的野美青
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おかしいと思ったのは、ほんの些細なことだった。
みお「彼女できたんだよね?」
美青がそう聞くと、ゆめは一瞬だけ言葉に詰まった。
ゆめ「あ、うん」
その“間”が、引っかかった。
彼女の話をするわりに、名前も出てこない。
写真もない。
予定の話になると、必ず話題を変える。
——隠してる?
それとも……いない?
決定的だったのは、雨の日だった。
コンビニの前。
傘を忘れた美青が立ち尽くしていると、ゆめが自然に自分の傘を差し出した。
ゆめ「一緒に使お」
その距離が、近すぎた。
彼女がいる人の距離じゃない。
みお「……ねえ」
歩きながら、美青はぽつりと言った。
みお「彼女さん、優しい人なんだね?」
ゆめ「うん」
即答。でも、目が泳いだ。
美青は確信した。
——いない。
それよりも、“いないのに、いるって言った理由”の方が、ずっと怖かった。
立ち止まって、美青は言う。
みお「嘘ついたでしょ」
ゆめの足が止まる。
ゆめ「……え?」
みお「彼女…いないでしょ」
断定。
責める声じゃない。
沈黙が、雨音で満たされる。
みお「どうして?」
その一言で、ゆめは観念したように息を吐いた。
ゆめ「……諦めたかった」
声が震えている。
ゆめ「美青が、好きな人に告白するって知って」
美青の胸が、強く鳴った。
ゆめ「邪魔したくなかった。だから……」
みお「だから、嘘ついたの?」
ゆめ「うん」
正直すぎる答えだった。
美青はしばらく何も言わず、雨に視線を落とす。
みお「私ね」
ゆっくり顔を上げる。
みお「告白、できなかった」
ゆめが顔を上げる。
みお「勇気なくて」
美青は、小さく笑った。
みお「でもね。あの日、ゆめが“彼女できた”って言ったとき」
胸に手を当てる。
みお「すごく、苦しかった」
雨が少し弱くなる。
みお「好きな人って、ゆめだった」
そこまで言って、美青は一度だけ視線を落とした。
胸の奥を確かめるみたいに、深く息を吸う。
みお「……正確に言うとね」
ゆっくり、顔を上げる。
みお「告白する予定だった“好きな人”が、ゆめだった」
ゆめは、言葉を失った。
みお「一か月前に言ったでしょ」
美青は続ける。
みお「好きな人がいて、告白するって」
ゆめ「あれ……」
声が、かすれる。
みお「全部、あんたのことだった」
その瞬間、一か月分の後悔と勘違いが、一気に押し寄せた。
ゆめ「……じゃあ私は」
ゆめは、苦しそうに笑う。
ゆめ「一番好きな人に、嘘ついてたってことか」
みお「そうだね」
美青は否定しなかった。
みお「私、あの日ね。“彼女ができた”って聞いて、何も言えなくなった」
指先が、少し震えている。
みお「振られたわけじゃないのに、終わった気がして」
ゆめ「……ごめん」
みお「うん」
短い返事。でも、そこに怒りはない。
みお「でもさ」
美青は一歩近づく。
みお「私も悪い」
ゆめ「え?」
みお「ちゃんと名前、呼ばなかった。“好きな人がいる”なんて、逃げた言い方した」
視線が絡む。
みお「だから、すれ違った」
雨粒がアスファルトに落ちる音だけが残る。
みお「ねえ」
美青は、覚悟を決めた声で言った。
みお「予定だった告白、今していい?」
答えなんて、聞かなくてもわかっているのに。
ゆめ「……して」
ゆめの声は、ほとんど祈りだった。
美青は、真っ直ぐ見つめる。
みお「ゆめが好き」
迷いのない言葉。
みお「嘘つくところも、不器用なところも。私のために、諦めようとしたところも」
少しだけ、笑う。
みお「全部含めて」
ゆめは、震える息を吐いた。
ゆめ「……私も、ずっと好きだった」
今度は、嘘じゃない。
ゆめ「告白される前に、終わらせようとした。守ったつもりで、傷つけた」
美青は首を振る。
みお「もういい」
そして、そっと言う。
みお「今、ちゃんと始めよ」
二人の距離が、自然に縮まる。
ただ、言えなかった言葉が、やっと届いた夜。
"彼女ができたんだ"
その嘘は、本当の恋に変わるための、最後の遠回りだった。
みお「彼女できたんだよね?」
美青がそう聞くと、ゆめは一瞬だけ言葉に詰まった。
ゆめ「あ、うん」
その“間”が、引っかかった。
彼女の話をするわりに、名前も出てこない。
写真もない。
予定の話になると、必ず話題を変える。
——隠してる?
