りかみお
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新学期が始まって、二週間。
席替えで決まったこの位置は、少しだけ特別だった。
的野の席は、石森の“右斜め前”。
振り向かなくても、少し視線を動かせば見える距離。
だけど――話すには、ほんの少しだけ遠い距離。
みお(……また笑ってる)
前の席で、りかが友達と話している。
笑ったときに少しだけ目が細くなるところも、話しながら髪を耳にかける癖も、全部、自然と目に入ってくる。
りか「……ねえ」
みお「っ、なに?」
りか「今、見てたでしょ」
みお「見てない」
りか「絶対うそ」
みお「……ちょっとだけ」
りか「素直だね」
みお「りかが見える位置にいるのが悪い」
りか「なにそれ、わたしのせい?」
みお「うん」
りか「……変な人」
そう言いながらも、りかは少しだけ嬉しそうに笑った。
――昼休み。
購買でパンを買った帰り、
偶然、りかと廊下でぶつかりそうになる。
りか「あ、みお」
みお「お、奇遇」
りか「パン、なに買ったの?」
みお「メロンパン」
りか「ベタだね」
みお「おいしいじゃん」
りか「ひとくちちょうだい」
みお「え、普通に嫌なんだけど」
りか「えー、ケチ」
みお「……はい」
ちぎって差し出すと、りかは少しだけ驚いた顔をする。
りか「え、くれるの?」
みお「欲しいって言ったじゃん」
りか「……ありがと」
ぱくっと食べるその瞬間、なぜか目が離せなくなる。
みお(……近い)
距離が、いつもよりずっと近い。
それだけで、胸の奥がざわつく。
――放課後。
雨が降り出していた。
部活が休みになって、教室に残る人も少ない。
みお「……雨、やば」
りか「ね。傘持ってないんだけど」
みお「まじ?わたしあるけど」
りか「入れて」
みお「即答すぎ」
少し迷ったあと、みおは頷く。
みお「……いいよ」
りか「やった」
校門を出ると、雨音が一気に強くなる。
小さな傘の中、ふたりの距離は自然と近づく。
りか「ねえ、みお」
みお「ん?」
りか「なんでそんなに優しいの?」
みお「……りかだから」
りか「え?」
みお「……なんでもない」
言い直そうとしたけど、もう遅い。
りかはじっと、みおの横顔を見つめている。
りか「……わたしも、みおだからだよ」
みお「なにが?」
りか「こうやって、一緒に帰りたいって思うの」
雨の音が、少しだけ遠くなる。
心臓の音のほうが、ずっと大きく聞こえた。
みお「……さ、今日」
りか「うん?」
みお「教室で言ったこと、覚えてる?」
りか「……覚えてる」
少しだけ足を止める。
傘の中、距離は逃げ場がないくらい近い。
みお「わたし、りかのこと好き」
りか「……うん」
みお「ちゃんと、言っときたくて」
りか「……遅いよ」
ぽつりと、りかが呟く。
みお「え?」
りか「わたしも、ずっと好きだった」
みお「……ほんとに?」
りか「右斜め前ってさ、ずるいんだよ」
みお「ずるい?」
りか「見えるのに、届かないから」
りかは少しだけ笑って、みおの袖を掴む。
りか「でも今は、届く距離でしょ」
みお「……うん」
りか「だから――」
少しだけ背伸びして、りかはみおの肩に額を預けた。
りか「もう、遠くいない」
みお「……離れる気ない」
傘の中、雨に隠れるみたいに、ふたりは静かに笑う。
――翌日。
教室。
りか「ねえ、みお」
みお「なに?」
りか「やっぱこの席、好き」
みお「なんで?」
りか「だって、すぐ見えるし」
みお「……見るだけ?」
りか「……それだけじゃ足りない」
りか「放課後、また一緒に帰ろ」
みお「……毎日でもいいけど」
りか「欲張り」
みお「りかが言う?」
ふたりで、少しだけ笑う。
右斜め前の君は、もう“遠い存在”じゃない。
視線を向けるだけじゃなくて、ちゃんと触れられる距離にいる。
それでもきっと、これからも何度も、見てしまう。
