?)
気づけば、じっと見てしまっている。
みうが席を立って、その女子と一緒に教室を出ていく。
「ありがとう、助かる!」
「ここってさ——」
楽しそうに話してるわけじゃない。
でも、それでも。
ゆめ(なんで一緒にいるの)
気づいたら、立ち上がっていた。
廊下。
少し先に、並んで歩く2人の背中。
呼び止めるか迷って——
でも、足は自然と動いた。
ゆめ「みう」
みうが振り返る。
みう「……どうしたの?」
いつも通りの顔。
それが、余計にモヤっとする。
ゆめ「その人、誰?」
女子が少し気まずそうにする。
「え、あ、同じ授業で——」
みう「レポート教えるだけ」
あっさりした説明。
でも、なんか納得できない。
ゆめ「……ふーん」
自分でもわかるくらい、声が低い。
みうが少しだけ目を細める。
みう「なに」
ゆめ「別に」
みう「嘘」
みうが一歩近づいてくる。
みう「機嫌悪い」
ゆめ「悪くないし」
みう「悪い」
言い切る。
女子が空気を察して
「あ、私先行くね!ありがと!」
と去っていく。
2人きりになる廊下。
みう「で?」
腕を組んで、じっと見てくる。
みう「なにが気に入らないの」
ゆめ「……別に」
まだ意地を張る。
でも——
みう「ゆめ」
名前を呼ばれる。
少し低い声。
逃げられないやつ。
ゆめ「……あのさ」
観念したみたいに、息を吐く。
ゆめ「ああいうの、やだ」
みう「どういうの」
ゆめ「距離近いし、2人で一緒に歩いてるのもやだし」
言葉が止まらなくなる。
ゆめ「なんか、普通に話してるのもやだ」
言ったあとで、自分でもびっくりするくらい子供っぽい。
みう「……」
少しだけ、目を見開いてる。
ゆめ「……なに」
みう「いや」
少し間があって——
みう「かわいい」
ゆめ「は?」
一気に顔が熱くなる。
ゆめ「かわいくないし!」
みう「嫉妬してる」
さらっと言う。
ゆめ「してない」
みう「してる」
みうが一歩近づく。
みう「ゆめが?」
少しだけ意地悪な目。
みう「誰とでも距離近い人が?」
図星すぎて何も言えない。
ゆめ「……うっ」
みうが少しだけ表情を緩める。
そのまま、そっと手を掴まれる。
みう「むしろ、嬉しい」
ゆめ「……は?」
みう「私ばっかりかと思ってた」
少しだけ視線を逸らす。
みう「嫉妬してたの」
あのときのこと。
「ゆめの彼女は誰?」って言った日のこと。
ゆめ「……そっか」
少しだけ力が抜ける。
みう「だから、ちょっと安心した」
ゆめ「安心?」
みう「ちゃんと、私のこと見てるって分かったから」
まっすぐな言葉。
ゆめ「……見てるよ」
今度は素直に言える。
ゆめ「むしろ、見すぎて困ってる」
みう「それは困るね」
少しだけ笑う。
みう「でも」
ぐっと手を引く。
みう「他の人と同じに見ないで」
ゆめ「見てない」
みう「ならいい」
そのまま、自然に指を絡める。
廊下の端、人目につかない場所で。
みう「ちゃんと独占していい?」
ゆめ「……もうしてるでしょ」
みう「足りない」
少しだけ近づく。
ゆめ「……じゃあ、私もする」
みう「どうぞ」
2人の距離が、少しだけ近くなる。
さっきまでのモヤモヤが、嘘みたいに消えていく。
ゆめ「ねぇ」
みう「なに」
ゆめ「次から、ああいうの減らして」
みう「考えとく」
ゆめ「ちゃんと考えて」
みう「ゆめがそういう顔するなら」
少しだけ笑う。
その笑顔に、またドキッとする。
ゆめ(やっぱり、好きだな)
さっきまでの嫉妬も、全部含めて。
みうはいつも通り、静かに荷物をまとめていた。
その隣に、知らない女子が立っている。
「村山さん、このあと時間ある?」
みう「…なに」
素っ気ない返事。
でも女子は気にしてない様子で続ける。
「この前のレポート、教えてほしくてさ」
みう「別にいいけど」
そのやり取りを、少し離れた席から見ている人がひとり。
ゆめ「……」
胸の奥が、じわっと熱くなる。
ゆめ(なにあれ)
ただの会話。
それだけなのに、やけに引っかかる。
ゆめ(距離、近くない?)
