りかみお
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眠れない夜が、何日も続いた。
目を閉じると浮かぶのは、美青の声と、あの呼び方。
——「璃花さん」。
ただ名前を呼ばれただけなのに、どうしてあんなに心が揺れたのか。
私は、自分に問い続けていた。
これは恋なのか。
それとも、長く教師として生きてきた反動なのか。
答えを出すのが、怖かった。
答えを出してしまえば、もう「先生」という場所には戻れないから。
私はノートを開いた。
授業のメモでも、生徒の記録でもない。
何年ぶりかの、ただの白紙。
そこに、ペンを置いて、止まった。
——もし、断るなら。
「元生徒だから」
「立場が違うから」
「大人として正しくないから」
いくらでも言葉は並べられる。
でも、それは全部、“正しい理由”を使った逃げだ。
私は、ふと気づいた。
美青は、一度も私を急かしていない。
迫ってもいない。
甘えで縛ろうともしていない。
ただ、「考えてほしい」と言っただけ。
それに対して私は、
距離を取って、
曖昧にして、
答えを先延ばしにしてきた。
——不誠実なのは、どっちだろう。
胸が、少し痛んだ。
私は教師だった。
だからこそ、言葉には責任を持つべき人間だった。
曖昧な態度は、一番人を傷つける。
それを、私は誰よりも知っているはずなのに。
その時、スマホが震えた。
美青からじゃない。
それなのに、一瞬、期待してしまった自分に、苦笑する。
私は立ち上がって、窓を開けた。
夜の空気は冷たくて、頭が少しだけ冴えた。
(……逃げない)
そう、心の中で決めた。
好きかどうか。
それを考える前に、まずやるべきことがある。
ちゃんと向き合うこと。
そして、答えを伝えること。
どんな答えであっても。
翌日、私はメッセージを送った。
「話したいことがあります」
それだけ。
理由も、前置きも、つけなかった。
しばらくして、返事が来る。
「はい。都合、合わせます」
短い文章。
でも、逃げない返事。
それを見て、胸の奥が、静かに決まった。
私はもう、教師として守る立場じゃない。
大人として、
一人の人間として、
気持ちに責任を持つ番だ。
答えが「はい」でも、
「いいえ」でも。
それを伝える覚悟を、
ようやく持てた。
私はスマホを閉じて、
小さく息を吐いた。
(……覚悟、決めよう)
これは、恋を始めるための覚悟かもしれない。
あるいは、恋を終わらせるための覚悟かもしれない。
でもどちらにせよ、もう曖昧な場所には、立たない。
それが、私が出した、最初の答えだった。
____________________
待ち合わせは、夕方の公園だった。
学校からも遠くて、
“先生”としての私を知っている人はいない場所。
それでも、胸は不自然なほど高鳴っていた。
先に来ていた美青は、ベンチに座って空を見上げていた。
私に気づくと、立ち上がる。
みお「……来てくれて、ありがとうございます」
その言い方が、もう完全に“元生徒”じゃない。
私は、深く息を吸ってから言った。
りか「待たせてごめん」
それだけで、少しだけ距離が縮まった気がした。
二人で並んで座る。
沈黙は、前ほど重くなかった。
私は先に切り出した。
りから「考えました」
その言葉に、美青の背筋が、ほんの少し伸びる。
りか「時間も、立場も、いろんなことを考えた上で……」
途中で止めた。
回りくどい言い方は、もうしないと決めたから。
私は、正面を向いたまま続けた。
りか「美青の気持ちを、冗談だと思って聞き流してきたこと、謝ります」
美青は、何も言わずに聞いている。
逃げない目。
私は、そこでようやく彼女を見た。
りか「あなたはもう、生徒じゃない。それを分かっていながら、私は“先生”に戻ろうとしてた」
小さく笑ってしまった。
りか「ずるいですよね」
美青は、静かに首を振った。
みお「……怖かったんですよね」
その一言が、胸に刺さった。
私は、ゆっくり頷いた。
りか「怖かった。でも、それ以上に……」
言葉を選ぶのをやめた。
りか「あなたがいない日常を考えるほうが、ずっと苦しかった」
美青の目が、わずかに揺れる。
私は続けた。
りか「だから、答えを出します」
少しだけ、手が震えた。
でも、逃げなかった。
りか「あなたの気持ちを、受け止めたい」
りか「恋人として、同じ立場で、向き合いたい」
美青は、唇を噛んでから、はっきり言った。
みお「……本当ですか」
私は、即答した。
りか「本当。守るために距離を取るんじゃなくて、
一緒に歩く選択をする」
その瞬間、美青の表情が、崩れた。
泣きそうで、でも必死に笑おうとしている顔。
私は、初めて自分から手を伸ばした。
触れるか触れないかの距離で、止める。
りか「……触れても、いい?」
美青は、少しだけ頷いた。
その合図で、私はそっと手を取った。
指先が、温かい。
「ありがとう」
そう言ったのは、
どちらだっただろう。
夕暮れの空の下で、私たちは、ただ手を繋いでいた。
キスもしない。
言葉も多くない。
でも、確かだった。
これは、教師と生徒の物語じゃない。
一途に想ってくれた人と、逃げずに選んだ恋の始まり。