それとも……いない?
決定的だったのは、雨の日だった。
コンビニの前。
傘を忘れた美青が立ち尽くしていると、ゆめが自然に自分の傘を差し出した。
ゆめ「一緒に使お」
その距離が、近すぎた。
彼女がいる人の距離じゃない。
みお「……ねえ」
歩きながら、美青はぽつりと言った。
みお「彼女さん、優しい人なんだね?」
ゆめ「うん」
即答。でも、目が泳いだ。
美青は確信した。
——いない。
それよりも、“いないのに、いるって言った理由”の方が、ずっと怖かった。
立ち止まって、美青は言う。
みお「嘘ついたでしょ」
ゆめの足が止まる。
ゆめ「……え?」
みお「彼女…いないでしょ」
断定。
責める声じゃない。
沈黙が、雨音で満たされる。
みお「どうして?」
その一言で、ゆめは観念したように息を吐いた。
ゆめ「……諦めたかった」
声が震えている。
ゆめ「美青が、好きな人に告白するって知って」
美青の胸が、強く鳴った。
ゆめ「邪魔したくなかった。だから……」
みお「だから、嘘ついたの?」
ゆめ「うん」
正直すぎる答えだった。
美青はしばらく何も言わず、雨に視線を落とす。
みお「私ね」
ゆっくり顔を上げる。
みお「告白、できなかった」
ゆめが顔を上げる。
みお「勇気なくて」
美青は、小さく笑った。
みお「でもね。あの日、ゆめが“彼女できた”って言ったとき」
胸に手を当てる。
みお「すごく、苦しかった」
雨が少し弱くなる。
みお「好きな人って、ゆめだった」
そこまで言って、美青は一度だけ視線を落とした。
胸の奥を確かめるみたいに、深く息を吸う。
みお「……正確に言うとね」
ゆっくり、顔を上げる。
みお「告白する予定だった“好きな人”が、ゆめだった」
ゆめは、言葉を失った。
みお「一か月前に言ったでしょ」
美青は続ける。
みお「好きな人がいて、告白するって」
ゆめ「あれ……」
声が、かすれる。
みお「全部、あんたのことだった」
その瞬間、一か月分の後悔と勘違いが、一気に押し寄せた。
ゆめ「……じゃあ私は」
ゆめは、苦しそうに笑う。
ゆめ「一番好きな人に、嘘ついてたってことか」
みお「そうだね」
美青は否定しなかった。
みお「私、あの日ね。“彼女ができた”って聞いて、何も言えなくなった」
指先が、少し震えている。
みお「振られたわけじゃないのに、終わった気がして」
ゆめ「……ごめん」
みお「うん」
短い返事。でも、そこに怒りはない。
みお「でもさ」
美青は一歩近づく。
みお「私も悪い」
ゆめ「え?」
みお「ちゃんと名前、呼ばなかった。“好きな人がいる”なんて、逃げた言い方した」
視線が絡む。
みお「だから、すれ違った」
雨粒がアスファルトに落ちる音だけが残る。
みお「ねえ」
美青は、覚悟を決めた声で言った。
みお「予定だった告白、今していい?」
答えなんて、聞かなくてもわかっているのに。
ゆめ「……して」
ゆめの声は、ほとんど祈りだった。
美青は、真っ直ぐ見つめる。
みお「ゆめが好き」
迷いのない言葉。
みお「嘘つくところも、不器用なところも。私のために、諦めようとしたところも」
少しだけ、笑う。
みお「全部含めて」
ゆめは、震える息を吐いた。
ゆめ「……私も、ずっと好きだった」
今度は、嘘じゃない。
ゆめ「告白される前に、終わらせようとした。守ったつもりで、傷つけた」
美青は首を振る。
みお「もういい」
そして、そっと言う。
みお「今、ちゃんと始めよ」
二人の距離が、自然に縮まる。
ただ、言えなかった言葉が、やっと届いた夜。
"彼女ができたんだ"
その嘘は、本当の恋に変わるための、最後の遠回りだった。