気づけば、じっと見てしまっている。
みうが席を立って、その女子と一緒に教室を出ていく。
「ありがとう、助かる!」
「ここってさ——」
楽しそうに話してるわけじゃない。
でも、それでも。
ゆめ(なんで一緒にいるの)
気づいたら、立ち上がっていた。
廊下。
少し先に、並んで歩く2人の背中。
呼び止めるか迷って——
でも、足は自然と動いた。
ゆめ「みう」
みうが振り返る。
みう「……どうしたの?」
いつも通りの顔。
それが、余計にモヤっとする。
ゆめ「その人、誰?」
女子が少し気まずそうにする。
「え、あ、同じ授業で——」
みう「レポート教えるだけ」
あっさりした説明。
でも、なんか納得できない。
ゆめ「……ふーん」
自分でもわかるくらい、声が低い。
みうが少しだけ目を細める。
みう「なに」
ゆめ「別に」
みう「嘘」
みうが一歩近づいてくる。
みう「機嫌悪い」
ゆめ「悪くないし」
みう「悪い」
言い切る。
女子が空気を察して
「あ、私先行くね!ありがと!」
と去っていく。
2人きりになる廊下。
みう「で?」
腕を組んで、じっと見てくる。
みう「なにが気に入らないの」
ゆめ「……別に」
まだ意地を張る。
でも——
みう「ゆめ」
名前を呼ばれる。
少し低い声。
逃げられないやつ。
ゆめ「……あのさ」
観念したみたいに、息を吐く。
ゆめ「ああいうの、やだ」
みう「どういうの」
ゆめ「距離近いし、2人で一緒に歩いてるのもやだし」
言葉が止まらなくなる。
ゆめ「なんか、普通に話してるのもやだ」
言ったあとで、自分でもびっくりするくらい子供っぽい。
みう「……」
少しだけ、目を見開いてる。
ゆめ「……なに」
みう「いや」
少し間があって——
みう「かわいい」
ゆめ「は?」
一気に顔が熱くなる。
ゆめ「かわいくないし!」
みう「嫉妬してる」
さらっと言う。
ゆめ「してない」
みう「してる」
みうが一歩近づく。
みう「ゆめが?」
少しだけ意地悪な目。
みう「誰とでも距離近い人が?」
図星すぎて何も言えない。
ゆめ「……うっ」
みうが少しだけ表情を緩める。
そのまま、そっと手を掴まれる。
みう「むしろ、嬉しい」
ゆめ「……は?」
みう「私ばっかりかと思ってた」
少しだけ視線を逸らす。
みう「嫉妬してたの」
あのときのこと。
「ゆめの彼女は誰?」って言った日のこと。
ゆめ「……そっか」
少しだけ力が抜ける。
みう「だから、ちょっと安心した」
ゆめ「安心?」
みう「ちゃんと、私のこと見てるって分かったから」
まっすぐな言葉。
ゆめ「……見てるよ」
今度は素直に言える。
ゆめ「むしろ、見すぎて困ってる」
みう「それは困るね」
少しだけ笑う。
みう「でも」
ぐっと手を引く。
みう「他の人と同じに見ないで」
ゆめ「見てない」
みう「ならいい」
そのまま、自然に指を絡める。
廊下の端、人目につかない場所で。
みう「ちゃんと独占していい?」
ゆめ「……もうしてるでしょ」
みう「足りない」
少しだけ近づく。
ゆめ「……じゃあ、私もする」
みう「どうぞ」
2人の距離が、少しだけ近くなる。
さっきまでのモヤモヤが、嘘みたいに消えていく。
ゆめ「ねぇ」
みう「なに」
ゆめ「次から、ああいうの減らして」
みう「考えとく」
ゆめ「ちゃんと考えて」
みう「ゆめがそういう顔するなら」
少しだけ笑う。
その笑顔に、またドキッとする。
ゆめ(やっぱり、好きだな)
さっきまでの嫉妬も、全部含めて。