――好きだから。
席替えで決まったこの位置は、少しだけ特別だった。
的野の席は、石森の“右斜め前”。
振り向かなくても、少し視線を動かせば見える距離。
だけど――話すには、ほんの少しだけ遠い距離。
みお(……また笑ってる)
前の席で、りかが友達と話している。
笑ったときに少しだけ目が細くなるところも、話しながら髪を耳にかける癖も、全部、自然と目に入ってくる。
りか「……ねえ」
みお「っ、なに?」
りか「今、見てたでしょ」
みお「見てない」
りか「絶対うそ」
みお「……ちょっとだけ」
りか「素直だね」
みお「りかが見える位置にいるのが悪い」
りか「なにそれ、わたしのせい?」
みお「うん」
りか「……変な人」
そう言いながらも、りかは少しだけ嬉しそうに笑った。
――昼休み。
購買でパンを買った帰り、
偶然、りかと廊下でぶつかりそうになる。
りか「あ、みお」
みお「お、奇遇」
りか「パン、なに買ったの?」
みお「メロンパン」
りか「ベタだね」
みお「おいしいじゃん」
りか「ひとくちちょうだい」
みお「え、普通に嫌なんだけど」
りか「えー、ケチ」
みお「……はい」
ちぎって差し出すと、りかは少しだけ驚いた顔をする。
りか「え、くれるの?」
みお「欲しいって言ったじゃん」
りか「……ありがと」
ぱくっと食べるその瞬間、なぜか目が離せなくなる。
みお(……近い)
距離が、いつもよりずっと近い。
それだけで、胸の奥がざわつく。
――放課後。
雨が降り出していた。
部活が休みになって、教室に残る人も少ない。
みお「……雨、やば」
りか「ね。傘持ってないんだけど」
みお「まじ?わたしあるけど」
りか「入れて」
みお「即答すぎ」
少し迷ったあと、みおは頷く。
みお「……いいよ」
りか「やった」
校門を出ると、雨音が一気に強くなる。
小さな傘の中、ふたりの距離は自然と近づく。
りか「ねえ、みお」
みお「ん?」
りか「なんでそんなに優しいの?」
みお「……りかだから」
りか「え?」
みお「……なんでもない」
言い直そうとしたけど、もう遅い。
りかはじっと、みおの横顔を見つめている。
りか「……わたしも、みおだからだよ」
みお「なにが?」
りか「こうやって、一緒に帰りたいって思うの」
雨の音が、少しだけ遠くなる。
心臓の音のほうが、ずっと大きく聞こえた。
みお「……さ、今日」
りか「うん?」
みお「教室で言ったこと、覚えてる?」
りか「……覚えてる」
少しだけ足を止める。
傘の中、距離は逃げ場がないくらい近い。
みお「わたし、りかのこと好き」
りか「……うん」
みお「ちゃんと、言っときたくて」
りか「……遅いよ」
ぽつりと、りかが呟く。
みお「え?」
りか「わたしも、ずっと好きだった」
みお「……ほんとに?」
りか「右斜め前ってさ、ずるいんだよ」
みお「ずるい?」
りか「見えるのに、届かないから」
りかは少しだけ笑って、みおの袖を掴む。
りか「でも今は、届く距離でしょ」
みお「……うん」
りか「だから――」
少しだけ背伸びして、りかはみおの肩に額を預けた。
りか「もう、遠くいない」
みお「……離れる気ない」
傘の中、雨に隠れるみたいに、ふたりは静かに笑う。
――翌日。
教室。
りか「ねえ、みお」
みお「なに?」
りか「やっぱこの席、好き」
みお「なんで?」
りか「だって、すぐ見えるし」
みお「……見るだけ?」
りか「……それだけじゃ足りない」
りか「放課後、また一緒に帰ろ」
みお「……毎日でもいいけど」
りか「欲張り」
みお「りかが言う?」
ふたりで、少しだけ笑う。
右斜め前の君は、もう“遠い存在”じゃない。
視線を向けるだけじゃなくて、ちゃんと触れられる距離にいる。
それでもきっと、これからも何度も、見てしまう。
――好きだから。
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