私は、心の中で静かに思った。
(……遅くなって、ごめんね)
(でも、ちゃんと来たよ)
目を閉じると浮かぶのは、美青の声と、あの呼び方。
——「璃花さん」。
ただ名前を呼ばれただけなのに、どうしてあんなに心が揺れたのか。
私は、自分に問い続けていた。
これは恋なのか。
それとも、長く教師として生きてきた反動なのか。
答えを出すのが、怖かった。
答えを出してしまえば、もう「先生」という場所には戻れないから。
私はノートを開いた。
授業のメモでも、生徒の記録でもない。
何年ぶりかの、ただの白紙。
そこに、ペンを置いて、止まった。
——もし、断るなら。
「元生徒だから」
「立場が違うから」
「大人として正しくないから」
いくらでも言葉は並べられる。
でも、それは全部、“正しい理由”を使った逃げだ。
私は、ふと気づいた。
美青は、一度も私を急かしていない。
迫ってもいない。
甘えで縛ろうともしていない。
ただ、「考えてほしい」と言っただけ。
それに対して私は、
距離を取って、
曖昧にして、
答えを先延ばしにしてきた。
——不誠実なのは、どっちだろう。
胸が、少し痛んだ。
私は教師だった。
だからこそ、言葉には責任を持つべき人間だった。
曖昧な態度は、一番人を傷つける。
それを、私は誰よりも知っているはずなのに。
その時、スマホが震えた。
美青からじゃない。
それなのに、一瞬、期待してしまった自分に、苦笑する。
私は立ち上がって、窓を開けた。
夜の空気は冷たくて、頭が少しだけ冴えた。
(……逃げない)
そう、心の中で決めた。
好きかどうか。
それを考える前に、まずやるべきことがある。
ちゃんと向き合うこと。
そして、答えを伝えること。
どんな答えであっても。
翌日、私はメッセージを送った。
「話したいことがあります」
それだけ。
理由も、前置きも、つけなかった。
しばらくして、返事が来る。
「はい。都合、合わせます」
短い文章。
でも、逃げない返事。
それを見て、胸の奥が、静かに決まった。
私はもう、教師として守る立場じゃない。
大人として、
一人の人間として、
気持ちに責任を持つ番だ。
答えが「はい」でも、
「いいえ」でも。
それを伝える覚悟を、
ようやく持てた。
私はスマホを閉じて、
小さく息を吐いた。
(……覚悟、決めよう)
これは、恋を始めるための覚悟かもしれない。
あるいは、恋を終わらせるための覚悟かもしれない。
でもどちらにせよ、もう曖昧な場所には、立たない。
それが、私が出した、最初の答えだった。
____________________
待ち合わせは、夕方の公園だった。
学校からも遠くて、
“先生”としての私を知っている人はいない場所。
それでも、胸は不自然なほど高鳴っていた。
先に来ていた美青は、ベンチに座って空を見上げていた。
私に気づくと、立ち上がる。
みお「……来てくれて、ありがとうございます」
その言い方が、もう完全に“元生徒”じゃない。
私は、深く息を吸ってから言った。
りか「待たせてごめん」
それだけで、少しだけ距離が縮まった気がした。
二人で並んで座る。
沈黙は、前ほど重くなかった。
私は先に切り出した。
りから「考えました」
その言葉に、美青の背筋が、ほんの少し伸びる。
りか「時間も、立場も、いろんなことを考えた上で……」
途中で止めた。
回りくどい言い方は、もうしないと決めたから。
私は、正面を向いたまま続けた。
りか「美青の気持ちを、冗談だと思って聞き流してきたこと、謝ります」
美青は、何も言わずに聞いている。
逃げない目。
私は、そこでようやく彼女を見た。
りか「あなたはもう、生徒じゃない。それを分かっていながら、私は“先生”に戻ろうとしてた」
小さく笑ってしまった。
りか「ずるいですよね」
美青は、静かに首を振った。
みお「……怖かったんですよね」
その一言が、胸に刺さった。
私は、ゆっくり頷いた。
りか「怖かった。でも、それ以上に……」
言葉を選ぶのをやめた。
りか「あなたがいない日常を考えるほうが、ずっと苦しかった」
美青の目が、わずかに揺れる。
私は続けた。
りか「だから、答えを出します」
少しだけ、手が震えた。
でも、逃げなかった。
りか「あなたの気持ちを、受け止めたい」
りか「恋人として、同じ立場で、向き合いたい」
美青は、唇を噛んでから、はっきり言った。
みお「……本当ですか」
私は、即答した。
りか「本当。守るために距離を取るんじゃなくて、
一緒に歩く選択をする」
その瞬間、美青の表情が、崩れた。
泣きそうで、でも必死に笑おうとしている顔。
私は、初めて自分から手を伸ばした。
触れるか触れないかの距離で、止める。
りか「……触れても、いい?」
美青は、少しだけ頷いた。
その合図で、私はそっと手を取った。
指先が、温かい。
「ありがとう」
そう言ったのは、
どちらだっただろう。
夕暮れの空の下で、私たちは、ただ手を繋いでいた。
キスもしない。
言葉も多くない。
でも、確かだった。
これは、教師と生徒の物語じゃない。
一途に想ってくれた人と、逃げずに選んだ恋の始まり。
私は、心の中で静かに思った。
(……遅くなって、ごめんね)
(でも、ちゃんと来たよ)